クワガタ、カブトのオリジナル用品をメインに生体も販売!
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店長日記
店長日記:148
2013年10月17日




↑ 2013.10.11 富山市有峰にて。カメラ;OLYMPUS E-510、露出時間;1/200、絞り;f/8、焦点距離;14mm(35mm換算で26mm)、ISO-400




↑ 2013.9.27 岐阜県飛騨市。カメラ;PENTAX Optio WG-1 GPS、露出時間;1/500、絞り;f/4.2、焦点距離;5mm、ISO-100

改めて言いますが秋の空って何でこんなに高くて青いんですかね。
気象学的に言えば空の高さ(圏界面)は夏の方が高いのですが、空気中の塵や水蒸気が多くどちらかというと白っぽくくすんでしまいます。
今年酷暑に見舞われた地域は特にこの傾向が顕著だったので空が白かったのに気づいた方もいるでしょう。
秋は大陸からの乾いた塵の少ない空気に被われるので澄んだ青い空になります。
どこまでも青い空を見ていると、そんなことはどうでもよく只々気持ちが洗われるようです。
この色をスカイブルーなんて言葉ではあまりにも陳腐すぎて適当な表現が見当たりませんが、空の色だけではなく周りの景色を含めて独特のコントラストの深い青を創り出しているんでしょうね。

ついでに今季の紅葉をもう一枚、


↑ 2013.10.11 富山市有峰にて。カメラ;PENTAX Optio WG-1 GPS、露出時間;1/125、絞り;f/3.5、焦点距離;5mm、ISO-80
ソフトで編集していますが、コンデジでも結構綺麗に撮れます。要はカメラではなくて被写体(シチュエーション)次第でそれなりの写真は撮れます。つまり有名ポイントへ行けば素人でも今のコンデジなら綺麗な紅葉が撮れます。

ただ、写真ではそこそこ綺麗に見えても残念なことに今年の当地の紅葉はあまり綺麗ではありません。
昨年は10年に一度の当たり年と言われ遅れ気味ではありましたが見事な紅葉が見れましたが、今季は9月下旬以降の異常な高温によって葉が綺麗に色付かずブナも黄色ではなく茶色になって落葉し始めている状況です。
今年は夏の猛暑も記録的でしたが最近の高温も記録的です。富山でも10月に入ってから3回も真夏日を観測しています。平年なら写真の高地では霜が降りるくらいにまで冷え込む日もあるのですが今年は5℃前後まで冷え込んだのが一度あるだけで他は日中は半袖で過ごせるような異常な気温です。
昨年といい、年々秋の訪れが遅くなっている気がします。
色々な秋の楽しみを見つけてからは秋が遅いのは残念でなりません。

さて、秋の訪れは遅れても自身は例年通り精力的に山に訪れています。
画像や日記ももっと多く紹介したいのですがPCに向かっている時間がなくて更新できません…。
画像ばかりがどんどん溜まっていきます。
とりあえず紹介できる範囲で載せていきましょう。

前回は20日のヒメオオ採集まで書きましたが、今期は岐阜県のポイントでの結果が思わしくありません。前回も書きましたが大雨のせいかそれに伴う林道周辺の補修による環境変化のせいなのかはっきりはしませんが採れるべき時期に採れるべき場所で採れません。
9月も下旬になれば発生もほぼ終わりを迎え確認できるのはヤモメの♂ばかりというのが通例ですがとりあえず行かないとわからないので27日にそこは今期最後のつもりで行ってきました。
この日も林道の工事のため重機が入っていたため車ではなくかなり手前から徒歩での探索となりました。



↑ この日も時期外れに暑い日でしたがトップに紹介した画像を見てもわかるように見事な青空でむしろ徒歩で行けたのが気分的にも最高でした。
風のささやき以外ほとんど音のしないブナ林で頭の中でAORの音楽がBGMのように鳴っています。



↑ ブナ林で真っ先に色付いたヤマウルシが鮮やかに映りプチ紅葉が楽しめます。ヤマウルシは残暑が厳しくても9月中には必ず紅く染まります。これで秋の訪れを実感できます。



↑ 生息木を何本か見て回って最初に見つけたクワガタの影。
残念ながらアカアシでした。
今日もヒメオオはおあずけなのかと嫌な予感がよぎります。
やはりいつもの木を見て回るだけでは見つかりそうにないのでいつもは下りない斜面を半ばヤケクソ気味に突入します。



↑ 画像では入りやすそうなヤナギの群生ですが、強烈な下草で進めない上に下手にヤナギの木に当ったり揺らしたりするとせっかくのヒメオオが落下してしまい見つからなくなるので大胆かつ慎重に進みます。
かと言ってあまりに静かに行動すると気配がしないのでクマとばったり!とういうことにもなりかねないので(昨年それでニアミスしました)色々と気を遣います。



↑ 今度は間違いなくヒメオオです。誰も入っていない処女ポイントだったようでこの時期にもかかわらず複数のペアが採れました。例年ならいくら処女ポイントとはいえこの時期にペアで確認できるのはそう多くはないのでやはり今年はおかしいです。

おまけにその後他の場所を見て回るもヒメオオの影は皆無で結局この場所で採れた個体のみでした。この場所には複数の個体がいるので他も単に採集圧でいないとは考えられないので今期の発生状況の要因は来期の様子を見てから再び考察しようと思います。
主観的には来年は昨年までの状況に戻ることを期待したいと思います。





↑ ヒメオオ採集を終了したので今度は頭をコケ(キノコ)採りモードに切り替えます。
すると途端に数々のコケたちが目に入ってきます。
上画像は今期初となるナメコ。まさかこんなに早く見つかるとは思ってもいませんでしたがこれだけ採っても仕方ないのでスルー。
下画像はこの時期おなじみの毒キノコのツキヨタケ。これが全部食べられれば喜ぶのですが、見るだけにしておきましょう。
コケのシーズンには入りましたがまだまだ採るには足らない時期なので軽く流します。

帰りしな別の林道を走行中、コケ採りとおぼしき富山ナンバーの車が止まっていました。
マイタケを探すには遅いし見た感じ何かを採ったという感じではありませんでした。
そういえば今年はマイタケの採集者とあまり会わなかったのですがやはり不作だったんですかね?自身は時間の無駄になるのでマイタケ探しはしませんでした。
いずれにしろ巷のコケ採り人たちもそろそろ動き出したようです。
今年も山の中での仁義なき戦いが始まろうとしています。
気合を入れながら周りを見ながら走っていくと、



↑ 林道横の沢の対岸のヤナギの木にコケらしいものを発見!
ズームで写真を撮るもののはっきり分かりませんがヤナギということで色合いからもおそらくヌメリスギタケモドキでしょう。
早速、沢を渡ってその木に向かい確認すると、



思ったとおりヌメリスギタケモドキです。それもちょうど採り頃です。
このキノコも一昨年まではノーマークだったのですがナメコと同じモエギタケ科の優良な可食のキノコです。
昨年まではたまたま見つけたものを採っていただけでしたがヤナギに生えるというのは知っていたのでついでに周辺のヤナギを見て回ります。



↑ やはりありました。この時期にヒメオオのポイント近くでこのコケが採れるというのは新たな発見です。来年から採集の行程に組み込むことになりそうです。
このコケはヤナギならどこでも見つかるというわけではなく一定のシロがあるところでそこそこの大きさのヤナギに点在して生えるようです。この時期に標高700~1000mくらいなら平地では12月頃でしょうか。下流域の河川敷でも今度探してみます。



↑ 手のひらほどある立派なコケです。一食分に余るほど採れました。



↑ 翌日、煮付けて大根おろしと和えて食しました。歯ごたえもあり美味です。

さて、岐阜に続いて富山でもヒメオオ採集も終盤を向かえこちらも採集こそするつもりはありませんが最後の挨拶がてら月末の30日に行ってきました。
採集が本命ではないので道中も気が散りついつい他に寄り道してしまいます。




↑ 林道横のヤナギ林を見ると狙いどうり先日も採取したヌメリスギタケモドキがありました。
グラスファイバーの捕虫網用の竿を使って高いところに生えているコケを叩き落している自身を工事関係者のダンプが通る度に止まって見て行きますが構わず採ります。ナメコなら横取りされる可能性が高いため極力目に付かないように採りますがこのコケはまず採ろうとしないでしょう。
コンビニ袋に一杯採れたところでヒメオオポイントに再度向かいます。



↑ 黄色くなり始めたヤナギにヒメオオの姿を確認できました。
さすがに個体数も少ないですが岐阜と同様にやはりこの時期でもペアが確認でき、♀もかなりの大型の個体がまだ後食をしており産卵行動が遅れていることを示唆しているようです。
この時期には珍しいやや大型の♀個体を1ペアだけ採取して今期のヒメオオ採集の幕を下ろしました。

ヒメオオの成虫採集が終わるといよいよ本格的なコケ採りです。
ポイントも毎年のように有峰へと移行します。
10月に入って第一週の4日、紅葉の様子を見がてらヒメオオの材割り採集とブナ材探しに行ってきました。



↑ まずは例年通りブナの折れた株の根際を材割り。
問題なく幼虫を採取できましたが、ヒメオオの材割りはオオクワのそれとは比較にならないほど疲れます。1回の材割りで手オノの刃は潰れてなくなります。
それくらいブナの生に近い材は堅いのです。
過去に材割りで腱鞘炎になって手術をした自身としては何回も行うのは控えたいです。



↑ 今日昨日に羽化したと思われる腹の真っ赤な♀の新成虫が出てきました。

ひとしきり材割りして手オノを持つ手の握力もなくなったので終了してコケ採りに移行です。
周りは紅葉の進み具合もここ数年では最も遅くまだ写真に収めるほどでもないのでコケもあまり期待はできません。
まあ、せいぜい早生のブナハリタケくらいだろうと思っていましたが、逆にそのブナハリタケがわずかに腐ったものがある程度で予想外に出ていません。
季節は毎年同じように繰り返しますが進み方や質は決して同じではないというのをコケ採りを始めてから実感します。



↑ 左はおなじみのブナハリタケ。例年なら幹にビッシリ着生しますが今年は一部にしか発生していません。右はチャナメツムタケ。ナメコに似た可食のコケですが量が少なくスルー。



↑ 左はこの時期には珍しい早生のナメコ、右はクリタケですがどちらも少量なのでスルー。
どのコケにしても発生量が採取するほどではない中で唯一例外なのがこれ。↓



↑ モタセ(サワモダシ)いわゆるナラタケです。
このキノコは大量に発生する雑キノコとして知られていますが年による変動が激しく、ここまで大発生しているのはこのポイントに通い始めてからは初めてのことです。



↑ ブナの朽ち木だけでなく倒木の周りの地面からも出ています。
以前、立山周辺では軽トラに山盛りモタセを採っている採集者がいると聞いたことがありますがこうやって見るとまんざらウソではないようです。
以前も書きましたがこのコケは大量に見つかるのと壊れやすく日持ちもしないので雑キノコ扱いですが出汁はとても美味しく汁物にすると最高です。

このキノコは旬が短くすぐに老菌になって腐ってしまいますが2次3次発生があるのでしばらくは楽しめます。
ひと通り採ってコンビニ袋3袋ほどになったところで手を止めて次は材探しです。
立山は奥深い山で自然のブナ林が広がっているのでブナの立ち枯れや倒木は至る所にありますが物理的にそれを持ち出すことに限界があります。
持ち出しやすい場所で産卵材用として優良な材となるといくら手付かずの深山といえどそうそう簡単には見つかりません。

幸いにも昨年見つけた倒れたばかりの大木があるのでそれを採取するべくその場所へ。



↑ 付近で数年前からチェックしている倒木。これだけの標高にしては珍しいカワラタケの着生した材。いかにもといった感じですがまだ若いです。



↑ 昨年倒れた倒木の本体部分。胸高部の径は1m50cm以上あり樹齢はゆうに300年を超えるでしょう。内部は朽ちて抜けて空洞になっておりまるで縄文杉の株のようです。

その倒れている部分に着くと昨年はなかった別の倒木が重なるように横たわっています。こちらも前述の倒木に負けず劣らずの大木で昨年の冬から今年の春にかけて倒れたものと思われます。



↑ 根部から高さ5~6m部分にあたる二股になっている片方の枝部です。枝でも径60cmあります。樹幹部は1mを超えているためチェーンソーでも裁断不可です。
裁断面を見るとやや変色部位が混入していますが全体に菌は廻っており生部はありません。これだけの径のブナとしては優良な腐朽具合です。
質的にはオオクワ系全般に適した感じです。
もちろん倒木全体にわたって同様に朽ちているわけではなく部位によってはヒメオオ用のようなかなりの堅さだったり手で崩せそうな色虫用の柔材であったりしますが、この手のブナの倒木では色虫用の部位は大トロに当たりほんのわずか採れる程度で全く採れないこともあります。
ちなみにこの日はこの画像の部位を調達したのですが、厚さ20cm程度に輪切りしたものを3カット持ち帰るのがやっとでした。
実際に行ったことがある者でないと分からないと思いますが材を採ってくるのは目当ての材を探して持ち帰る時間と労力が相当かかるのです。



↑ 先ほどの材を車に積んで帰る途中、斜面の下草に隠れていた倒木(落ちてきた枝部)。裁断面を見てください。上述した大トロ材でクワガタブリーダーにはW・ウッディやボーリン等のレアな色虫用として重宝されます。
この材みたいに手で崩せるくらいの極上の柔材は部分的というよりはその材全体が同一に朽ちていることが多く、これも長さ1m余りのさほど大きくない材でしたが全部が均一に朽ちていました。
ただ、この折れた部分と続きだったと思われる、より大きな倒木は残念ながら採るには及ばない質でした。
よほど条件が恵まれない限りここまで綺麗に朽ちる前に水分過多等で腐ってボロボロになってしまうことがほとんどなのです。

続いて翌週の11日ですが毎年だいたいこの日の前後は紅葉の写真撮影のために有峰を訪れています。
それが冒頭の紅葉の写真ですが、昨年、一昨年の当日記の記事を読み直してみても載せてある画像と比較して今年の紅葉が遅れているのとイマイチの色合いであるのが分かります。
例年、この時期には紅葉狩りや写真撮影の観光客が多く訪れるのですがこの日は平地で悪天候(山では晴れ間がありました)せいか工事関係者とコケ採りらしき数台の車以外、紅葉を撮影しているのは自身一人だけでした。



↑ 秋らしいショットを。ブナの立ち枯れをバックにしたヤマウルシです。

ヤマウルシこそ紅いですが他の木々はまだ緑が主体なのが分かるでしょう。
一般に紅葉は最低気温が8℃(綺麗に染まるには5℃)を下回ると始まると言われており昼間との寒暖差が大きい(天気がいい)ほど美しくなりますが、今年はこの日の段階で5℃を下回ったのはこの標高1,000m以上のポイントでも分かっている範囲では9月27日のたった一日で昼間も夏を思わせる気温のため色付きはさっぱりでカエデの綺麗な朱色の錦秋は今年はお目にかかれないかもしれませんね。

さて、この日は翌12日にブリーダーのB氏と材採りに訪れる予定でしたのでそのための段取り(翌日運ぶだけでいいように倒木の裁断と新たな材の調査)が目的でした。





↑ これは以前から目をつけている材で一昨年倒れたブナですがそれより何年も前からすでに立ち枯れていたのを見ていたのでおそらく朽ち始めてから10年は経過していると思われます。
そろそろかな?と思い折れ口を裁断してみました。
とりあえず生部がないくらいまで朽ちてはいて使えないことはありませんが少し堅いのであと1~2年待ったほうがいいでしょう。
当店の天然カワラ材の在庫はこのような取り置きの材の場所や状態をどれだけ把握、記憶しているかにかかっているのです。
結局この材は手を付けず、先週持ち帰った材の続きを数カット裁断して段取りは終了、余った時間と体力(バイト明けで徹夜なので…)でコケ探しです。



↑ ナラタケとモミジ。
秋らしい1ショットですが個人的にはナメコとモミジの組み合わせの方が好きです。

この画像でも分かるように先週同様この日もモタセ(ナラタケ)が豊作でした。
先週は結構老菌が多かったのですが2次発生でさらに大量になっています。



↑ 画像で見るより実際はもっと多く、この木だけでコンビニ袋一杯採れました。
このような木があちこちにあります。



↑ 昨年も同じコケを見つけて結局分からずじまいだったのですが今年は根元にきれいにツボ状の袋が残っていること、柄にツバがない、ヒダが肉色であることからオオフクロタケという可食のキノコであると同定しました。
大きさも10cmほどあり食べるにもちょうどいいのですが、テングタケ科の毒キノコとの同定ミスが怖いので今回はパスしました。
キノコに冒険は禁物です。

翌日、B氏と共に先日裁断済みの材を運びさらに他で別のブナ材を追加して持ち帰りました。
連日の材採りでさすがに腰が痛くそれ以上欲を出すとろくなことがないのでおとなしくB氏のモタセを採って終了です。



↑ 今期は少ないカノカ(ブナハリタケ)ですが綺麗な成菌を見つけたので一食分のみ採取しました。
調理のパターンが限られており食感もイマイチですが季節物として1回は食べておかないといけないコケですが嫁には「また採ってきたのか」という顔をされます…。

今年は紅葉もコケもまだまだ盛り上がってきませんが、13日には立山で初雪を観測するなどここにきて冷え込んできたのでこれからの秋の深まりに期待しましょう。


P.S.



↑ 10/9.早朝、バイト帰りに発見した彩雲。
最初は虹かと思ったのですが、撮影方向で降水がないことと空中ではなく雲自体が色付いていることから彩雲と判断しました。
早朝や夕方というのはレアな光の現象が起きやすいので出勤や帰宅で焦っている気持ちも分かりますが、運転中は危ないですがちょっと空を見上げて殺気立った気分を落ち着けてみてはいかがですか?
と、自分に言い聞かせてみます…。
2013年09月22日




↑ 9/20、岐阜県某所のポイントにて。秋晴れの空が気持ち良い。

前回書いたように8月下旬から9月上旬まで続いた雨天から開放され最近はやっと秋晴れが続くようになってきました。
気温こそまだ真夏日になることがありますが空気はカラッとした秋の空気で空も高く気持ちが落ち着きます。
ただ、先日は台風18号の影響で各地に被害が発生し当地ではたいしたことないと思っていたのですが県南部を中心にかなりの総雨量があったらしく八尾では橋脚が基礎から削り取られ損壊しトンネルで土砂崩れが発生し通行止めになりました。
世間はちょうど3連休で自身も盆の代休で臨時休業し関東に帰省中だった為、もろに影響を受け15日はディズニーランドに行くはずが折からの大雨で予定変更しました。





↑ 9/20、ヒメオオ採集に行った帰り通った時の八尾ダムの様子。
台風通過から5日たった今でも水量は多く水は完全に濁りまるで泥の海の様相を呈しており流木やゴミも多く漂流しています。
今までも大雨時、部分的や一時的に濁ることはありましたが今回は今までとはレベルが違いました。H16年の台風23号のような大きな被害がなかったのが幸いです。
あの時は神通川水系が未曾有の洪水となり特に上流部ではJR高山線があちこちで寸断され最悪廃線の危機になるくらいの大被害となりました。
今回の台風でも近畿を中心にかなりの水害がありましたが被災された地域にはお見舞い申し上げます。

さて、個人的なことですが上記の帰省で日を変更して無事ディズニーランドに子供を連れて行くことは出来たのですが混雑でおなじみのハロウィーン期間中ということもあり平日でも移動もままならないほどの混雑振りで疲労困ぱいとなり日程的に強行軍だったせいもあり運転手を務めなければいけないお父さんである自身は疲労から途中で発熱し、その後40℃近くまで上がったのを最高に22日現在、ずっと上がり下がりを繰り返しながらも微熱が続いています。
歳のせいもあるかもしれませんが、子供が出来てからはあきらかに風邪をひく頻度が増えています。昔は年に1回軽い風邪をひくかひかないかくらいでしたが、最近では年4~5回は熱を出している気がします。
まあ、子供の身代わりになっていると思えば辛抱できますがそれにしても今回のはしつこいです。久しぶりに意識が朦朧となる状態を味わいました。

ちょっと余談になりますが、皆さんは周りに風邪をひいている人間がいるとき、そのことを知らなくても風邪をひいている人間がいることが分かりますか?もちろんその人の症状とかを見ずにです。
変な質問だと思われますが、自身は風邪を患っている独特の匂いで判別することが出来ます。子供や嫁も風邪をひくとその匂いでわかります(自分の場合はわかりません)。
自身の後輩や嫁は近くに風邪を引いている人間がいると後頭部から首にかけてや肩が痛くなったり重くなったりして分かるといいます。
このような感覚は多くの人が持ち合わせていると思うのですがどうなんですかね?
よく昔から「悪い気に当たる」と言いますがこれもそうなのかもしれません。
そう考えると「病は気から」というのもまんざら嘘ではないと言えるでしょう。

気合が足りないのか長引く発熱の体調の中、20日(金)だけは気合が入ったのか朝から熱も下がっていたので満を持して岐阜のポイントへ。
天気も申し分ないので過度に負担がかからないように体力を温存しながらポイントを見て回ります。
ところが、歩き始めて例年ならいるはずの木を数本見ても気配がありません。
おかしいな?富山の利賀ではほぼピークになっている状況ですので例年なら数日遅れで多くの発生が見られるはずです。
数に変動はあっても全くいないことは過去ありません。
まあ、もう少し標高の高いところならいるだろう、と山を上がっていきます。
それでもヒメオオは確認できません。
代わりにいつもならこの辺では少ないアカアシがやたらいます。



↑ 発生木のすぐ近くのヤナギでヒメオオかと思ったらアカアシでした…。

このヤナギは林道から斜面を少し下りた所にあり当然周りの状況から先客が来た形跡はありません。発生木のすぐ近くということでシーズンで今まで外したことはありません。
今回初めて空振りとなりました。
この時にだいぶ不穏な空気を感じていました。





↑の2枚は林道上の水たまりです。
もちろん水たまりにヒメオオがいるわけではありません。
水たまりの濁り具合やワダチの跡を見ているのです。
他の採集者や森林管理者が車両でここを通れば水は濁り水中にワダチが残ります。残ったワダチは水の流れや新たなワダチができない限り残っています。
そしてこの水たまりはここ一両日中は降水が無かったため少なくとも2日以上前(おそらく台風18号の通過時)にできたものです。
そう考えると最低でも昨日、今日は誰も車では入っていないでしょう。

採集と言うのは虫がいる木をどれだけ探すかということばかりではありません。
五感をフルに使って探すというのはこういう技術も不可欠なのです。
誰も先行者がいない(少なくともここ2日間は入っていない)のならば、それで見つからないということはヒメオオが発生していない(発生はしているがここで活動していない)か、自身の目が節穴であるかのどちらかです。
自賛するつもりはありませんが利賀では問題なく見つかっている以上、自身の能力のせいではなく本当に個体がいないのでしょう。

販売個体はほぼ確保できているので今回は採集だけが目的ではないので採れなくてもいいのですが、採れて持ち帰らないのと全く見つからないのでは精神的な満足感が全く異なります。
フラストレーションが溜まる中、気持ちが焦り始めました…。



↑ 採集者が以前入った跡。

車だけではなく採集者は徒歩でも来訪します。ワダチはなくとも道路横の笹ヤブにはヤナギに向かって進入した形跡がはっきりと残っています。
ただ、笹の倒れ具合から見てせいぜい一人二人が確認しに見に入ったくらいで採集したような感じはありません。



↑ こちらは綺麗に笹が倒れているので繰り返し入ったのでしょう。踏まれた下草が茶色に枯れていることからかなり以前から入っているのでしょう。ただ、ここもヤナギの手前だけでありこの木で採集したような形跡がありません。
もちろん、この日もいませんでしたし、かじり痕もほとんど確認できません。
これは先行者もかなり苦労しただろうな…と思いつつ足を進めると、たまたま休憩して水分を補給しようとしゃがんだ時に通常なら完全にスルーする下草に隠れた背の低いヤナギに1ペアのヒメオオを見つけました。



↑ 標高は1170mと高くもなく低くもなく…。時間も問題ないし…。

利賀でもそうですが例年のポイントで見つからないときは得てしていつもはスルーする木で結構見付かったりするもんですね。
自身はこれは偶然ではなく先ほども書きましたが発生はしているが何らかの理由があっていつもとは違うポイントで活動していると考えています。
いくら虫に予知能力があったとしても羽化時期を自分の意思で変更することは不可能なのですから天気が悪くても新成虫は必ず本能的に活動しなければいけないのです。
では、何らかの理由というのは何でしょうか?



↑ これを見て下さい。林道横の清水で極めて透明な水はそのまま飲むことも出来ます。
写真なので高低感が分かりにくいと思いますが林道から水面まで5~6mの高さがあります。
池の周りの下草が白っぽく変色しているのが分かるでしょう?
おそらく先月の豪雨時に洪水でこの高さまで濁流が溜まったのです。
通常なら林道の下の配管を通って反対側の谷側へ排水されるのですが流量の限界を超えたため天然のダムとなって深さ3~4mくらいまで水が溜まったのです。
下手をしたら林道ごと谷に押し流されるところでした。
実際、今季は例年になく森林管理者の重機が何日も入り林道を補修した箇所が幾つもありました。
ヒメオオはその危険を察知して土砂崩れがおきそうな斜面のヤナギを回避している可能性があるのではないかと推測しています。
これは過去に利賀の林道でも同様の事例を観察しています。
生息標高を厳密に厳守している本種ですからそれくらいのリスク回避能力を持っているのかもしれません。

能書きはともかく結局この1ペアを採ったところでこれ以上ここでの採集はあきらめました。
そして気分を切り替えて再度利賀のポイントへ向かうことにしました。
途中、行けたはずの林道が通行不可でものすごい大回りをしなければいけないという紆余曲折があったものの何とか辿り着きました。
ただ、時計を見ると採集に許される時間は30分だけです。
そこまでして利賀に行ったのはもしかしたらさっきの岐阜のポイントは発生が終わったのか(それはないと思うのですが)を確認したかったからです。
岐阜で終わっているなら利賀でもそれに先行して終わっている可能性が高いからです。

早速足早に流しながら見て行きますが、やはり利賀でも毎年外さないポイントで今季はほとんど見つかりません。
やはり終わったのか?と思いながら別のポイントに行くと、



いました!
ピントが合っていませんが大型(40mm超)の♀です。
これだけの♀が単独で樹液を吸っているということはまだ活動は終わっていません。



↑ ♂も大型の個体がいました!残念ながらフセツが1本欠けていましたが今期最大の55.0mmでした(予約済み)。自身3年ぶりの55mmオーバーです。

ざっと見た感じ個体数は少ないですが大型の♀が多く発生が終わっている観はありません。大型の個体をいくつか採集し終了。ただ、ここもポイントによってバラつきがあり、また例年ならヒメオオしか見つからない木でアカアシが複数見つかったりしました。
気候の変動はアカアシの行動にも影響を与えている可能性があります。
とりあえず発生のシーズンが終わっていないことが分かったので一安心です。
あと、1~2回岐阜を訪れて生体の動向を確認できれば満足です。
あわよくば55.0mm以上の♂が見つかることを期待したいですがさすがにこの時期ではそれは難しいでしょうね。




↑ 岐阜のポイントで今年初めて確認できたブナハリタケ?の幼菌。
距離があってよく見えませんでしたが他の木でもツキヨタケが観察できキノコのシーズン到来を予期させる景色です。

結局この翌日再び風邪をぶり返しました…。
2013年09月12日




9月9日、8月下旬の大雨以降ずっとぐずついた天気が続いていましたが久しぶりに青空が広がったブナの森。

イライラします。
ヤキモキします。
空を見てはため息が出ます…。
あの連日の晴天と猛暑をもたらした夏はどこに行ったのでしょう?
前回の日記でも書きましたが8月23日の豪雨とともに季節が急変して気温は下がり雨の降る日々が続いています。
この時期にこんな天候が続くと稲刈りをひかえた農家とヒメオオの採集者は気が気ではありません。
どちらも適した期間が短くタイミングが重要なのです。
当地はローカルなので周りで「稲刈りどうしよう?」という声をよく聞きます。
間違っても「ヒメオオどうしよう?」という世間話は聞きません。
しかし自身にとっては稲刈り以上に重要なことなのです。
それ以上にヒメオオ自身が困惑していることでしょう。
生死がかかっているので天気が悪いからといって繁殖活動を後回しにするわけにはいかないのです。
過去の観察からも雨天でも少なからず活動はしていますが、採集効率が悪いだけでなく最悪こちらの命の危険に関わることもあります。
先月23日の豪雨時も早朝の段階で山には降雨域がかかっていなかったため嫁の制止を無視して行こうとしたのですが、自宅周辺のあまりに激しい降り方に外に出るのをためらって行かなかったのですが、その後の訪問で当日の昼には山間部も激しい豪雨となり林道のあちこちで出水して土砂に埋まり通行不可となったことがわかったので、強行していたら山から帰って来れなかっただけでなく最悪、車ごと転落ということも無きにしも非ずという状況でした。

何故そんなに焦っているかというとヒメオオの採集はもちろん、もう一つ理由があります。
それは昨年の日記で書きましたが、利賀のポイントにあるブナの立ち枯れの根元で老菌になって腐りかけたトンビマイタケの巨大な株を数株見つけたからです。総量では20kg超になると思われます。
その時は完全にタイミングが遅かったため採取できませんでしたが今年はその雪辱を果たすべく時期を伺っていたのです。
トンビマイタケはマイタケほどの高級キノコではないもののそれに勝るくらいの希少種で東北の一部では珍重されています。
それに他のキノコは秋以降が旬なのに対し、トンビマイタケは盛夏から初秋が旬なのです。
あまり早まって採れないのも嫌なのでヒメオオの発生時期に併せて採取しようと考えていたのです。
さらにこのキノコは猛暑で雨が少ないほうが発生しやすいとも聞いていたので今年は条件に合致しているという期待があっただけに雨続きで腐っていないか心配で仕方ありませんでした。
それだけに前回の日記でも26日に採集に行って林道が通行止めだった時にはがく然としました。
ヒメオオは予備のポイントがいくつかあるのでそこがダメでも他に逃げ道はありますが、キノコはそこだけにしかありませんし、ましてやそのポイントは林道の最奥地で他の迂回路は皆無です。せめて近くまででも行ければ徒歩で向かうのですがあまりにもガンダーラの地は遠かったです…。
無念のうちに引き返し、トンビマイタケは半ばあきらめてヒメオオのポイントの再考をしました。もし近隣のポイントも大雨の影響がある場合は最悪新規のポイントにかけるしかありません。外せば間違いなく今期の採集数に影響が出ます。

そんな不安の中、大雨から1週間後の8月30日、再び山へ行くつもりが早朝の段階で能登半島に強雨域がかかり記録的な大雨になっていることがレーダーから確認できました。思案のしどころですが、広範囲を対象とした天気予報よりも局所的には自身の経験則と知識から予報した、昼までは大丈夫という予報の方が当たると信じていざ出陣!

行程から考えるとまずヒメオオのポイントから経由することになります。
ただ、時間的な猶予からじっくり採集している場合ではありません。
下手をすると天候不順からまだ発生していないことも考えられます。
見慣れたポイントに着いて早速ヤナギを見て回るも不安が的中し、いつもいるはずの木に姿が見えないどころかカジリ痕も確認できません。
ここでいないとなるとほぼ期待できません。
「やっぱり早かったか…?」
とあきらめ気分でそれでも良く探すと、



いました!
1年ぶりの再会です。
発生初期の割りには擦れておらず綺麗な新成虫です。それにサイズもそこそこです。
例年なら最初は越冬したボロ♀が見つかるのですがやはり最近の天候の影響があるのかもしれません。
その後、時間の関係で軽く流す程度に探したところそれでも4ペアほど採取できました。
なかでも1頭の♂が大型で帰宅後の計測では54.2mmあり当たり年を期待させるようなサイズでした。
本来ならしつこく探すところですがこの日はトンビマイタケの確認があるので気分的に落ち着かないので先を急ぎます。
時折にわか雨が降る中、通行止めの不安を抱えながらも強烈なブッシュに被われた林道を進んでいくと(この時点で車の塗装は擦り傷だらけになります)なんとか最奥部のポイントへと到着しました。



↑ 気温は下がったといってもまだまだ夏の装いのうっそうとしたブナの林床。

早速徒歩でトンビマイタケのポイントを目指しますが本来あるはずの尾根上の歩道は下草でほとんどどこにあるのかわかりません。
勘を頼りに進んでいくとヤブの向こうに見覚えのあるブナの立ち枯れが、
「たしかあの木のはずだ。」と近づくと、



↑ どちらも同じ立ち枯れの画像です。
なんか記憶と異なる感じがするのと、トンビマイタケのかけらも確認できません。



↑ 昨年見つけたときのトンビマイタケの老菌。

よく思い出すとキノコが生えていた根部に昨年はなかった倒木が!
近くの別の立ち枯れがよりによってキノコのあった場所に倒れて直撃しています。
これでは生えていたとしても木っ端微塵でしょう…。
自身の期待も木っ端微塵に…。
来年に期待しましょう。

夢破れて山河あり…、
仕方ないので切り替えてヒメオオの材割りをすることに。
ここはヤナギもなく成虫は見つからないものの幼虫は採集できる不思議なポイントです。



↑ 割り始めてほどなく現れたヒメオオの食痕。
アカアシとの違いは食痕の色と食べている部位で判別できます。
アカアシの食痕は色が濃くオレンジがかっておりヒメオオほど堅い部位には入りません。



↑ 食痕の先から出てきたヒメオオの3齢幼虫。



↑ ほぼ生に近いようなカチカチの材に入っているのがわかるでしょうか?



↑ 断面から確認できるヒメオオの幼虫。「昆虫フィールド」の寄稿でも書きましたがヒメオオは自然下ではほぼ間違いなく画像のように拮抗線が混入している見た目には優れない堅い材に産卵します。今回材割りしたこの材の続きの部分をヒメオオの産卵材として限定で販売します(生体保護を考慮した上で生息木の採取には十分注意を払っています)。



↑ 近くの大径のブナの倒木の柔らかい部位から出てきたオニクワガタの♂個体。

さて日を改め9月4日、定休日でもない通常の平日ですがバイトが終わった早朝、久しぶりに一部に青空が出ていました。
この機会を逃すわけにはいかないと帰宅後そのまま山へと出発です。



↑ 久しぶりの晴れ間を楽しむように舞うミヤマカラスアゲハ。何回見ても美しいです。

しかし山を上がるにつれて雲が低く垂れ込めてきてポイントに着くと小雨混じりの曇り空に逆戻り。
それだけでなくこの日は折からの台風崩れの低気圧の接近で東海地方で豪雨となり雨域が北上している状況でポイント付近は嵐を思わせる強風に。



↑ 雲の動きも早く嵐を予感させる薄暗い空。

これだけ風が強いと雨よりもヒメオオの活動に悪影響があります。
ヒメオオが付いている細いヤナギは右に左に大きく揺れてつかまっているどころではありません。
案の定、いつもいるはずの生息木にはほぼいません。
ボウズで帰るわけにもいかないので普段はスルーする採取したことのないヤナギを見て回ると不思議なことに複数の個体が見つかりました。



↑ 揺れるヤナギの枝に必死でしがみ付くヒメオオの♀。



↑ どうしようか躊躇しているかのようにヤナギとは関係ない雑木で呆然としている♀。

さらに不思議なことにこの日は強風のせいで♀の場所を♂が確認できないのか、そのような場所では♀単独でいることが多く見られた。



↑ 比較的風の弱い場所ではペアの姿も。

途中で雨も本格的に降ってきたので早々に撤収すると、午後からは市内で時間雨量50mmに達する大雨となり店の前の幹線道路や向かいの店舗では浸水するありさまとなりました。一時的には店も停電となり焦りました。
つくづく不順な天気です…。

懲りずに2日後の9月6日もイマイチの天気の中、友人のM氏とヒメオオ採集に。
この日は新規ポイントの開拓予定です。



↑ まずはいつものポイントへ。ガスがかかる中、なんとか1ペア(中央やや右側の枝)を発見。



↑ 上のペアを近くで見るとペアの下に極小の♀がもう1頭いました。面白い構図です。
♂もあまり大型には見えませんが採ってみると真ん中の♀が異常に大きかったです。
帰って測定すると40mmを超えていました。
そういえば一昨日も採れたのは大型の♀ばかりでした。
この日も結果的にはメスの割合が多く大型のものが大半でした。
今期の発生の仕方の特徴でしょうか?
この後大型の♂が採れる事を期待します。



材割りしたポイントで前回はなかったはずのキノコが発生していました。
ムササビタケで可食ですがこの日はスルー。
先述のようにここは幼虫はいても成虫が見つからないのですが、この日はしつこく探しているとやや離れた深いヤブに被われた1本のヤナギで1ペアの成虫を見つけることが出来ました。これでここに成虫がいることも証明できました。

続いて全く未開のポイントへ向かう予定が林道の崩壊のため断念せざるを得なくなったため岐阜県の別の山系のポイントを開拓に向かいました。
一応採れた実績はあるのですが少数なのでもしかしたら隠れた多産地が見つかるかもと期待して徒歩でひたすら探すも全くかじり痕も気配もなし…



↑ いないとあきらめたところで辛うじて見つけた1ペア。
逆に全く見つからない方があきらめがついて良かったのですが…。
どっちにしろ再度訪れることはないでしょう。
結局この日のポイント開拓は外れとなりました。

このままでは今年の販売個体が十分確保できないのではないかと心配になり、9日に4度目の採集に。
この日は冒頭の写真のように朝から久しぶりの青空に。
まさに採集日和ですが、逆にそれが仇となって放射冷却のためにポイントについた時点では気温が13℃まで下がりヒメオオはまだ出ていませんでした。



↑ 気の早い♂が日差しを求めて木を登っていく所です。

ひと通り見たときはわずかだけでしたが再度帰りにもう一度確認してみるとそれなりに見つかってこの日は合計で7~8ペア捕獲できました。
これで今期の販売個体もほぼめどが付いたので今後は他産地の採集に移行していきます。
販売個体は徐々にUPしていきます。

※追伸
最近お問い合わせをメールで戴くのですが中にはセキュリティの関係からか返信しても戻ってきてしまい連絡が取れない方がいらっしゃいます。
お問い合わせには遅くなっても必ず返信していますので返答がない方は再度受信可能なアドレスでメールをいただくかお電話にてご連絡いただけますようお願いいたします。
2013年08月27日


‘13.7.8 店から撮影した雄大積雲。

まさにタイトルどおり時間が過ぎるのは早いものでそろそろ夏の到来かと思っていたらもう8月も終末でそろそろ秋の声が聞こえてきそうな時期になってしまいました。
今夏は全国的にかなりの猛暑で当地富山でも梅雨明けの発表が8月にずれ込んだものの実質7月上旬からほぼ梅雨明け同様の天気でした。
ただ、ここにきて天候が不順で先日も当地で豪雨となり被害も発生いたしました。
豪雨の後は秋雨前線が南下して一転して秋の空気になっています。
大局的な気圧配置から今年は日本海側(西からの湿舌が流入する地域)で豪雨被害が発生しやすい傾向があるようです。
個人的には暑い夏が好きなので猛暑は気になりませんが大雨はいただけませんね…。

シーズン中は良い天気が続いたので仕事にプライベートに忙殺され店長日記及び商品欄を更新する暇がありませんでしたが、営業は問題なく行っていますのでご心配頂いたお客様には申し訳ありませんでした。
バイトをしながら仕事に遊びに採集に子供の相手にと、とてもじゃないけど全てをこなすのは不可能であと2ヶ月くらいは盛夏が続いてほしいです。
ただ、あれもやりたいこれもやりたいと思いながら何も出来ないよりはやれる範囲で出来るように努力したつもりなのでこれ以上欲を出さない方がいいのかもしれません。
と言うもののライトトラップがほとんどできずオオクワの調査がなおざりになったことは悔いが残ります。

これを書いているのが8月末ですのでこれからは自身はヒメオオ、カワラ材採集そしてキノコ採りへとシフトしてフィールド活動が最も充実する季節へと変わっていきます。
その前に夏の間の日記を書いておきましょう。

上述のようにオオクワの調査は思うようにできませんでしたが6月にはポイントの林道が冬期閉鎖から通行可能になったので材割り採集のポイント開拓に数回訪れました。
ただ、何回行っても特に変わったこともなく調査は進展しないままです…。



↑ 6/21 標高は750mほどですが未だに雪渓が残っています。この時点ではまさか今年がここまでの記録的猛暑になるとは思いませんでした。



↑ 余談ですが上の画像の道路脇にある窓のあるコンクリートの壁が何かわかりますか?
この画像はオオクワ調査のため水系の横の林道で撮影したものですが、当地では珍しくなく山間地では水系の上流付近でよく見かけます。
自身も富山に来るまでは知らなかったのですが、これは冬の積雪時に上流にあるダムの管理に行くために電力会社が設営した、人ひとりがやっと通れるトンネルです。
黒部ダムに向かうトロッコ電車は全国的に観光としても有名ですが、それも冬期は動かないため線路脇のトンネルを徒歩でひたすらダムまで行くそうです。
トンネル内に入ったことはありませんが厳冬期に灯りもないトンネル内を歩いて行くのは任務というより冒険に近いですね。

さて、今夏はオオクワ採集はほとんど出来ませんでしたが6月から問い合わせが多かったヒラタを中心に採集に行っていました。
例年なら梅雨明け前後に1~2回行く程度ですが今期はイベントでの需要もあり他のクワガタの採集も兼ねて真面目に週1~2回のペースで通いました。
ポイントは例年なら県東部の川ですが遠いので今期は地元の神通川水系(支流も含む)がメインです。
近年河川敷のヤナギも多くが伐採され採集者も競合するためあまり期待はしていなかったのですが結果的には予想外に生息数も多く確認でき自身だけでヒラタの♂で100頭以上は採れました。もちろん大型個体以外のほとんどはリリースしていますが数の割りにはサイズはイマイチでした。
以前は毎年当地で言うところの「化けヒラ」と呼ばれる65mmUP、常願寺川水系では70mmUPも採集され75mmUPという記録もあるようですが近年では60mmというのが精一杯です…。
環境が戻れば必ず大型個体もまた採れるでしょう。



↑ 7月の始め、この時期の河川敷ではやたら成長して巨大化した毒々しい女郎グモが多くいます。うかつにヤブに入ると顔面にこのクモが張り付くことも…。
あまり好ましい出来事ではありませんね。



↑ クモといいスズメバチといい、この日は新規のポイントを視察するためだったのでTシャツ、短パン、サンダル履きという格好で、足元のマムシも多くいるのでとてもじゃないけどポイントに進入するのは自殺行為です。
上の画像だけ撮って帰りましたが、後で画像を確認したらスズメバチの上にヒラタの♂のアゴの一部が見えています。後々この洞は毎回大型の♂が採れたポイントになるのでこの時採取しなかったことが悔やまれます。



↑ 3日後に改めて採りに行くとやはり洞の中にはすし詰め状態のヒラタが。



↑ 同じヤナギの根元には洞に入れないオスや争いに敗れたと思われる遺骸も多く確認できました。径は10cm余りの小さいヤナギですが行けば必ずヒラタやノコギリが採れるご神木です。



さらに3日後の7月12日、別の木ですが洞にいた樹液まみれで汚れた越冬個体と思われる個体。夏休み前の時期はメスを含め比較的多くの越冬個体が見つかります。



↑ 河川敷には珍しい大型のカブトムシ。



↑ 南国のやしの実を彷彿させますがこちらはオニグルミの実。
採って帰ろうかと思ったのですが皮剥き時の強烈な灰汁が嫌でやめました。



7月19日、この頃は梅雨明けを思わせる晴天続きで猛暑の始まりでした。
河川敷も下草が繁茂して見通しが利きません。カメラの目線の高さからヤブの深さが分かると思います。



いたるところでヒラタが確認できます。おそらく発生のピークでしょう。
調子に乗ってヤブ深く入り込み、より奥のヤナギを探して歩きますが、ふと気づくと完全防備の服装ゆえ汗だくで体力は消耗し呼吸も苦しくめまいもしてきます。
水分は常に補給していますが完全に熱中症の症状です。
息は上がって足が上がらず10歩進んではしばらく休んでというような状態です。
河川敷と入っても雑木林ではないので直接陽が照りつけ風も全くありません。
真昼間なので気温は35℃を超えていてクワガタでさえ根元の砂地に潜って涼を求めている状況です。
いざとなれば周りの川に飛び込めば何とかなると思いますがヤブが深くて来た方向も分からなければ川にも辿り着けない上に流れが急でいきなり深みもあり釣り人が水死することもあるので、うかつに飛び込むとそのままドザエモンになりかねません。
以前も同じようなことをこの日記で書いていますが冷静な自制心が必要だと実感しますね。



採集時の熱中症にも懲りずに翌週も採集におもむくとご神木近くのヤナギの葉がなくなり丸裸状態です。先週は葉が生い茂りヒラタも採れたのに…と思いながら近づくと、枝に点々と何かが付いています。



「しなんたろう」です!
しなんたろうとは富山や石川での俗称でいわゆるイラガの幼虫です。
見た目にも棘が毒々しく皮膚に触ると激痛が走ります。
これが枝のいたるところに付いており100匹以上います。
うかつに木を蹴ると上からこの毛虫が降ってきます。

そういえば先週もイラガではないものの正体不明の植物(ウルシ?)か毛虫にやられて服で被われていたにもかかわらず腕や足の外側部分にジンマシンの様な痒みを伴う発疹が大量に出ました。自身は皮膚が弱いわけではなく採集時は虫除けにキンチョールを直接服や皮膚にかけても(通常の虫除けスプレーはほぼ期待できないので)大丈夫なくらいですから皮膚が弱い人はむやみにヤブに入らない方がいいでしょう。



↑ 8月の入るとさらにヤブは勢いを増して「これが河川敷か?」と思うほどの景色へ変貌を遂げます。ここまで来ると数メートル先のヤナギでさえ到達が困難になので必然的に多くの採集者が訪れるヤナギは限定的になりそれらの木に向かう採集者のための道がくっきりと出来ています。



↑ ヤナギにつくシロスジカミキリ。カミキリがいるとクワガタが少ないといったジンクスがあるのであまり会いたくありません。
8月中旬にはヒラタの発生は少なくなり度重なる採集者のために個体数はかなり少なくなります。
特にメスは産卵のために洞にはほとんどいなくなります。
念入りに探せばまだ見つかりますが次世代の繁殖のためにもこの時期のメスは温存したいところです。採集して店に残っていた一部のメスも再びリリースします。
こうして夏のヒラタ採集は終了しました。

さて、話は変わりますが今年の春に車を買い替えました。



↑ これが先代のクワヒン号のパジェロ。



↑ そしてこれが4代目クワヒン号のデリカスペースギア(H17年式)。
本来、次もパジェロの中古車の予定だったのですが家族の要望でファミリーユースにも適したデリカにしました。今流行の他メーカーのミニバンも魅力ですがパジェロ譲りのミニバンらしからぬ走破性能を持ったデリカ(現行は不適)、それも先代のスペースギアに決めました。2代目クワヒン号もデリカスターワゴンだったのですがディーゼルでトルクが太かったせいもあり一輪脱輪したくらいなら何もなかったように脱出するツワモノでした。
クロカン用の車は多くありますがミニバンでこれだけの車はこれ以外ないでしょう。
またあまり高価な車(T社のラン○ル等)だと走行性能はすばらしくても塗装が傷だらけになるような林道を走ることはメンタル的に無理でしょう。
山を走れない高価なクロカン車は実用的ではないのでこれくらいの車で身分相応というか必要十分です。
ただ、リッター6kmという劣悪な燃費には閉口しますが…。

先代パジェロのボンネットに乗っているのは3歳になった愚息?いや愛息です。
詳しいことは割愛しますが実は一緒に暮らしてはなかったものの自身には19歳になる息子がいます。
今は県外の学校に行っていますが先日、12年ぶりに会うことが出来て感無量でしたがその息子が幼少だった頃に一緒に虫捕りやキャンプに行ったことを覚えていました。彼の場合は3歳の頃には山デビューをして材割り採集にも同行させており小学校に入る頃には一部の立ち枯れの樹種が分かるくらいになっていました。
以前も書きましたが虫屋を継いで欲しいとは全く思っていませんが虫捕りというイベントや技術が記憶として残って、また次世代にそれを受け継いで行ってくれることは嬉しいことです。
3歳になった息子もそろそろ山デビューをする時期を迎えていますが新生クワヒン号で記憶に残るような時間が過ごせることを願っています。

子供繋がりの話ですが、7月末に高岡で富山新聞主催のクワガタ教室を行いました。



↑ 富山新聞文化センターでのクワガタ教室の様子。
マイナーなイベントなので受講者がいるのか不安でしたがそれなりの集客がありました。
途中、小学生や保護者の方には退屈な専門的な話も結構しましたが、有料だったせいもあるのか最後まで拝聴いただきました。
このイベントでも話したことを理解することは無理でも、子供たちが親と一緒にこのようなレクレーションに参加したという思い出になってくれれば幸いです。

さて、9月に入るとヒメオオやキノコ採りで日記の更新の頻度も上がると思います。
ちなみに8月26日にはヒメオオ採集に行ったのですが先週の当地を襲った豪雨の影響で林道が迂回路を含めいたる所で寸断され通行止めで完全にポイントが遮断されてしまいました。
今期は新規のポイントを開拓する予定ではいますがもしかすると販売数に影響があるかもしれません。


↑ 大雨の被害で封鎖された林道。主要な林道が通行止めということはさらに奥の一般利用のない道は下手すると今期は復旧しない可能性も…。

オマケ↓



↑ 以前日記で幻日を紹介しましたがこちらは8月18日に店から撮影した環水平アークとよばれる虹のような現象でいわゆる彩雲とは別の現象です。
今年は不謹慎ですが夜の雷が少なく壮大な大気のドキュメンタリーが観察できず残念です。
2013年05月23日




↑ ’13.5.3 県東部の山間地に山菜採りに出かけたときにポイント付近から撮影した富山湾と能登半島。



日記の更新が遅れがちで申し訳ありません。
フィールドにも行ってはいるのですが、ブリードシーズンに入り店での作業が押しておりなかなかPCに向かう時間が取れません。
今回もまとめての紹介です。
4月になってからは本格的な山菜のシーズン到来で例年のごとく例年のポイントに訪れているもののタイトルにあるように今年の春は天候不順のためタイミングが合わずに苦戦しています。
3月中は暖かく一気に雪解けも進みましたが4月は強烈な寒の戻りもあり雪が降ることもあり寒暖の差が激しく同様の状態がゴールデンウィーク明けまで続き5月中旬からは一転して暑い日が続いています。
このため山菜も早春のものは早くなり逆に晩春のものは平年並みと種類によってバラバラでタイミングを外されました…。

4月に入るとまず第一週には毎年恒例の山葵(ワサビ)採取に利賀のポイントへ。



↑ 左は今年4月5日、右は昨年4月13日の様子。2月には昨年よりも積雪量は多かったにもかかわらず、昨年よりも1週早い時期でも雪解けが進んでいるのがわかるでしょう。
雪が少ないほうが山葵のポイントに辿り着きやすく楽なので安心です。



山葵のポイントにつくと例年と変わらずたくさんの山葵の株が確認できます。
雪解けが早い割りにはほとんど花が咲いていないのが意外でした。



↑ 今年もこのポイントでは天然山葵としては特大クラスのものが採れましたが、今回は葉ワサビをメインに採取しました。一昨年までは根が主だったのですが昨年からは葉ワサビの美味さに路線変更しています。
葉ワサビは花が咲いた後も初夏くらいまで楽しめますが根のワサビ本体は花が咲いた後は辛味が抜けてしまうので早春のものがベストです。
山葵はポイントさえ知っていれば採取はすぐに終わります。
時間もあるので寄り道してついでの山菜を採取します。



↑ アサツキを採るつもりだったのですが近くにツクシもあったので一緒に採取しました。



↑ ツクシの玉子とじ。ツクシはどこでも当たり前にあるので今まであえて採っていなかったので今回が初めてです。まず下処理で袴を一本ずつ取らなくてはいけないのでえらい面倒なわりには無味無臭のような味覚で歯ざわりを楽しむ程度でした…。

翌週12日は定休日を利用して県東部のオオクワポイントで材割り採集です。


3年前から毎年調べている木を今回も割って見ます。ほど良く朽ちている部分はほとんど食痕も入っていません(右上)。



表面付近からはアカアシは多く出ますが、裏側の方まで割ってやっとノコギリらしき3齢幼虫が出ました。やはりオオクワの気配はないようです。早々にあきらめました。
帰り道の途中で別のポイントでカブトムシの幼虫を採りに寄ると、


↑ カワラタケのビッシリ生えたシデ材を発見。裁断してみると断面も均一に朽ちて非常に綺麗です。オオクワ系の産卵材にぴったりです。この日はこれが収穫でした。

さて、4日後の16日は定休日ではないですが午前中を利用して平地近郊の里山に山菜採集へ。
例年ならゴ-ルデンウィーク前くらいなのですが先週の採集時にチラッと見た感じ今年は早いと見越して前倒しして行きました。



↑ しかし、それでも遅かったようです。タラの芽のポイントに着くとごらんの有り様。すでに伸びきっています…。



↑ ただ、ここは多くのタラが生えているためまだまだ採り頃の2番芽が採れました。



↑ この日採れたタラの芽。
旬を過ぎたものの何とか採れて安心して下を見ると、



今度は採り頃の独活(ウド)が!
ちょうどこの後近くの独活のポイント行くところだったのでまずはここで採取した後にそちらへ向かいました。



↑ 別のポイントで独活とタケノコを収穫。十分な量です。
あとは、別のポイントの一番気になるハリギリの芽ですが例年ここでタラの芽を採ったときに同時に採るのですがタラの芽で遅れを取っただけに不安です。



やっぱり遅かった…!
すでに芽は開ききって葉になっていました。
それでも口惜しくて若いものを選んで摘んだのですが天ぷらで食したところ筋が固くてダメでした。唯一の採取木だっただけに悔しいです。



↑ 独活は通常天ぷらかきんぴらで食べるのですが新鮮な根部は生でも美味なので(自身は採りながら食べています)この日は酢の物にしました。生の方が独特の風味があり好きです。

天候の関係やプライベートな我が家のイベント(キャンプ)もあり月の明けたゴールデンウィークの5月3日にS氏と共に再び山菜採りに。
5月に入ると平地でのシーズンは終わっているため標高を上げながら山間部のポイントへ移行します。
標高が上がればまだまだタラの芽も採れますがこの日のメインは何といってもコシアブラ!近年ではタラの芽の人気を抜いてキング・オブ・山菜と称されるほどの人気です。
まあ、コシアブラは簡単にたくさん採取できる上に繁殖率が高いのでタラノキと違って場所によってはある程度採って間引きをしてやらないと他の植生に影響が出かねません。



↑ ポイントに行ってまず目に付いた切り倒されたタラノキ。
直径10cm近くあるタラノキにしては大木です。枝先にあるいくつかの芽を採る為だけに切られたようですが、これだけの太さになるのは稀で貴重なのを考えないのでしょうか?
自身の所有ではありませんが地主の仕業でない限り、現場を見つけていたら怒鳴りつけていたでしょう。採らせてもらっている立場上、最低限のマナーを守れない輩は来るべきではないですね。



↑ 青空に映えるコシアブラ独特の白い肌と若芽の新緑。



↑ 採り頃のコシアブラの芽(左)と倒れたばかりのコシアブラの木(右)。通常コシアブラを採るときは手が届かないため高さ1~2mの若木の芽を摘むのですが、この倒木は芽を付けた状態で倒れたためこの一本で必要量を採取できました。



↑ 同じポイントで見つけたワラビ。
このポイントは平野部と違って例年通りのタイミングで採れました。



↑ ここで採れたコシアブラとワラビの収穫。オマケで後ろに写っている極上のコナラのカワラ材も採取できました。

このポイントからやや離れてさらに標高を上げて秘密のタラの芽のポイントへ向かいます。
先ほどのポイントはマナー知らずの採取者も来る知られた場所ですが、こちらは知る人ぞ知るポイントで競合者はいますが、それでも採りきれないほどのタラノキがある場所です。
以前までは悪路の林道があるだけでしたが近年道路も整備されたのでいずれここも多くの採取者が来ることでしょう。



↑ ここは標高は400~500mほどですが多雪なのと南斜面ではないため雪解けが遅くこの日でも残雪がありタラの芽もまだツボミの方が多いくらいですが十分収穫できました。
ここは5月下旬まで採取可能です。



↑ 山菜採りの合間にオオクワのポイントに寄って材割りしました。



↑ 意外にも結構朽ちた切り株が散在しており明らかにコクワではない(おそらくノコ)2齢幼虫が確保できました。
機会を見て改めて真面目に材割りしてきます。

翌週は久しぶりに「昆虫フィールド」の原稿の執筆のためにほとんど出歩けなかったのですが、11日には友人のM氏の希望で八尾へ山葵採りに。
時期的に少し遅いのですがここは除雪の入らない林道なので雪が完全に解けるまでは入山できません。



↑ 沢の周りに群生する山葵。
ここの山葵は利賀のポイントと違って水流が少なくほぼ土に生えているので根であるワサビ本体はあまり大きくありません(一般的にはこれが普通で利賀が特別大きい)。



↑ 花が咲いている山葵の群生。
M氏は葉ワサビではなく根が欲しかったらしいのですがあいにく大きくても親指くらいしかないので数でカバーしました。
利賀に行けば大きい山葵は採れるのですが花が咲き終わって時期が遅いのであえてこちらに来ました(後日談でここの根ワサビも辛味が抜けていたようです)。



↑ 自身は葉ワサビを採取します。時期的なものなのか土に生えているせいか利賀のものよりも葉はかなり大きいです。手のひらよりはるかに大きく茎も50cm以上に成長しています。まだ花が咲き始めた時期の割りには大きいです。

この後、渓流沿いの林道を走っていて対岸にこことは比べ物にならないほどの山葵の大群落を見つけました。雨がひどかったため直接は確認しませんでしたが来期が楽しみです。

翌々日の13日には昨年より2週間前倒しして利賀へ山菜採りと材割りに。



↑ 雪解けが早いことを想定して行ったのですがごらんの有様でした。
林道はまだ雪渓の状態です。
仕方なくここからポイントまで往復2~3kmを徒歩で向かおうと歩き出して雪渓を越えたところで路上にタイヤの跡がありました。ということは反対側からアプローチすればここまで来れるということです。ならば車でポイントまで行けるはずと、引き返して再び車で山を周って反対側から進入しました。
すると結構入山者があるのか道路際のタラの芽はほぼ採られています。
これは自身のポイントもやられたかな?と思いながら取りこぼしのタラの芽を摘んでいると斜面下方の木が目に付きました。



ん?…ハリギリだ!!
先日、採り損なって今期はあきらめたハリギリです。こんなところで見つけるとは。



↑ だいぶ葉は生長していますが枝先には新芽も見られます。
幸い高枝切りバサミを持参していたので何とか低い枝の新芽を採ることができました。
小さい若木と違って同じ新芽でも房が大きいです。
この日の晩に渋る嫁に頼み込んで天ぷらにしてもらい食したところ味、食感共に絶品でした。

その後、自身のポイントに着くとやはりタラの芽はほとんどありません。
やっぱりやられたか、と思いよく見ると採られたのではなく、まだツボミの状態でした。
やはり2週間の前倒しは尚早だったようです。
一番の目的である極太の山独活も



↑ こんな状態でとても採取できる大きさではありません。
ワラビも全く出ていないのでコゴミとコシアブラを代わりに収穫して材割りする時間が無くなったので終了しました。

一週間空いて20日にはバイト明けでそのまま富山近郊のエノキポイントにカブトムシの幼虫を調達に行きました。
近年はたかがカブトムシと侮れないほど幼虫が採集できるポイントが減ってきています。



↑ カブトの幼虫が生息している場所にあるエノキの倒木。
以前に日記でも紹介しましたが、近郊で採取したエノキからオオクワガタが羽化しているのでこのエノキも可能性では無視できません。
根部付近からはノコやヒラタは多く採れるのですが本体部分から見つかるのはほぼコクワです。


↑ 上の画像で二股になっている部分からコクワではない2齢幼虫が見つかりました。
周辺から同等の幼虫が出てこない(コクワは複数出た)ため念のため持ち帰り飼育して見ます。
まあ、ノコが羽化してご苦労さん、ってなると思いますが…。
2013年04月21日


知らない間に前回の日記のUPからだいぶ期間が空いてしまいましたね…。
何も活動をしていなかったわけではありません。
雪解けと共にフィールドには出かけていたのですが、自家用車の買い替えを行っていたので色々そちらの方に手がかかってしまい、そうこうしているうちに今年のブリードの産卵セットの時期が来てしまい作業に時間が取られなかなかUPが出来ませんでした。

さて、今年は2月までは当地では積雪は少ないものの平均気温としては例年より低く推移していたものの3月からは一転して全国的に平均気温を上回る日が多くなり早い春の訪れとなったところが多いようです。
サクラの開花も記録的な早さの地域が多々あるようで当地富山も当初の開花予想日よりも前倒しの3月末には開花が発表されました。
自身も予想外の早い春に戸惑いながらも慌ててフィールドでの活動を再開しました。

まずは、例年通り最初はエノキの天然カワラ材採取と材割り採集からです。
3月11日に前回の日記で書いたエノキとヒラタの材割りポイントとは別の富山市郊外の里山に行ってきました。
ここは、昔から馴染みの場所で近いこともあり付近はよく車で通ります。
ポイントとしては見尽くした観がありますが3年ほど前に大きなエノキが伐採され放置されているのを発見しました。
まだ、腐朽には尚早かと思いますが部分的には使えるだろうと予想して見に行くことに。




↑ こちらはエノキではなく、以前も紹介したケンポナシの立ち枯れ。画像の左右の木が立ち枯れています。立ち枯れになってだいぶ経つのでそろそろ倒れるかな?と思っていましたがまだまだしっかり立っています。
一部は折れて地上に落ちているのですが、それでも径が太くまだ内部は朽ち方が若く手ノコで切るのはかなりしんどいためスルーしました。
斜面を降りると上画像の左側の立ち枯れの一部がだいぶ下のほうに落ちていて太さ的にはちょうど適当です。


↑ シハイタケもビッシリ生えていて見た目はイイ感じですが…
径は20cm強で裁断してみると菌は廻っていますが若干若くオオクワ系には使えるかな?という感じでした。斜面を抱えて登るのが大変なのでとりあえず1カットだけ持ち帰ります。
ケンポナシはケヤキと同様に生だととても堅く朽ちると急激に柔らかくなるので採取のタイミングが重要です。朽ち木は優良な産卵材になります。
この木はまだ数年先でしょうね…。

さて、ケンポナシを後にして目当てのエノキを見に行きます。




↑ これが切り株。裁断面の径は1メートルほどの大木です。
案の定、部分的にシハイタケが着生しており良さげな感じです。
しかし、根部は形状的に手ノコでは切りようがなく今日は見るだけに。




↑ これが本体です。夏場は強烈なブッシュに覆われ姿が全く見えなくなります。
樹上にはサルノコシカケを始め複数のキノコが発生していますが径が径だけにまだまだ生です。綺麗に朽ちることを願います。




↑ 本体上に発生していたチリメンタケとエノキタケの子実体。

枝の一部で使えそうなものがないか物色して太さが10cm前後のものを折ってみると、


↑ まだ少し堅そうですが均一に朽ちており採り頃でしょう。
色虫にはちょっと堅めですがオオクワ系にはベストな感じです。ちょうど今から自家用でオオクワ系の材は多用するので助かります(ちなみに自身は天然材しか使用しません)。
これ以外にもいくつか色虫用の柔らかめの材も採取してこの日は終了。




↑ こちらはすぐ近くで伐採されたケヤキ。エノキと違ってケヤキは使えるまで10年くらいかかるでしょう。




↑ さすがにまだ堅いツボミのタラの芽。でも、今年は例年より早そうな感じです。

それから4日後の3月15日。この日は定休日なので先日見てきたエノキの根部を改めて裁断しに行きました。




↑ 上でも紹介したエノキの切り株。覆っていた枯れ草を取り除くとシハイタケが生えている様子がハッキリ分かるでしょう。
画像中の右側の根部が目的です。




↑ 左が裁断前、右が裁断後。画像では裁断面が見難いですが全体に菌が廻っているのが分かるでしょうか?ただ、質はやや堅めなのでオオクワ用ですがオオクワ用としてはこれ以上はないくらいのまさに最高の生カワラ材です。
裁断面には幸い雑虫の食痕もほとんど見当たりませんが、安心は出来ません。地中部の根の裏側はほとんど腐朽していなくてもノコギリやミヤマが産卵します。




裁断した根部の裏側の樹皮を少しめくって見ると、「やっぱり、いた!」
部位から考えてほぼノコギリで確定でしょうが、ここも十数年前にオオクワが採取された記録(新聞掲載)があるポイントなので念のため持ち帰り飼育します。
現段階でノコギリの幼虫が確認できたということはおそらく来年以降は産卵材として使用するのは難しいでしょう。
これだけの大きさの切り株なら多い年には200頭以上のノコギリの幼虫が巣食うこともあります。来年以降はノコギリの採集木となります。




↑ 材も採取して付近を散策しているとさすがに標高の低い里山では日当たりのいい場所はフキノトウがすでに花開いていました。
やはり今年は少し早いです。フキノトウも山に行かないともう遅いようですね。

続いてさらに1週間後の3月22日、この日は材割りを兼ねて過去に自身がオオクワを発見した水系の河川敷のエノキを見に行きました。
ここも先述の里山同様、エノキが伐採されて放置してあります。






↑ 倒木の周りに多く見られる低木はタラノキです。ここは優良なタラの芽のポイントでもありますが近年業者が茎ごと切断して採っていき採取量が激減しています。
さてエノキの倒木ですが、このように地面に半ばめり込んだ状態だと、まず綺麗に朽ちることは期待できません。接地面や周りがボロボロに朽ちていき内部は生部が残ります。また、コクワやタマムシが多く巣食うため産卵材には使用不可となります。
エノキはあっても綺麗な朽ち木はこれだけの倒木からほんの数カットしか採れません。




↑ 何とか見つけた使えそうなエノキ材。結局この日採取した材はこの画像の1カットのみでした。

材採りはあきらめて材割りにスイッチします。
過去にはオオクワが採れた実績のある場所なので期待しますが…




↑ いかんせん材の状態が良くありません。
赤っぽく朽ちた部分を割っていくとやっとノコギリらしい幼虫の食痕が出てきました。
これではオオクワは期待薄です。




↑ 別の立ち枯れを割ると、堅いですが良い感じの食痕が。
オオクワの2齢かと思いきやコクワの3齢でした…。




↑ さらに別の切り株の根部から見つかったノコギリもしくはヒラタです。
こんな細い根部に複数頭も潜んでいました。
この後、手オノのオノ部が再びスッポ抜けて材割りも終了。

仕方ないので帰り際に少し山を上がってフキノトウを採りに。




↑ ここは先日の里山と違いまだフキノトウも小ぶりのものが出てきたばかりでした。



↑ それでも何とか食べられる量をゲット!
もちろんその日の晩に天ぷらで初物を食しました。
やはり春はここから始まります。

だいぶ日記がご無沙汰になりましたがとりあえず3月分をUPしました。
近日中には4月分もUPしますのでしばしお待ち下さい。
商品の方も近日UPします。
2013年02月12日


↑ 2月8日、牛岳スキー場山頂部より呉羽丘陵を挟んで富山平野(画像右手)と砺波平野(画像左手)を望む。
この日はプライベートでボードをしに行きあいにくの吹雪模様でしたが、たまたま雲の切れ間で下界が見渡せたときに撮影しました。

さて、立春も過ぎて冬も終盤となってきました。
今のところ12月初めに異例の大雪が降って以来、当初の予想に反して累積積雪量は大雪だった昨年に及ばないどころか平均値をも下回っています。
これから大雪が降ることは考えにくいので今冬は少雪傾向のまま終わりを迎えそうです。
少なくとも当地に限って言えば降雪量の長期予報に関しては当たっていたとは言えないですね。
ただ、寒暖の差が大きい冬という自身の予想は当たっていたので気象庁のスパコンよりも経験則で予想した方が現実に近いというのもどうなんでしょうね?
いち気象マニアとしては気象庁に苦言を呈したいところです。

さすがに雪が少ないと言っても積雪が少ないだけで降雪日は結構あるので前回の日記でも書きましたが雪が溶けたと思ったらまた雪が積もるという繰り返しで結局はなかなかフィールドに出れません。
ましてや山は平年並みに積雪があるので平地で雪がないからといっても到底入山は不可です。
山に行けるとしたらせいぜいスキー場くらいのもんでしょう。
というわけで、この仕事を始めてからは山に行くのはほぼ仕事絡みだったのですが、年末に子供をソリ遊びにスキー場に連れて行ったのをきっかけにスノボを再び始めました。
さすがにゲレンデを離れて山中に入ることはできませんが、間近で雑木林の様子を見ることができるだけでも気持ちが安らぎます。




↑ 1月25日、牛岳スキー場のリフトから。
この辺りは優良な山菜やコケのポイントなのでリフトから必死に立ち枯れをチェックするものの距離があって見つかりません。
おまけにこの日は最悪の天候でリフトの運行も断続的で時折強風によってホワイトアウトになるブリザードが吹き荒れ早々に切り上げました。
こんな中、下手に入山したら間違いなく遭難するでしょうね…。

さて、1月下旬には市街地ではすっかり雪も無くなったので標高が低いポイントならば入山できるだろうと思い、毎年この時期に材採り、材割り、ヒラタケ採り目的で必ず訪れる市内の里山に行くことにしました。
昨年まではここは材割りといってもヒラタとノコギリ狙いでしたが昨年の日記でも書きましたが天然オオクワガタが混入していたエノキ材を採取した可能性が高いポイントなのでモチベーションが異なります。



↑ ゲンを担ぐため昨年末に奇跡的に手元に戻ってきた手オノを持っていくことにしました。左は見つけた時の状態。刃は一面錆びて赤茶色に変色していましたが砥石で研いで何とか右の状態まで戻しました。
工具のサンダーを使用すればすぐ錆びは落とせるのですが気持ちがこもらないのであえて手で研ぎました。まだ、黒サビが所々にありますが繰り返し研げば取れてくるので問題ないでしょう。
これでオオクワガタの幼虫を採るべく2月1日に材割りに行きました。




↑ ポイントの雑木林内。まだ20~30cmの積雪があります。

まずは取り置きしてあるエノキの立ち枯れの具合を確認します。
この木は昨年上部が折れて落下した立ち枯れで日記でも紹介しましたが極上の腐朽具合でした。
根部付近はまだ若そうだったのでとりあえず手を付けずに保存中です。




↑ 根部付近です。画像上部にコフキサルノコシカケの子実体が確認できると思いますが、このエノキはコフキサルノコシカケとマンネンタケ(霊芝)によって腐朽しています。
根部付近にオノを入れると完全に腐朽が進んでいて力を入れなくても崩れます。




↑ UPにした画像。材の縦の繊維に沿って崩れているのが分かると思います。オノを使わずとも手で簡単にむしれます。
これは上記2種のキノコ菌の腐朽の特徴でキノコ菌が繊維に沿って上下方向に侵攻していくためにこのような朽ち方をします。
あまりにも腐朽が進んで柔らかいのと菌の勢いが強いためこのような部分ではクワガタの幼虫を発見することは少ないです。
根部がこれだけ腐朽していると言うことは本体が倒れるのも時間の問題でしょう。
倒れる前に雪が溶けてある程度含水量が少なくなった頃に裁断して採取することにしました。
産卵材として利用するためにこれ以上の材割りをせずに次に進みます。




↑ 少し移動したところで倒木に生える凍りついたヒラタケを発見。
雪割りのヒラタケは旨みが凝縮されていて美味ですので早速採取しました。
ヒラタケを見つけたので本命のヒラタケ材を見てみることに。
着いてみるとつい最近付いたと思われる足跡が…。
やはりやられました。
足跡を見ると道路の方からこの材の場所に向かって歩いてきているので明らかにヒラタケ狙いでしょう。
それでも倒木の裏側に多少の採りこぼしがあったので採取して先ほどのヒラタケと合わせてコンビニ袋一杯分になったので良しとしましょう。

続いては貴重なヒラタケ材を必要以上に損壊させないように気をつけながら根部付近を材割りします。
まもなく、




↑ ノコギリと思われる2齢幼虫が出てきました。




↑ 続いて3齢幼虫が現れましたが、こちらはコクワ。
表皮近くの割りやすい部分は大半がコクワなので深部に潜むヒラタを狙います。




↑ 堅い部分からそれなりの3齢幼虫が顔を出しました。オッ!?と思いましたがどうもノコギリのようですね。
その後も出てくるのはコクワとノコギリばかりなのでそれ以上割るのを止めて撤収しました。
縁起を担いだ手オノでも良い結果は得られませんでした。
やはり落として見つけたポイントじゃないと効力を発揮してくれないのでしょうか?

2月4日には先日のポイントから1~2km離れた同一エリア内の別のポイントに行きました。
ここも取り置きのエノキ材がある場所です。




↑ 複数のエノキの倒木群です。
ただこのような状況ではなかなか均一には腐朽せず部分的に腐り落ちたりクワガタやカミキリの幼虫、アリ等でボロボロになってしまうことが多々あります。
状態を見るため一通り外見を観察していると、




ここにもヒラタケが生えていました。エノキ材とヒラタケはやはりセットで見つかることが多いですね。
老菌に近かったので採取はしませんでした。




↑ 見事に生えたシハイタケ。良い材に見えますが裁断したら腐朽具合の差が極端で使える部分は一部だけでしょう。
地面に接地している付近はやはりボロボロになって食痕も多く確認できるので手オノで材割りをしてみると、なんと手オノのクサビが取れて刃がすっぽ抜けました…。
メンテが十分でなかったようです。
材割りをあきらめて材を裁断しようと手ノコで挑みましたが径が太くて堅い部分があったので早々に断念、撤収となりました。




↑ 近くで見かけた杉の木。
この日は冬の嵐の前触れで気温が高く雨を伴った強風が吹き荒れていて花粉を溜め込んだ大きなツボミが今にも開きそうでした。
自身は大丈夫ですがアレルギーの方は今年は昨年以上の飛散量が予想されているので事前に万全の対処をしましょう。

2月8日は定休日でしたが先日来の嵐のためフィールドに行くのはあきらめて再びスノボに行ってきました。
この日も吹雪に見舞われましたが時折晴れ間も見えて記事TOP画像の綺麗な景色も拝むことができました。

また、祝日の11日には全くのプライベートですが冬のイベントが催されている利賀の蕎麦祭りに行ってきました。
シーズン中はホームグラウンドにしているお馴染みの場所だけに一度は行きたいと思っていたので良い機会でした。
まずは嫁と子供を連れてスキー場のスノーバレー利賀へ。
吹雪で視界が悪い中、子供のソリ遊びをしました。
自身も1本だけリフトに乗ってボードをしましたがイベントをしている割りにはスキー場は人も少なくほとんど貸切のような状態です。
残念ながらこのスキー場も今期限りで閉鎖が決まっているようですがしかたありませんね。
その後、昼食代わりに蕎麦を食べに祭りのイベント会場へ。




↑ 会場付近の風景。
あわよくば山に入れないかと思いましたが、夏場見慣れた風景とはうって変わって積雪2m50cm超の厳しい環境は一歩も踏み入ることは不可能です。




↑ イベント会場の入り口の雪像モニュメント。
言われるまでわかりませんでしたが東京駅をあしらっているそうです。
このイベントは3日間で3万人の来場者があるそうです。
場所と環境を考えたらかなり大規模なイベントと言えるでしょう。

肝心の蕎麦ですが大きなロッジ風の建物の中に複数の店が出店していますが、店によって人気はマチマチですね。
ただ、昼時には各店行列となっていますし、いかんせん座る所が少な過ぎです。
並んでやっと蕎麦を買ったはいいが食べることができません。
仕方なく屋外の簡易テント内で食べましたが、3万人という来場者があるのは分かっているのだし土地も空いているのだからせめて簡易テントだけでも増設して欲しいです。




↑ どの店の蕎麦を食べるか迷いましたが、無難によく店舗の方にも食べに行く「なかじまや」さんで注文しました。
あくまでイベントということで雰囲気を楽しむなら十分ですが、本当に蕎麦を味わいたいならイベント時以外に当地の専門店を訪れることをお勧めします。

このイベントに訪れた方のブログを見ていたら利賀の蕎麦は平打ちが特徴と紹介してありましたが、確かに細麺ではなくどちらかというと太麺ですが顕著な平打ちが特徴というわけではないと解釈しています。
会場には県外の出店もあったので混同されたのかもしれませんね。
利賀蕎麦はつなぎのない十割蕎麦というのが特徴なのです。
ささいなことですが蕎麦好きとしてはきちんとウンチクを、いや評価をしてもらいたいです。




↑ 会場ではイワナの唐揚げと塩焼きも販売されていて塩焼きを食べて見ました。
養殖物だと思いますが、炭火で焼いている割りには身は少しパサパサ気味でした。
初めて食べた人は「こんなもんか…。」と思う方もいるかもしれませんが、天然物の炭火焼きは全く別物で絶品です。
利賀の愛好家として言わせてもらえば、利賀はイワナも山菜もキノコも旬には最高級の天然物が採れます(味わえます)ので違う機会にも是非訪れて見て下さい。




↑ 会場の雪像群は札幌の雪祭り等と比べると見劣りはしますが、会場警備の臨時の派出所が雪で作られていたのが一番雰囲気を感じました。

イベントが終了すれば再び雪に閉ざされた空間になってしまいますが1ヵ月半ほどでフキノトウやワサビ採りの時期が訪れます。
そのときを楽しみに会場を後にしました。




↑ 話は全く変わりますが上の画像は自宅に保管してある菌糸ビンからキノコが発生している様子です。
それも一昨年から放置してあるボトルです。
おそらく投入した幼虫は成長途中で死んでしまったものと思われますが、丸一年以上経過してもキノコを発生させる能力を有しています。
見て分かるようにヒラタケなのにエリンギ状に柄が徒長して傘が極端に小さいのが力強さを自慢をしている腕のようにも見えますが、逆に培地の分解が進んで栄養価が乏しいことを物語っています。
ヒラタケに限らずこのような貧栄養価の環境では柄だけが伸びやすいことを覚えておきましょう。
全く触らずに水分さえ与えていない状況で子実体を発生させる生命力には驚くものがありますね。
2013年01月16日

年も明けてもう年号を書く際に2012年もしくはH24年と間違うことも少なくなり慣れてきたこのごろです。
ところであるWebサイトで読んだのですが、新年の挨拶で
「新年あけましておめでとうございます。」
という文章を日常的に使っていますが、これは
「旧年明けまして、新年おめでとうございます。」
というのが正しいらしいですね。
今までこの歳になるまで新年が明けるという意味で解釈していました…。
同様に思っていた人も多くいるのではないでしょうか?
とりあえず今年もよろしくお付き合い下さい。

富山では年末から積雪しては溶けて、積雪しては溶けての繰り返しで溶けた頃を見計らって山にコケ採りの続きか材割り採集をしに行こうかと思っているのですが、そのときには新たに雪が積もって結局前回の日記更新以来フィールドには行けずじまいです。
まあ、毎年のことなので仕方ないとあきらめて地道に店でブリード作業をこなしていますが…。
この時期、大手を除く小売店や用品メーカーは大半が開店休業や冬眠状態に陥ります。
当店も同様に経済的な不足を補うためというよりは店を維持するためにアルバイトをするというような状況になります。
度々お客様から、
「高い虫とかを売って丸もうけやろ?」
あるいは、
「こんなもん商売になるがけ?もうからんやろ?」
という質問を受けますが、あきらかに後者の質問が正しいことは言うまでもありません。
「好きだからこんな仕事できるがやろねぇ。」
とも言われますが、もちろん好きですが好きだけでは商売はできません。
自身は商売という行為自体はむしろ好きではありません。
どちらかというと虫の生態を調べたり優れた飼育用品の開発、天然素材の採取が好きでやっています。
残念ながら世論では「所詮、虫。」という位置付けなので専門の研究機関や民間企業があるわけではなくそれを生業にすることが不可能なので小売店という業態をとっているまでです。
よって利益だけを追求して商売をしているわけではなく情熱があるからやっているのです。

毎年、この業界では多くの新規業者が起業しますが近年はそれ以上に廃業する業者が多くなっています。
中でもビジネスとしてこの商売を考えている業者ほど短期間で辞めてしまいます。
やはりビジネスベースでは経営的に難しいということなのでしょう。
長く続いている業者は経営的な要素もあるでしょうがやはり何らかの情熱があるから続けられるのでしょう。
当店も今年で開業15年、直販店も開店12周年を迎えます。
我ながら良く続いたなぁという思いと情熱があったからこそできたのだという思いがあります。
ただ、この時期のように本業が暇で時間があると色々ネガティブな考えも浮かんできます。
時に経済的な苦難は心も貧しくして情熱をも駆逐してしまいかねません。
自身もこれまでに何度も心が折れています。
情熱を失ったことも何度となくありますが、それでも続けてきたのは他に心の支えがあったからです。
それは家族の理解と子供に対する思いです。
父親としての背中を見せたいという思いからでした。
別にイイ格好をしようというのではなく、情熱を持って一生懸命やっているということを理解して欲しいのです。
子供にしてみれば
「お金も稼げないのに夢ばっかり追ってバカみたい。」
と思うかもしれません。
それならそれで構いません。子供は同じ轍を踏まずにもっと賢い選択をしてくれるでしょう。
ちなみに子供にこの仕事を継いで欲しいという思いは全くありません。むしろして欲しくないと思っています。
ただこの仕事のキャリアと知識、情熱だけは他の人間に絶対負けないという自負があることを理解してもらいたいと思っています。
とは言うものの現実には生活がかかっているので見栄を張ってばかりいるわけにはいきません。
自身でもいつまでやっていられるか分からないので不安ではありますが逆に楽しみでもあります。
まあ、他にできることがあるわけではないのですが…。
基本的にはライフワークだと思っています。

情熱と心の支えがある限り今年もがんばっていきますのでご愛顧と応援よろしくお願いします。
新年最初の日記がちょっとヘビーになり申し訳ありません。

※ 310へ、
「それでも俺は1日のために10年を生きる。」
パイレーツ オブ カリビアン『デッドマンズ・チェスト』より引用。

一般の読者はスルーして下さい。
2012年12月29日




↑ 12月10日、店の屋上から北西方向の市街地の景色。
積雪は40cmを超え、断続的に雪が降り続きました。

ついに積雪です。
予想通り当地富山では12月初旬としては異例の大雪となり一時積雪は43cmに達しました。H18豪雪のようにその後も継続して寒波が襲来することはなかったので平地では根雪になることはなく数日後には溶けましたが山は完全に根雪で利賀のナメコポイントも1mを超える積雪となり入山不可となりました。
今季の天候は自身の予想では寒暖の差が大きく寒波の襲来はあるものの長期にわたって豪雪になることはないと思っています。ただ寒暖の差が大きい冬は一発寒波で大雪になることが多く油断は禁物です。

予想外というか予想通りの早い積雪で今季のコケ採りもほぼ終了となりました。
利賀ではまだ回ってなかった手付かずのポイントもあっただけに残念です。
それでも今月に入って一応早期の積雪を想定してポイントの選別を行ってきたのでこれ以上望むべきではないでしょう。

11月までのペースではないものの12月も最終のコケ採りに勤しみました。
先述のように利賀に有望なポイントを残してあったのですが12月に入って平地にも雪が下りてくるといよいよナメコも里山近辺の標高的に最下方のポイントが旬になってきます。
利賀も気になるのですが山間部は積雪のためにだいぶ入山が厳しくなってきていますのであえてリスクを冒すよりも確実なポイントを選択した方が利口でしょう。
そんなわけで先月末にコケの発生を確認した県東部方面に移行しました。
里山とは言うものの先月下旬に降った雪が根雪状態になっているため車での進入が懸念されます。
今月始めの3日(月)は予報では気温が10℃以上まで上昇する予定だったのでチャンスを逃さず山に行ってきました。



↑ この日のポイント付近。やはり山は根雪になっています。
このポイントは昨年も採っている実績のある場所なのでナメコ、ヒラタケ共に期待が持てます。
地面は雪で覆われていますが山道を歩いていると暑いくらいです。やはりコケ採りは気温5~6℃くらいがベストですね。



↑ 早速、ほど良い大きさのヒラタケを発見。



↑ 雪が積もってからのヒラタケは生長が遅くなるものの肉質も厚く締まっていて色つやも最高です。

幸先の良さを予感しながら早速採取して次を探します。
急斜面の横の尾根線を歩いていると斜面下の立ち枯れの樹幹にコケらしきものが見えます。はっきりとは見えませんが遠くからでも樹皮からボコボコと出っ張っているのが分かるということはヒラタケで間違いないでしょう。↓


デジカメのズームで撮影するとやはりヒラタケです。


↑ 近づいて見ると傘幅20cm超の大物を含め予想以上の群生ですが斜面上から見下ろしているのと異なって足元からは発生部位が高すぎて手が届きません。
こんなときは付近で適当な2~3mの枝を拾い先をカマで削ってヘラ状に加工してコケをこそぎ落とします。
ナメコと違ってヒラタケは石付きががっちりと樹皮に張り付いているため結構大変です。
大物は落下の衝撃で割れたりしましたが拾い集めると届いた範囲のものだけでも5kgくらいになりました。もう少し生長を待って全て採れば10kgオーバーも見込めたでしょう。

早くもデイパックがヒラタケで占められた状態になりましたが、そのままナメコを探します。材割り採集時は小型のデイパックで十分ですが山菜やコケ採り時には現在の容量15リットル程度では小さすぎます。
本格的な山師だと20~30kg近くもの収穫物を担ぐらしいので自身はまだまだ及びません。

元の尾根道に戻り昨年もナメコを採集した木を探します。



↑ 予想通りナメコは出ていましたが昨年ほどの群生ではありませんでした。
気を取り直して別の取り置きの発生木を見に行きます。



↑ こちらは期待通りの大群生。ヒラタケも出ていますがまだ小ぶりです。



↑ 裏側の根際付近。まさに採り頃のナメコとヒラタケが共生しています。




さすがに根雪の山では陽の当たらない木の裏側に生えているナメコの表面はシャーベット状に凍っており雫もツララになっています。
この木に今季再度来れるかどうかわかりませんが幼菌はとりあえず残して状態の良いものだけを採取しましたが、それでもナメコだけで3kgくらいはありました。

一通り取り置きの木を見て回ったので少し足を伸ばして奥の斜面の方も見てみることにしました。
さすがに利賀のような標高の高いポイントではないのでナメコの発生木は多くありませんがカシナガによる立ち枯れが多くある以上、数をこなせば必ず見つかります。あとは時間と体力の問題ですね。
しばらくウロウロして戻ろうかとしたときにやはり見つかりました。
遠目にはたいした群生には見えませんでしたが近くで改めて見ると驚きです。



↑ 画像だけでは伝わりにくいですが、出ている全てのナメコが極上です!一部が極上というのは良くありますが全てです。


↑ 左画像は10cm級の大型で若いナメコの群れ、右画像はマツタケのように柄が10cmほどに伸びた肉厚の株。どれにしても古くなって開いたり徒長したものと違ってまさに肉厚でベストの状態です。
それもこれだけバラバラに発生していれば幼菌や老菌が混生しているものですがほぼ同時期に発生したのか全てが採り頃です。
以前、五箇山方面のポイントで見つけた超大型ナメコと同様にこの木のナメコは周辺で採れるナメコとはまるで異質の菌種のように思えます。
今まで何百本という発生木を見てきましたがこれだけ粒揃いの木は唯一無二です。
この木で2.5kgほど採れ一部をその日に食しましたが、やっぱり他のものとはひと味違いました。


↑ 径10cm級の肉厚のナメコはひと傘で64gもあります。これが2つで市販のナメコの1パック以上の重量があります。どれくらい食べ応えがあるか想像できますか?

ブナ帯で採れる早生のナメコもそれはそれで山の香りがして味わいがありますが、冬期に採れる晩生のナメコは雪や低い気温にさらされるため旨みが凝縮して絶品ですね。
ヒラタケも同様に冬場のものは寒茸と呼ぶ地方もあり早生のものと区別されるくらい見た目も味も異なります。



↑ 極上ナメコに満足して帰路の途中に見つけた別のナメコの群生。やや老菌気味で極上ナメコを採った後では食指が動かずスルーしました。
この日の収穫はナメコ6kg、ヒラタケ7kgでした。

さて、3日後の6日は定休日の前日で天気もイマイチでしたが翌日からさらに天気が荒れそうでしたので前倒ししてコケ採りに県東部のポイントへ。
この時期になると常にこの日が今期最後の採集になるかもしれないという覚悟があるので惨敗するわけにはいきません。
そんな思いもありこの日は確実にナメコが発生している取り置きの立ち枯れを見に行きます。
じつは、この木は昨年オオクワの材割り調査時に偶然発見したナメコの発生木で大群生でしたが発生時期が遅く成菌になりきる前に採取してしまいその後は雪に閉ざされて訪れることができなかった木です。
今期は同じ轍を踏まないように発生が早まっていることを願いながら向かいました。
幸いにも3日前に残っていた雪もだいぶ溶けています。


着いて見ると期待もむなしく発生はしていますがまだまだ幼菌です…。



↑ 左が今年の12月6日、右が昨年の12月7日の様子。このところの冷え込みで残暑の影響による発生の遅れは取り戻しましたがやはり昨年と変わりません。
あきらめて他の木を探しますがこのポイントは広葉樹の面積が少ないためあまり期待できません。



↑ それでも程なく少量のヒラタケをゲット。

さらに急斜面を歩いていると、


↑ 細い立ち枯れの上部にプリプリのナメコを発見。
しかし画像でも分かるようにこの木は急斜面に斜めに突き出した状態で、木に辿り着くのもやっとです。木の下は高さ30mほどの崖に近い急斜面でつかまる低木もなく滑ったら間違いなく下まで転がっていくでしょう。
以前の利賀のパラダイスを見つけたときよりさらに危険です。
あきらめきれずにとりあえずカマと拾った枝で木にしがみつきながらなんとかナメコを落とします。
その後、地面に露出した雑木の根につかまりながら拾い集めました。こんなことなら車から安全帯(命綱)を持ってくるんだったと思いながら手が滑って滑落したら「キノコ採集の男性死亡」という記事で載るんだろうか?せめて職業上、昆虫採集の方がマシかななどと考え、命を懸けてまで採らなければいけないものでもないのでこれからはリスキーな行動は慎もうと心に決めて慎重に採り終えることができました。



その後、近くでさらにナメコを発見。


↑ 左は上部画像の木の裏側の群生。やはりシハイタケと共生しています。右はアップの画像。ツヤツヤで非常に状態も良好です。
狙っていた木では採れなかったものの別の木で代わりの収穫がありこのポイントを後にしました。後日、機会があればもう一度訪れるつもりです。

時間があったので3日前に訪れた場所の近くの別のポイントへ行くことに。
ここはちょうど一年前に材割り調査で訪れ結局コケ採りをしたポイントです。
じつはその時に愛着のあった大事な手オノを紛失してしまい春に雪が解けたら探しに来ようと思いながら結局来ずじまいで一年が経過してしまいました。
そのことを忘れていたわけではありませんが現場について改めて思い出しました。
しかし起伏の多い広い斜面の雑木林のどこで落としたとも分からない手オノを探すことは不可能だと探すことはほぼあきらめていました。
そこで着くなり早速コケ探しです。
昨年も何本かでナメコとヒラタケを採っているので多少は採れるでしょう。



↑ 当日のポイントの様子。時折吹雪となる天候でした。そういえば昨年、一昨年の同時期に来たときも同様の天気でした。
これがその年で最後のチャンスという天候が荒れる直前に来るので当たり前といえば当たり前ですが…。



↑ すぐに昨年と同じ発生木でやや開いたナメコをゲット。



↑ 昨年は出ていなかった木にもナメコを発見。高すぎて一部のみの採取。

一通りウロウロしましたが思うような量のコケは見つかりません。
アラレ混じりの吹雪も時折ひどくなるのでもう撤収しようと車に戻っているときに良さげなコナラの朽ち木の落ちた枝を見つけて裁断し持ち帰ろうとして、ふと上を見ると前方の木にヒラタケが。


↑ 今日一番の大きな株が2株あります。大きなものは20cmくらいありこれだけで3kg超はあるでしょう。
高さが3mほどの所なので木が二股になっているところに登って手を伸ばしてカマで切り落とすことにしました。


↑ 二股になっている部分に登りました。
首尾よくヒラタケを落としてこれで良し!と、股の部分から地面に飛び降りると靴のすぐ横に何やら木製の柄が…。



↑ この状態です。なんか見覚えがあるな…。
「あっ!!!俺のオノだ!」
思わず声が出ました。


↑ 他人にはたいして感動的なことではないでしょうが自身にはまさに奇跡でした。
どこで落としたとも分からない手オノがこんな形で見つかったのは偶然ではなく必然としか思えませんでした。
画像を見ても分かるように雪に覆われているところも多くあり、ましてや丸一年も放置されていたのだから雑草や落ち葉に覆われていても不思議ではありません。
残念ながら金のオノではなくサビだらけのオノになっていましたがわざと目立つようなヒラタケで自身を呼び寄せて山の神が見つけさせた粋な計らいだと思わざるを得ません。

昨年も新潟の妙高で落とした携帯電話を3日後に発見(みぞれや雪の中で水の浸入もなくバッテリーも残っていました)できた不思議体験がありましたが、そのときは大体の場所は推測できましたが今回は落とした場所自体記憶にありませんでしたのでまさに奇跡でした。
縁があって一年ぶりに戻ってきた手オノですのでしっかり研いでメンテナンスして来期からまた活躍してもらいます。
最後に思いがけない出会いが会ったことに山の神に手を合わせてこの日は帰途につきました。
この日の収穫はナメコ6kg、ヒラタケ4kgと値千金の手オノでした。

さて、その翌日からは予想通り冬型の気圧配置が強まりこの時期としては異例の寒波となり富山市内でも10日には一時43cmを記録する大雪となりました。
市街地はじきに溶けるからいいのですが里山でも完全に根雪ですので下手をすると今期はこのまま終了になることを覚悟しました。
しかし冒頭でも書いたように今冬は一発寒波の傾向があるためその後は寒波が継続せずに1週間後には平地ではほとんど雪も溶けたので、今度こそおそらく最後の入山になるだろうと17日に再び先日のナメコポイントに行きました。
前回は幼菌だったためにそのまま取り置きしましたが今回採取しなければもう入ることさえできなくなるでしょう。
ポイント近くの林道に入るとやはり相当の残雪というより根雪になっています。



↑ 誰も入っていない崖の横の林道は積雪30~40cmほどでカモシカの足跡が残っているだけです。
これだけ積雪があると、もう1回降れば完全にアウトでしょう。
林道横が急斜面になっているので所々小規模な雪崩も起きています。気温が上がったときは注意が必要です。



↑ 取り置きの立ち枯れに着くと、やや小ぶりながらも成菌に生長したナメコが迎えてくれました。右の画像では凍って解けてを繰り返したために表面がシワになっているのが確認できます。
全て採取した後、もう一ヶ所のポイントへ行くためにすぐに車に戻りました。

もう一ヶ所といっても新規のポイントなのでまだ見たこともありません。地形図でだいたいの様子の見当はついているので行ければ少なからずコケは採れるでしょう。
しかし、この時期の新規開拓はやや無謀だった観があり案の定、林道は積雪で通行不可でした。
仕方なく先日行ったポイントの周辺で新たなポイントを探すことにしましたが、こちらも林道上には積雪が…。
車のギアをスーパーLOWにして行けるところまで行ってスタックしたところで誰も来ないだろうから路上に乗り捨ててあとは徒歩で向かいました。



↑ この日周ったポイント。雪は膝近くまであり歩くことさえ難儀ですが、視界は良好なのでコケ探しにはもってこいです。
細い木が多いですが所々に大径のだいぶ朽ちた木があるポイントです。



歩き始めて間もなく雪の重みで落下したばかりのヒラタケの生えた枝を発見。枝自体も断面を見る限り産卵材として良さげな感じですが裁断しても車まで運べそうにないのでコケだけ採取。

さらに進むと、



↑ ナメコの群生です。左右の画像共に同じ木の裏表です。全部で7~8kgくらいにはなりそうな大群生ですが残念なことにやや老菌気味なので、しょう油漬け用に一部を採取しただけで大半は手をつけませんでした。
前回、ここを探さなかったことを後悔しましたが来年の楽しみにしておきましょう。



↑ 偶然一部が雪の上に出ていたので発見できた雪に埋没した倒木上のナメコ。掘り起こすと出てきた文字通り絶品の雪割りナメコ!



↑ 斜めに倒れかかったコナラの朽ち木の裏面にビッシリ生えたヒラタケの群生。
もう少し生長すれば全部で10kg以上になるでしょう。ヒラタケはこのような採れ方をするので一気に収量が増えます。



↑ 別のヒラタケの群生。さすがにこれだけ冷え込んでくるとヒラタケの発生もピークになってきます。

コケを入れる袋もなくなったので撤収することに。
この日もナメコ6.5kg、ヒラタケ8kgの収穫でした。今年も春の山菜から今まで多くの恵みをありがとうございました。
また、来期もお邪魔させてもらいます。

さて、この後は案の定クリスマス寒波の到来で富山でも12月としては45年ぶりという様な最低気温を記録するなどさらに冷え込みが増したため入山は自粛することにしましたが、先月店長日記にも書きましたがB氏とともに採取してきて倉庫に保管していたケヤキ材を見たところ見事なヒラタケが発生していました。





↑ 裁断した物理的なショックで一斉に発生したのでしょう。見事な株で下画像ではコケの柄がエリンギのように極太なのが分かりますか?
屋内で雨や雪にさらされていないため水分は多く含んでいない状態でも6kgほど収穫できました。コケもさることながら、このケヤキ材がいかに優れたヒラタケ材であるかが分かると思います。
ヒラタケ材は人工培養でもほとんど販売されていないので貴重です。

さて、今期を振り返って結局コケの総収量は
ナメコが69.7kg、ヒラタケ・ムキタケ・ナラタケ等の雑キノコが約50kg
と、大豊作でした。
要因としては、カシナガの食害による立ち枯れの発症が確認されてから7~8年(ピークから3~5年)経過して腐朽が進みコケの発生木が増えたこともありますが、今期はタイミングを外さなかったことが一番でしょう。
残暑の影響で発生自体は遅れたので心配でしたが、そのことを考慮したポイントの選択がまさにベストだった(自画自賛)ので無駄足になることが少なく収量を稼ぐことができました。
キノコに興味のない読者には退屈な日記が続きましたことをお詫び申し上げます。
来年も日記に関しては乱筆雑文となりますが、その辺はご愛嬌にてご承諾いただけると幸いです。

それでは2013年の皆様のご多幸と当店の商売繁盛を願いまして今年の日記の締めとさせていただきます。
今年も一年ご愛顧いただきましてありがとうございました。
また来年もよろしくお願いいたします。
2012年12月01日




↑ 11月16日利賀から立山連峰(雄山から薬師岳周辺)を望む。

寒くなりましたね!
師走の声を聞く前に冬の到来です。
当地富山でも27日に初雪を観測しました。冬期予報でもエルニーニョの収束に伴い暖冬予報から寒冬予報にシフトしてきたようです。
自身の経験則から言っても当地で11月にブリ起こしと呼ばれる大きな雷が発生したときは12月の降雪量が増える傾向が見られ、今年は1日としては異常なほど多く発生した日もあり大雪が懸念されます。
毎年書いていますが自身は雪が嫌いではなくむしろ好きですが、あまり早く雪が積もるとナメコとヒラタケを採りに行けなくなるのでもうしばらくは勘弁してほしいです。

そんなわけで11月はナメコのピークとなりました。
11月末現在でナメコの総収量は目標をはるかに超える51.2kgに達し軽く昨年の収量を上回りました。採ろうと思えば雪が積もらなければまだまだ採れます。
店や自宅の冷凍庫はナメコだらけになりそれでも足りないので仕方なく小型の冷凍ストッカーまで購入しました。
身内で相当量は処理できますが必要以上にあるので当HPで販売することにしました。
詳細は商品欄をご覧ください。

さて前回の日記は11月4日までの内容でしたが9日は定休日だったので偶然休みだった嫁を説き伏せて4日と同じ五箇山周辺のポイントにナメコ狩りに同伴させました。
と言っても嫁は車中で待っているだけで自身が一人で採取しているのですが…。
とりあえず4日にまだ幼菌で採らずに残しておいたナメコを見て行きます。



まず最初のポイントで、まだ少し早いツボミのものが多いですが数日後には林道が閉鎖になり採りに来れなくなるので待っている訳にもいかずある程度の大きさのものは採取していきます。右上の画像のものくらいが多いです。



↑ こちらはまさにベストです。ツボミが好きだという人もいますが個人的にはツボミよりもちょうど開いたばかりか少し経ったくらいの方が好きです。



こちらもあと1週間すれば自分としてはベストのタイミングですが採取します。残暑の影響によるわずか1週間のズレがこういう時には大きな差となります。
自身は元々夏オトコでいつまでも夏を名残惜しむタイプでしたがコケ採りに興じてからは秋が来るのが待ち遠しくてなりません。
残暑で秋の訪れが遅いときに限って冬の訪れが早かったりして秋が短くなったりするんですよね…。

最初のポイントで4日の採り残しにもかかわらず3kg超と予想外に採れました。
次は本命です。前回の日記でも写真を載せましたが根部近くから身長以上の高さまでビッシリと幼菌が発生していた立ち枯れです。
計算どおり生長していれば大量収穫になるはずです。
到着して期待しながら見てみると、


あれ…?幼菌はほとんど生長しておらず代わりに側面に新たにビッシリと幼菌が発生しています。↑
マイタケなどではキノコに触ったり息を吹きかけただけで生長が止まり腐ってしまうと言われています。ナメコにも当てはまるかどうかは定かではありませんが過去にも同じようなことが何回もあります。
先週自身が見てしまったことがストレスになったのかもしれません。
さすがにスーパーで売っているサイズでは満足できないし処理も面倒くさいのである程度の大きさのものだけ選別して採りました。
1週間後には大群生になっていることでしょう…残念!

予定ではこの木で大量に収穫してこの日は終了のはずだったのですが期待外れだったのでさらに別のポイントを探さなければならなくなりました。
とは言うものの嫁を待たせている身ではゆっくりと新規ポイントを開拓している余裕はないので先日探した場所を拡大して念入りに見て回ります。
去年はそうでもありませんでしたが、やはりここも競争が激化しているようで最近他の採集者が入った形跡があります。
しかしここの採集者は適度に生長したコケしか採らないので採り残した幼菌が成菌になっておこぼれでもそれなりの収穫ができます。



↑ この日ベストの状態の極上ナメコ!近くには他者の採集跡があったにもかかわらず残っていました。
さらに丹念に立ち枯れを見てみると木の上部や崖際の少しリスクのある場所には相当数のナメコが確認できます。
大きな群生は1~2本だけでしたが一段落した頃にはかなりの収量となっていました。
その時はそんなにたくさん採った実感がなかったのですが帰宅後に下処理して計量したところ10.5kgありました。
この収量は1日のナメコの収量としては自己最高記録となりました。

さて、車に戻ると昼時はとうに過ぎています。文句を言わずに待っていてくれた嫁にお詫びのつもりで遅い昼ごはんを食べに行きました。
行ったところは今日のもう一つの目的である飛騨牛の焼肉店である白川郷近くの「てんから」です。
以前もこの日記で紹介したことがあるお気に入りの店です。
以前は飛騨牛の漬け丼を紹介しましたが現在は生肉の提供が禁止されたためメニューからなくなっていましたが代替メニューとして新たに「ローストビーフ丼」なるものが出ていました。



↑ これです。
漬け丼が美味しかっただけにそんなに期待していなかったのですが食べてビックリ!!
山歩きをした後でお腹が空いていたせいもあるかもしれませんが、漬け丼を凌ぐ美味しさです。
ローストビーフ自体は珍しい料理ではありませんが、通常レストラン等で食べるそれとは素材のせいか調理が上手いのか全く異なる味わいです。
これには嫁も満足してくれました。
ちなみにホルモンが好きな人にはここの自家製牛ホルモンもお勧めです。
車で来ているのでビールが飲めないのが非常に残念でした。

9日にナメコが大量に採れたため少し採集は控えめにしようと思い翌月曜日の12日は今までナメコ採集はしたことがない山田村牛岳周辺に様子を見に行くことにしました。
この日は採ることよりもナメコポイントがどの程度あるのか確認することが目的です。
記憶ではかなり立ち枯れは多いので有望だと思っていたのですが立ち枯れはあるものの、かたまっている場所が少なく期待できるポイントは限られているようです。
ありそうな場所に入ってみるとわずかに見つかりますが先方の採集者に採られています。やはりコケ採りの人間が考えることは同じようです。



↑ それでもヤブ漕ぎをして何とか数本の群生を見つけることが出来ました。
結局この日も3.5kgほど収穫できましたがここのポイントは再度来ても新たな発生は期待できそうもないのでこの1回限りで終わりでしょう。
そう考えると利賀や五箇山のポイントがいかに恵まれているかよく分かります。

そんな訳で16日には満を持して今期初となる利賀の本命ポイントへ。
この日は前日までポイント付近では降雪があったため雪中強行軍を覚悟していました。
まだ根雪には早いですがポイント近くに行くと幹線道路でも除雪をした跡が…。
林道に入ると誰も入山していないようでタイヤの走行後はなく、一番乗りであることに安心しながら処女雪の上を走っていきます。
標高が上がるにつれて見る間に積雪は増えておまけに朝方の冷え込みで表面はカチカチに凍っています。
車のギアをスーパーLOWに入れて進みますがノーマルタイヤということもあって積雪が20cmを超える登り坂でそれ以上の走行を断念。
あとは歩きで進むしかありません。



↑ こんな感じです。天気が良いのが幸いです。



雪の上に散らばったモミジが秋の終わりを物語っています。
歩いていくと日陰では多いところで30cm近く積もっており歩くだけで暑くなってきます。



早速道脇の切り株でナメコを発見。クワガタの産卵痕も確認できます。せっかくのナメコの発生木なので材割りはしません。
道からすぐ見える場所でナメコが見つかるということはさほど他の採集者が入ってないことが推測できます。



滑落しないように斜面を少し降りると採り頃のムキタケもボチボチ見つかりました。
ムキタケを採りつつナメコの発生木に向かうと出てはいるもののわずかに採られた跡とまだ幼菌です。やはりここも発生が遅れているようで積雪前に来た他の採集者も多くは採っていないようです。
しかし、ここのポイントは広いので期待しつつ斜面を探します。積雪があるので登るのはキツイので下斜面に降りて行きます。結局帰りは登って来なければいけないので一緒なんですが…。

雪が積もっているおかげで背丈以上ある笹が倒れていて、さらに背景が白いので樹幹に生えた黄金色のコケが目だって見つけ易いです。


根部付近からは雪に覆われたナメコの群生や樹幹部分の成菌もあちこちに確認できます。



↑ 樹皮のめくれた部分に所狭しとひしめくように群生するナメコ。このような場所を好んで発生するので採取するときは極力樹皮を剥がさないように採らなければなりません。



↑ 寒くなってから発生した晩生のナメコは傘の色がより濃い茶色をしています。生長は遅いですが引き締まった身は格別です。



↑ 発生後に乾燥で一時生長が止まったが降水や降雪で水分を吸収してヌメリが復活したナメコ。十字に割れた傘とボコボコとした表面のヌメリが一度乾燥したことの名残です。もちろん風味に問題はありません。



↑ 周り中、立ち枯れだらけのポイント。全て見て回るのは困難です。



↑ この日の収穫。ナメコが8.5kg、ムキタケ10kgと1日総合計の収量では18.5kgで1日の最高記録を更新しました。
やっぱり本命。期待通りでした。
ただこれだけの量のコケを背負って手にも持っていたので斜面でバランスを崩し谷に滑り落ちて岩で膝を打ちつけました。その瞬間は膝の皿が割れたと思ったのですが幸いわずかにずれて多少腫れただけで済みました。浮かれていると痛い目を見ますので気をつけましょう。

16日に大量収穫があったので19日は再び新たなポイント探しに細入村から八尾にかけて巡回しました。
この辺りはクワガタ採集でも数回訪れていますがあまり良かった例がありません。
コケ採りではどうかと思ったのですが全くこの日は見つかりません。途中、県外ナンバーのコケ採りと思われる車がかなり山奥で止まっていましたがおそらく車中で泊まり徒歩で相当な奥まで入っているものと思われます。
ここは自身とは気が合わないと判断して早々にあきらめました。自然を相手にする時は第六感のような感覚的な判断が正しいときもあります。野生の本能を磨きましょう。

若干フラストレーションが溜まったので22日は再度利賀の本命ポイントへ。
前週は林道下部の斜面を探したのでこの日は上部を攻める予定です。
目的地に着いてみると前週の雪はほとんど解けて所々陽の当たらないところに残っている程度です。
雪の重みから開放された猛烈な笹ヤブを掻き分けて斜面を登り進むと残雪の上に足跡が。
この1週間に誰か採集に来ているようです。
それも結構奥まで入っているようで手強い先客です。
しかしナメコの出ている木を発見して見てみると確かに採ってはいるのですが採り方が雑だし中途半端です。あまり上級者ではないようですね。


↑ 乾燥で生長が止まった早生の幼菌から採り頃の成菌、晩生の幼菌と様々なステージのナメコが生えているも先客は見つけなかったのか残っていました。



近くの別の木で見つけた美味なヤマブシタケ。珍しいキノコですが残念ながら老菌で緑色に変色していました。新鮮な成菌では真っ白で最近では栽培ものが流通しています。



↑ 先客が訪れたときにはまだ発生していなかったのか晩生の幼菌がビッシリと出ています。次回に期待をして触らずに残しておきます。



先客がナメコを採った跡がある木の根部に生えていたクリタケの株。残念ながらこの時はやや老菌になっていたので採取しませんでしたが先客が来たときは採り頃だったと思われるのでクリタケには興味がなかったのか残していったのはもったいないです。

なかなか手付かずの群生が見つからないまま斜面をウロウロしていると谷筋を挟んだ対岸の斜面に幹が黄金色の立ち枯れが見えます。
コケが生えているようにも見えますが肉眼ではイマイチはっきりしません。
デジカメの望遠で撮影してみると、


↑ ムキタケではなくどうやらナメコのようです。
これは期待できると斜面を一旦上に向かってトラバースして谷を渡りさらに今度は横にトラバースして目的の立ち枯れへ向かいました。



着いて見ると確かに大群生です!
しかし画像では分かりにくいですが、この立ち枯れは斜面に向かって突き出すように生えていてナメコの生えている部位まで行こうと思えば行けますが、その地点で地面から高さ5~7mくらいあり落ちたら無事では済まないでしょう。
昔はこれくらい何とも思わなかったのですが子供ができて以来、やや高所恐怖症のきらいがあり画像で見る以上に実際は怖いです。
他人が行くといったら間違いなく止めた方が良いと忠告するでしょう。
だけど大群生を目前に敵前逃亡は恥だと思い採ることを決意しました。



↑ ついに辿り着いた今期一番のナメコのパラダイス。
全部採ればゆうに15kg以上はあるでしょうがさすがに上部はよじ登って採る勇気はありませんので画像に移っている範囲で採ることに。
やや老菌になっているのもあり前週この木を見つけなかったのを後悔しましたが、当時は雪を被っていて見つけられたかどうかわかりませんしここに辿り着くこともできなかったでしょう。
老菌以外のナメコを回収しましたがそれでもこの木だけで10kg近くの収量がありました。
これだけの群生は過去にも1本しか見つけことがありません。
先客に採られなかったことに感謝しました。
これで撤収してもよかったのですがまだ少し時間があったので前週見た林道下部の斜面の残しておいた幼菌の様子を見てくることに。



こちらも落ち葉に覆われたベストの状態のナメコが見つかりました。



上の画像のナメコのアップ。落ち葉に覆われて雪が直接触れていなかったため傘の表面のヌメリは少なめですがタイミング的にはちょうどです。

まだまだ探せば見つかりますが入れる袋がなくなり又、調子に乗って時間もオーバーしてしまったので切り上げることにしました。



↑ この日の収穫。下処理後の計量でナメコは12.7kg、ムキタケ1.5kgでナメコに関しては先日更新した1日あたりの収穫量の自己記録を再度更新いたしました。
ちなみに帰り際、車の近くから林道横の深い谷を挟んで対岸の斜面やや下部に幹の色が変わって見えるほどナメコの発生した立ち枯れを見つけました。
おそらくこの日見つけたパラダイスと同等かもしくはそれ以上と思われます。
ただ、そこに行くには往復で30~40分、ナメコの採取で1時間はかかるでしょうから時間的にもバイトで徹夜明けの体力的にも無理なので断腸の思いであきらめました。
他の採集者に採られなければ次回採ることはできますが1~2日以内でなければタイミング的に採り頃を過ぎてしまうでしょう。

続いて23日金曜日は本来定休日ですが祝日なので営業のため山には行けず、代わって25日(日)にバイト明け徹夜でブリーダーのB氏と魚津方面に以前から狙っているケヤキ材の採取に行きました。
このケヤキは2年以上前に自身が部分的な立ち枯れの状態で見つけたものの腐朽部が地上3mより上部で攻めあぐねていて今年の夏前にB氏と共に挑戦したのですがやはり裁断できずに今回はリベンジとなります。
この日は折りたたみの脚立、チェーンソー、荷重5トン対応の油圧ジャッキと準備万端です。前回チェーンソーで裁断を試みたのですが腐朽部の径が太いところで70~80cmあり倒すことができなかったため裁断面にジャッキをかませて倒す計画です。
かなり危ない荒仕事ですがこうでもしないと優良な材は手にできません。
さて現場に到着すると、
「あれ?木がない…!」
改めて見ると根部から本体もろとも倒れています。



↑ 左が2年前の状態。向かって右側から出ている枝が腐朽している部分で二股になっている部位で地上高3mくらいです。右がこの日の状態。倒れているものの腐朽している枝部分が前回チェーンソーを入れたところからなくなっています。
倒れた衝撃で折れて画像手前に転がっていました。



↑ 腐朽した枝部分。長さは3m弱ありますが予想外に腐朽が進んでいてかなり柔らかい部分があり又、一部食痕が多く入っていて正味使えるのは2m弱くらいでしょうか。
倒す手間は省けたものの水分が多く重たいためカットして足場の悪い登山道を1カット20kg以上の材を標高差70~80mくらい運ぶのは文章で読む以上に大変です。
運び終わった頃には二人ともクタクタでしたが、せっかく山に着たのでコケ採りのポイントを少し見て行きます。



↑ 倒れたケヤキの株に生えていたヒラタケ。今期初収穫です。
そういえば、上記のケヤキはサルノコシカケではなくヒラタケ菌で腐朽していました。よって厳密にはカワラ材ではなくヒラタケ材になります。優良な天然ヒラタケ材はカワラ材以上に希少でクワガタの産卵材としては極めて優れており柔らかさによって色虫、オオクワ系ともに最適です。詳しくは商品欄をご覧ください。



↑ 林道から見た僧ヶ岳。だいぶ雪も下りてきました。予報から1週間もすれば手前の山も雪化粧してこの林道にも積雪するでしょう。ここに入山できるのもあとわずかです。

この辺りのポイントは立ち枯れはあるものの利賀ほどナメコは見つかりません。
標高がやや低いのでどちらかというとヒラタケ狙いです。



↑ ナメコが少し出ていたシハイタケに覆われたナラの立ち枯れ。ナメコとシハイタケは共生することが多くシハイタケが弱体化したところにナメコが発生します。
クワガタ用に使えそうでしたが落下した枝も心材部が残っておりイマイチでした。



この日も林道をコケ採りらしい車が数台通っていったので他にも採集者はいるらしく、ナメコも採取した跡があるものの見落としや採り残しも多くあり、あまり真剣には採ってないようです。
↑のヒラタケもナメコを採った跡がある木の近くで見つけましたが手付かずでした。
ただ、まだ小さいので今回はパスです。



↑ 昨年ナメコを採った木を見に行くと、期待通り採り頃の極上のナメコが出ていました。
上部にはやや幼菌のものがさらに多く生えているのでそれは次回に残しておきます。
時間もなかったので軽く流して見た程度だったのでコケの収穫はヒラタケ0.5kg、ナメコ2.0kgほどでB氏と分けました。

ということで30日(金)は定休日なので再び嫌がる嫁を同伴して25日に取り置きしてきたナメコとヒラタケの回収に魚津へ。
予想通り、この5日間の間に積雪して路面には雪が残っていますが通行は可能です。



↑ 残しておいたヒラタケはやや小ぶりでしたが無事収穫してこちらも前回残しておいた立ち枯れ上部のナメコ。タイミングはバッチリですこぶる極上です。
この日は脚立持参だったので高さ3m付近のナメコも首尾よくゲットできました。



↑ 嫁の機嫌を伺いながら他の立ち枯れを見て回っているとナメコとヒラタケの共生木です。ナメコは2回にわたって発生したようですがあいにくどちらも時期を過ぎており老菌でした。画像より下に3回目に発生した成菌があり多少採れました。
上部のヒラタケはちょうど採り頃ですが手が届きません。脚立はありましたが車から離れたヤブの向こうなので持ってこれません。
残念ですがあきらめました。
この日の収穫はナメコ3kg、ヒラタケ4kgとボチボチでした。

コケ採りに関しては絶好調ですが、この日記をUPした12月1日は平地でも積雪となり、自身の予想通り雪の訪れは早く、入山も厳しくなりそうです。
2012年11月06日




10月19日、有峰にて。
今年は10年に一度の紅葉と言われているだけあって見事な紅葉が見れました。


さて、ついこの前まで残暑と言っていた気がするのですが山では紅葉の見頃も過ぎて初冬の景色へと変わってきました。
毎年書いていますが春と秋は季節の進行がとても早く感じます。
前回の日記の更新以降も週2回のペースで山に行っているのでだいぶネタが溜まっています。よって画像を中心に紹介していきましょう。
タイトルにもあるようにこの時期はほぼ紅葉の撮影とコケ採りに専念しています。
前回も書きましたが例年ならヒメオオの季節が終わると同時にコケ採りのシーズンなのですが、今年は残暑の影響が未だに残っていて全体的に1週間~10日くらい遅れています。
10月に入ってもブナハリタケでさえまばらな発生です。

そんな中、15日には利賀のヒメオオポイントより奥の前回ヒメオオらしき幼虫を割り出したブナ林にコケ採りと材探しに行きました。


↑ まず目に入ってきたのがサワモダシ(ナラタケ)。本来ブナ帯では晩夏~初秋のキノコですが気候に左右されやすく雨が少ないとほとんど発生しない年もあるようです。去年と同様に今年も少なく、また発生時期も遅れています。



今期初のサワモダシの群生を発見。
ただ、雨が少なく成菌に生長しないまま止まってしまったようです。一瞬、猛毒のニガクリタケかと思いましたが口に入れて味見してナラタケであることを確認。一株のみ採取。

ここのブナ林はあまり広くなくマツと混生したりまばらにしか生えていなかったりするので目ぼしい倒木や立ち枯れは少ないです。
林内はものすごいクマザサと低木のヤブなので尾根線を歩いて探します。



続いて見つけたのは林床に少数でかたまって生えていたシロナメツムタケ。
ナメコの仲間で美味なキノコなので採取。一食分でしたが味噌汁にして食べました。



だいぶ朽ち果てたブナの倒木に発生してしていた白いキノコの群生↑。同定できないまま採取しましたが帰ってシロタモギタケと判断しました。100%の自信はありませんでしたが似たような毒キノコはないので天ぷらで食べました。


味は少し土臭い感じで油を吸いやすく結構胃にズッシリときますが、そんなにクセもないので汁物には合います。



次は立ち枯れに着生していた見事なサンゴハリタケ。綺麗な形から遠目にはヤマブシタケかと思いました。先日も採取して味噌汁で食べたところ苦かった旨を書きましたが、あえて採取。今回は炒め物で食べましたが若い成菌だったからか食べ方の違いのせいかは分かりませんが苦味もなく美味でした。

そこからすぐ近くで見つけた別の立ち枯れ↓。あいにく幹にはキノコらしきものは確認できません。


近づいて観察すると、


↑ なにやらでっかいキノコのなれの果てを発見!
一瞬、マイタケか!?と思いましたがよくよく見るとトンビマイタケのようです。画像は2株分で一株50cm近くあります。これ以外にも3株くらいありました。
マイタケほど珍重されてはいませんがレアなコケなので来年は9月始め頃に来てゲットしようと思います。
このポイントでは材はほとんど見つかりませんでしたがコケは普段あまり採れないものも見つけることが出来て上々でした。
店の営業があるため午前中で切り上げたのですが、利賀にどうしても気になるポイントがあったので帰途に寄りました。
そこは毎年春の山菜を採るポイントでブナ材も採ったことのある場所で近年カシナガによるミズナラの立ち枯れが目立つ雑木林です。
今までナメコを見つけたことはありませんが昨年はその近くの斜面で見つけているだけにいずれここも発生するだろうと期待しているポイントです。
まあ、本場である標高の高い有峰でさえほとんど発生していないので当然ここでも時期尚早だと思いましたが予兆だけでも発見できればと思い寄りました。

現場に着いて早速日当たりの良い場所で立ち枯れを見て回るも何にも見つかりません。
ブナハリタケはおろかツキヨタケも出ていません。
これはダメだとあきらめて以前から目を付けていた近くのブナ材を採取しに変更。
が、この材も見当外れで期待していたほどの質ではなくあきらめました。
何も手にできないまま薄暗い北側斜面の林の中を歩いていると隣の斜面の立ち枯れに何か見えます。
コケが生えているように見えるので確認しに向かうと、



↑ えっ!?ナメコ?
間違いなくナメコです!それも幼菌ではなく生長した成菌もあります。ただ、昼間の暖かさと雨が少ないせいか生長途中で乾燥ナメコになっています。
しかし乾燥したせいで腐るのを逃れて鮮度は保っているので水戻しすれば十分食べられます。
まさか有峰ではなく、こんな里山に近いところで今季初のナメコを採取できるとは思いもしませんでした。



一部はみずみずしさを保っているものの幼菌も乾燥状態になっています。雨が降って生長を再開することを期待して残しておきます。
店に遅刻しながらも慌てて採ったにもかかわらず、店に着いてナメコを洗いながら水で戻すと収量としては3kgありました。最初の収穫としては豊作を期待させるのに十分です。
だけど、気温の低い有峰では全く発生していないのになぜ利賀では発生していたのでしょうか?
毎年、利賀では11月の初旬に最初のナメコを採るのですがその時にすでに老菌になって腐っているナメコを必ず見つけます。
実はナメコは最低気温が5℃以下くらいになると発生し始めますが、それ以前に急に気温が下がったときにも早生の子実体を発生させます。標高の高いところでは気温が下がるのは珍しくないのでそれほど早生の一次発生は見られませんが、むしろ中山間地の方が冷え込みの温度ショックがあるのか早いときには9月でも発生することがあるようです。
例年、自身が訪れる時期が一次発生には遅いため見つけられなかっただけで今年は残暑の影響で一次発生が遅れた上に自身の訪問がいつもより早かったおかげでタイミングが合って見つけることが出来て新たなポイントを開拓できました。

4日後の19日は再び有峰へ。
この日も朝はガスがかかっていましたが昼には快晴の天気に。トップに紹介した見事な紅葉が拝めました。道々、車を止めて写真を撮りながらのコケ採りです。
まずは一通りいつものポイントを見て回ります。



↑ ガスがかかる森で上を見上げるとモミジが淡い色に見えました。



やはり最初に見つかったのはサワモダシ。もちろんお持ち帰り。
本命のナメコはどうかな?と1週間前には何もなかった倒木を見に行くと、



残念、出てはいますがまだ幼菌です。また1週間のおあずけです。
仕方なくヤブこぎをしながら斜面を探していると、



倒木に鮮やかなオレンジ色をしたマスタケの複数の株を発見。
マスタケは褐色腐朽菌であるため腐朽材をクワガタ飼育には利用できませんがコケ自体は若いうちは可食です。このコケは大型で劣化も早いため旬を逃すとすぐにボソボソになって腐ってしまいます。
画像はまさに採り頃の状態ですので自身も初チャレンジで食べて見ようと右画像の一株を持ち帰りました。一株で2kg以上あります。



↑ 自宅でスライスしたものを天ぷらにして塩で食べました。
味も食感も見た目もキノコだと言わなければまさに鶏肉です。珍味ですね。
話のネタにはもってこいですが淡白でクセもないため逆に多く食べると飽きます。一株の4分の1も食べたらイヤになりました。

マスタケの場所から少し移動して秘蔵のナメコポイントへ。
ここは道路のすぐ横ですがヤブで死角になっているため昨年は誰にも見つかっていません。期待して谷に下ります。



↑ 沢の流れに浸かった倒木には何も出ていませんでした…。
それならと、この倒木のやや上にある昨年、大群生を見つけた倒木を見ると、



採り頃のナメコじゃあ~りませんか!
ただ、この一株だけで昨年の大群生には到底及びません。
とりあえず採取して本命のポイントへ移動。
さっそく順番に倒木を見て回りますがやはりほとんど発生していません。



↑ ようやく見つけるもまだ幼菌なので採れません。
あきらめて新たなポイントの開拓のためにさらに斜面の下側もしくは上側の奥へと足を進めます。



先日、利賀でも見つけたトンビマイタケのなれの果て。



↑ ブナの倒木の側面に群生するタマウラベニタケ(可食)。塊状のものはナラタケ菌が寄生して変形した子実体。



↑ ススケヤマドリタケ(可食)。ヨーロッパでは好まれるらしいがイマイチ自信がないためスルー。



↑ 径10cmくらいあるキノコ。アブラシメジかと思ったのですが帰って改めて調べても同定できませんでした。



↑ 直径1m50cmくらいはあるブナの巨木。その迫力からコケが発生していることを期待したのですがツリガネタケとツキヨタケだけでした。



↑ 人が入った形跡のない原生林を奥へと進んでいきます。



↑ ナラタケだと思ったら柄にツバがないのでナラタケモドキ(可食)でしょう。通称サワモダシ(ナラタケ)とはこれら数種を総称して呼んでいるようです。



↑ ナラタケとナメコの幼菌。さすがに奥地は見つかっていないのかコケも採られた痕がありません。しかし期待していたナメコのパラダイスは見つからず…。

誰かに採られて見つからないわけではなく発生していないのだからどんだけ探しても大量に採れるはずありません。
また来週まで待つしかありません。というわけでこの日の収穫は500gほどで撤収。

有峰でフラストレーションが溜まったので22日は確実に採るために前回、早生のナメコにタイミングよく出会えた利賀へ。



まだ紅葉もピーク前でモミジも赤と緑のツートンです。
ポイント近くに行くと石川ナンバーの車が止まっています。直感でコケ採りだと分かりました。ここも目をつけられているようです。
遅れを取るわけにはいかないので早速、ブッシュを掻き分けて突入しました。



ナメコ以外のコケがないのでひと目でナメコだと分かります。





乾燥して表面のヌメリが無くなっていますが立派な成菌が見つかりました。



2次発生した幼菌もありますが、やはり乾燥で成長が鈍いようです。
この後、さらに冷え込んで雨が降ればいよいよ本格的に発生するでしょう。
この日も乾燥ナメコがほとんどでしたが店に戻って水戻しをした後の計量では3kgありました。この時期にしてはまずまずです。

そして定休日の26日には満を持して有峰へ。一部は10月末で閉鎖なので今回が今年最後となるでしょう。



この日は朝から良い天気で紅葉狩りや写真撮影の行楽客が多く人目が気になり車をポイントから離して止める等のシミュレーションで他の採集者にポイントをばれないように細心の注意を払ったにもかかわらず肝心のポイントに別の車が止まっていて先を越されてテンションが一気に下がります。
去年まで誰にも採られなかったポイントがことごとく荒らされています。それも採り頃の成菌だけでなくまだ早い幼菌まで根こそぎやられています。
他の採集者が全て泥棒に思えてきます(お互い様ですが…)。

幸いにも一番ばれそうで先週幼菌を取り置きしていたポイントで生長したナメコと会えました。↓





すぐ近くの先週確認しなかった倒木を見ると、


ラッキーにも群生を発見。



モミジとナメコのランデブー。
ホクホクしながら採っていたのですがこの倒木は沢を挟んで道路から丸見えで不覚にも数台の車に採取しているところを見られてしまいました。
来年は誰かに採られるでしょう…。
ここだけで2kgの収穫でした。

その後、有峰湖周辺で標高差200mくらいの沢登りをしてポイントを探すもナメコは全く見つからず。採れない所は全く採れません。
今期の有峰はナメコの発生が遅れて最後まで遅れを取り戻すことができずトータルの収量は昨年より少なかったものの感謝しつつ山を後にしました。来年はさらに競争が激化しそうなのでさらに奥地へ入らないと採れないでしょう。
コケを採られるのは仕方ありませんがゴミを捨てるのはやめてもらいたいものです。
山の恵みを頂いた上に汚して帰るとは言語道断です。泥棒にもとる行為でしょう。
人の痕跡の無い奥地でペットボトルや空き缶を見つけるとコケを先取りされている以上に気分が悪いです。

29日は新川地区で採り置きをしてあるアカメガシワのカワラ材を採取しに。
首尾よく一部を採取できたものの近くの切り株の根部にオオスズメバチの巣があって、時折パトロールの働きバチが警告するかのように迫ってきます。おそらくギリギリの距離だったのでしょう。どこぞの国のように当たり前のように領海侵犯するかのように彼らのテリトリーに踏み込む勇気は自身にはありません。
警告に素直に従って早々に撤収しました…。



↑ 採取したアカメガシワに発生していたヌメリスギタケモドキ。可食でちょうど一食分の株だったので採取して味噌汁に。ほぼナメコのような食感で美味です。
このキノコはよくヤナギに発生してわかりやすいので機会があれば探して見て下さい。

さて11月に入ると有峰だけでなく県内の山間の林道は閉鎖の時期を迎えます。
中旬には相次いで閉鎖になるので限りある時間で効率的にポイントを攻めなければなりません。
この時期にポイント選びを失敗するのは大きなロスになるのでついつい安全パイで過去に実績のあるところへ行きがちですが今期は発生が遅れているのでそれも当てになりません。
2日は前夜から荒天で山は雪の可能性もありましたが、あえて未開拓の岐阜県境のポイントを攻めることに。
一路、雨の中を車で走っている途中、八尾近辺の林道で横目で立ち枯れを見ているとコケらしきものが。すぐにバックして車を降りてアラレが降る中を確認に行きます。



案の定、ナメコです。
いわゆる早生のナメコですが予想外の場所で見つかるとはラッキーです。
早速採取してさらに周辺を探して見ます。



ナメコはその木だけでしたが隣接する木でサワモダシの群生を発見。
樹幹の上のほうは手が届きませんがそれでもコンビニ袋にギュウギュウに一杯3kgほど採れました。



↑ ナメコと見間違うほどツヤツヤで新鮮なナラタケの極上品。



↑ さらには今季初のムキタケも。



↑ 天然のアケビ。せっかくなのでその場で食しました。

行きがけの駄賃どころかほぼ一日分の収穫が思いがけず得ることができました。
この日は新たなポイント開拓が当たったようです。
気を良くしてさらに道路の反対側の斜面に登ってみると、



↑ コケはありませんでしたが極上のコナラ材を発見。
どうやら今日は山の神様が味方についているようです。

材も手に入ったし帰ってもよかったのですがせっかくツキがあるのにもったいないと思い、未踏のブナ林を目指して前進しました。
しかし、標高が上がるにつれて気温はどんどん下がっていき、900mくらいからは予想通り雪に変わってきました。
ここまで来て引き返すのも悔いが残るのでとりあえず行けるところまで行くつもりで進みます。なんとか標高1100m超の予定地に到着するも



↑ こんな感じです。路面も5~10cmの積雪で銀世界です。
さすがにこの雪の中、訪れている車はないので人目を気にせずコケ探しができます。
装備を整えいざ出陣。



↑ 視界も悪いくらいの雪中強行軍。
積雪で足は取られるし滑るしで思うように進めない上、肝心の倒木が埋まっていて一苦労です。
何本か倒木を見ましたが発見できないかあっても幼菌です。
大量の幼菌を見つけて喜びましたが横を見ると成菌を切り取った痕が…。
やはり他にも採集者が狙っているようです。



↑ 雪に覆われて危うく見逃しかけた倒木上部に発生したナメコの成菌。
通常ナメコは側面や裏側に先に発生するのですがこの木は上側だけでした。
どのくらい歩いたか雪の中なのでよく分かりませんが気がつくと疲れて足取りがかなり重くなってきたので終了。
結局、先に寄った八尾での収穫を併せてナメコは2kgの収量でした。まあ、こんなもんでしょう。

さらに2日後の11月4日はバイトを早上がりして早朝からブリーダーのB氏と五箇山方面に。B氏は材探しがメインですが自身はナメコ狙いが9割です。
勝手知ったるポイントなので順番に見て行きます。
この日は平野部はこの秋一番の冷え込みで凍結が怖かったのですが現場に着くとガスがかかっていて思ったほど気温は低くありません。



標高が上がるとガスが晴れて眼下には見事な雲海と紅く染まった山肌が。
しばし景色を楽しみつつポイントへ向かいました。

昨年も採取した場所を訪れると期待外れにもナメコの姿はほとんどありません。
幼菌は多少見られますが、誰かに取られた形跡もないのでここも時期的に早かったようです。



↑ 例年ならとっくに終わっているはずのツキヨタケがムキタケと一緒に生えています。
毎年ムキタケやヒラタケと間違えてツキヨタケを採取して中毒する人が少なからずいますがよく見れば違いが分かると思います。
ただ、群生の中に一株だけ混じっていたりするので慎重に確認は必要です。



↑ 道路のすぐ近くですが裏側なので誰も気づいていなさそうなナメコの幼菌の大群生。
1週間後が楽しみです。





↑ こちらも道路脇の切り株で他の採集者が取り残したクリタケの群生。
採取するには十分な量で何の料理にも合う美味なキノコです。猛毒のニガクリタケとの混同に要注意。

去年発生していた木を見て回るも目ぼしい発生はありません。
新たな場所を探すも山中でバッタリ他の採集者と鉢合わせになりすでに取り尽くされた後でした。
今日はダメかなとあきらめ気味でしたが少量ずつでも見つけては採り貯めていったら結構な収量になりました。



↑ この日一番の大群生。この木だけで3kg以上採れました。
何だかんだでこの日の収量は二人合わせてナメコだけで6kg超でした。



↑ 巨大なナメコ!それも開ききった老菌ではなく採り頃の成菌です。昨年もこの木で巨大ナメコが採れているのでこの木のナメコ菌は変種なんでしょうか?
どれくらい巨大か、


大きいもので径14cmほどありました。
自己最大記録です。
今回は素焼きにして塩で食しました。
スーパーのナメコでは絶対できない食べ方です。

さて、今回の更新もキノコづくしでしたがまだまだ採集します。
今期は11月4日現在でナメコの総収量は11.5kg、サワモダシ等の雑キノコで10kg強。
めざすは昨年越えです。
2012年10月16日




雨中でかすむ中でも紅葉が目立つようになってきました。
暗い影と紅葉のコントラストが上手く表現できました。(自画自賛失礼)
10月12日(金)有峰県立自然公園、天気 雨後晴れ、気温6℃



厳しかった残暑も収まりやっと季節も秋へと向かいちらほらと紅葉の便りも耳にするようになりました。当地の立山でも11日に平年よりだいぶ遅れて初雪を観測しました。
今年は秋の訪れが遅かったものの急に気温が下がったため山の紅葉は10年に一度の美しさだと言われています。本格的な紅葉が楽しみですね。

とは言うものの平地では秋らしさはまだまだで10月も半ばだというのに夏日を観測する暖かさです。
残暑が長引いたのでヒメオオも例年よりも遅くまで発生するだろうと思い10月始めまで観察を続けました。
ただ、もう採集はしませんのでどちらかというとブナカワラ材の採取のほうがメインになってきています。例年この時期に採取するブナカワラ材は優良な新材が多いので気合が入ります。
そんなわけで9月22日はブリーダーのB氏と共に岐阜の白山山系のブナ帯のポイントへと向かいました。ここへ来るのは2年ぶりで以前採取せずに取り置きしてきた材を持ち帰ることと新たな材を見つけるのが目的です。
このポイントは観光林道沿いにあるため人の出入りも多いので夜が明けるのと同時に入山を開始します。さすがに紅葉もまだしていないので観光客も少ないだろうと思っていたのですが予想外に我々のすぐ後に続々と県外の車がやってきます。キノコ採りでもなさそうだし何だろう?と思っていたら後に登山者やハイカーであることが分かりました。

さて2年前の記憶を頼りに当時の取り置きした材を探しますが道路横にあったはずの材がありません。ここだったはずだと思い車を降りて確認すると整地のために重機に踏み潰されて粉々になっていました…。
あきらめて別の取り置き材を探しに行くとまた見つかりません。道路から離れた水の流れていない巨石が転がる沢に倒れていたはずなんですが目当ての場所も見つかりません。車で何往復かしてここで間違いないだろうと思うのですが記憶と地形が合致しない上にあるべき倒木もありません。
おそらく地形が変わるくらいの大水のせいで流されたのだろうという結論であきらめました。
仕方なく新たな材を探しますがそんな簡単に良材は見つかりません。
幸い2年前に見つけた極上の材の折れた一部が斜面の下に落ちているのを見つけて運び上げることが出来ました。



↑ 左が見つけたザイモクタケの発生したブナ材、右は断面です。非常に綺麗な朽ち方でオオクワ系にはやや柔らかいですが、色虫の産卵難関種にはまさに最適な極上材です。
B氏はどちらかというとオオクワ系に使える材を求めていたようですが他で数本適当な材をゲットできたのでこの日は昼から店も営業なのでこれで撤収しました。



↑ 観光林道の終点近くにある沢。あきらかに水の色が不自然に青いのが分かるでしょう。この林道は何十回も訪れていますがこんな色だったという記憶がありません。
光のせいではないので温泉か噴気孔からの熱水成分の混入によるものでしょう。
余談ですがここの温泉の源泉は温度が98℃前後と高く自身もお気に入りの温泉です。

あと付近を散策していて分かったのですが道路脇のヤナギの近くが踏み荒らされていたのでおそらく複数のヒメオオの採集者が来ているものと思われますがここは幼虫は採れるので生息はしているものの林道周りでは成虫はなかなか採れません。採るなら徒歩でポイントを探した方がいいでしょう。
自身はここは材探しとコケ採りと写真撮影と温泉入浴という位置付けで、これからはコケ採りのシーズンですが如何せんかなり知られた地なので競争率はハンパなく高いです。そのため最近はコケ採りにはほとんど来ていないので今期もこの日が最後でしょう。
ただここの紅葉は見事なので写真を撮るだけでも来る価値はあります。紅葉時は観光客も一番多くなりますがキノコと違っていくら入山者が多くても景色は採っていかれることはないのでゆっくり楽しめるでしょう。

さて翌週27日は富山のヒメオオポイントへ今期最後のつもりで観察に行きました。
予想通りポイントではペアは少なくヤモメの♂個体が目立っていたので発生ももう終わりでしょう。
そうなると大型の♂もほとんど見つからないので採集はせずに写真だけ撮って終了としました。


↑ メスを探しているのかウロウロと歩き回るオス。

今シーズンは発生が遅れたのでもうしばらくは大丈夫かと思いましたが例年通り10月初頭には見られなくなりそうです。
今期も楽しませてもらいました。来年もよろしくお願いします。
帰りはいつもと違いかなり遠回りをして別の林道を通って帰りました。
その途中で1ペアのヒメオオを確認できたので生息数はあまり期待できそうにありませんが来期からの予備のポイントを見つけることが出来てラッキーでした。

続いて翌日28日は定休日なので一日かけて立山の有峰県立自然公園に行ってきました。
目的はヒメオオ幼虫の材割り採集、新たなヒメオオのポイント開拓、ブナカワラ材の採取、コケの様子見と、盛りだくさんですが全て行うのは無理でしょうね…。
昨シーズン以来久しぶりの訪問となりましたが当日は朝から快晴でまさに山日和です!
とりあえず毎年紅葉の写真を撮るポイントを訪れました。


↑ ご覧の通りわずかにヤマウルシが赤くなっている程度でほとんどが緑のままです。



入山して見ると頭上の木々もまだまだ夏の装いです。

そういえば道中標高800m付近でミンミンゼミの鳴き声を聞きました。
意識して確認したことはありませんがこの時期にその辺りでミンミンゼミの鳴き声を聞いたことはなかったと思います。
今年は夏の到来が遅かったわけではないのにセミの発生が遅かった分、後にブレているのがあきらかに感じられます。残暑が長引くのを分かっていたのですかね?

下草や低木が夏の勢いのまま繁茂していて陽が遮られ薄暗い林床を歩いて目的地に着くと、


残暑が厳しい中でもブナハリタケだけはまだ少ないですがいつも通り出始めていました。
必要量だけ採取して次はすぐ近くの朽ちた株でヒメオオの幼虫採集です。

昨年も材割りしているせいか手オノが入りやすい部位はほとんどなく露出している食痕も全て過去の残骸で割っても食痕は消えてほとんど生に近い堅さです。
樹皮が付いている部分は逆に柔らかすぎて食痕すらありません。
この株で材割りはもう無理かな、と思いながら半ばヤケクソ気味に堅い部分を割っていくと表面から10cmくらいはあろうかという内部に食痕が現れました。


食痕の色や様子からアカアシかヒメオオのものであることは分かりますが材の堅さや昨年の実績から考えるとヒメオオであると推測されます。
ただ過去の食痕か今年のものかは分からないので慎重に割り進めていくと、


一斉に幼虫が現れてきました。↑画像の中だけで4頭写っています。
昨年の採集でヒメオオの♀親は材に穿孔せずに乾燥気味の表面の狭い範囲に固め産みすることが確認できましたが、孵化した幼虫は極寒の冬とキツツキの捕食から逃れるように堅い内部へと穿孔していくのでしょう。



食痕の一部を割り進めていくと羽化して間もないオスの新成虫が出てきました。
やはりこれらの個体群はヒメオオのようです。



朽ち木自体は表面からだんだんボロボロになって行きますがこれだけの太さの株ならまだ何年も発生木として役立つでしょう。
表面の穴はキツツキがあけたものだと思っていましたが、それだけではなくヒメオオの脱出痕も結構あるようです。

さて、ある程度の幼虫を採集したところで次は周辺のキノコの発生具合を見てみます。
状況から考えて期待はできませんが、予想通り全く出ていません。
昨年ナメコを採った材も何も生えていません。ナメコどころかこの時期全盛のはずのツキヨタケも少なく、サワモダシ(ナラタケ)も姿がありません。



↑ この時期ブナ林の林床でよく見かけるドクベニタケ。毒キノコです。

このポイントは切り上げて次のポイントへ向かいます。
次は材採取です。数年前に見つけて一部裁断して持ち帰った材ですが残りの部分の朽ち具合を確認しに行きます。



↑ この材はブナハリタケとツリガネタケ菌によって朽ちていますがツリガネタケ側はまだ若いので今回も状態良く腐朽している部分のみをカットすることにしました。
言葉で表すのは簡単ですが裁断するのはチェーンソーをもってしても一苦労です。
労力と時間の割りには使えるのは2~3カットのみです。

その後すぐ近くのナメコポイントへ移動して様子を確認するも主たるキノコは見当たらず。



↑ ヌメリツバタケモドキ。可食ですが量が少ないのであえて採取はせず。



↑ サンゴハリタケ(可食)。ブナハリタケは普通にありますが当種は珍しいので採取。帰宅後、味噌汁にして食すも苦味が出てはっきり言って美味しくありません。このキノコは汁物との相性は良くないようです。



↑ この時期全盛を誇るツキヨタケ。もちろん毒キノコですから手出し無用です。

雑キノコを観察しながら散策していると昨年倒れたばかりのブナの巨木と巻き添えを食って倒れた別の立ち枯れの枝部分にキツネカワラタケ、シハイタケ、クジラタケ、ブナハリタケが大量に付いています。
昨年は倒れたばかりでまだ若いと思い手を付けなかったのですが部分的には立ち枯れ時にだいぶ腐朽していたようです。
一部裁断してみると超優良材です。ただ運び上げるのが大変なのでこの日は1カットのみを裁断して持ち帰ることにし、残りは後日改めて調べることにしました。

この時点でだいぶ時間が経過しており新たなヒメオオポイントの候補地まで行けそうにありません。
今の時期は日も短くなりおまけに山岳地なので15時くらいには太陽は隠れてしまいます。焦りながらも何とか1ヶ所だけでも見ておきたくてそこから一番近い候補地だけを見ておくことに。



先日訪れたここより標高の低い利賀でもヒメオオは発生末期だったのでおそらく当地ではもう発生はほぼ終わっているでしょう。そんな中でも1頭だけ♂個体を確認することが出来ました。↑
これで一応新たなポイントを一つ発見することができたので来期の発生時期に改めて訪れて見ようと思います。
ただ、この辺りは生息に適している環境が広範囲に及ぶため他のポイントのように1ヶ所で多頭数を捕獲するのは難しそうです。



↑ 道中撮影した薬師岳と有峰ダム。立山の室堂付近は紅葉が見頃のようでしたが、この山は標高3000m近いのですが紅葉の気配はありません。
有峰湖周辺が紅葉すると雪を被った頂上付近からの見事な三段染めが見られることもあります。

さて月が明けて10月に入り最初の定休日である5日は前週有峰に行ってキノコがまだまだでしたので、この週は有峰は回避して岐阜のヒメオオポイントにお礼参りを兼ねて最後の観察に行きました。



↑ こちらもやっとヤマウルシが色付きました。

10月と言っても残暑の影響でこちらも紅葉には程遠く木々はまだ緑色です。
景観的には夏のそれとそんなに変わらないのですが、それでも何かが違います。
確かに秋の気配を感じるのです。
自分でも以前から不思議に思っていたのですが何でだと思います?
それは音がしないんです。
聞こえるのはたまに落ちる葉の音と沢の流れだけです。
エネルギッシュな夏独特のセミ、ハチ、アブ、さらには象徴的な秋の虫の鳴き声や飛ぶ音がありません。
写真だけでは分からない感覚的な秋が現地にはあります。

とりあえずヒメオオはどうなっているか一通りポイント見て回ります。
予想通り姿は全く見えません。
しかしたくさんのヤナギが生えている場所で1本の木にポツンとたたずんでいるオス個体を発見しました。メスを探しているような感じでもなく寂しげです。
手にとって「無事に越冬しろよ。」と声を掛けリリースしました。
やはりヒメオオは残暑が長引いてもこの時期には姿を消してしまいます。
逆に秋の訪れが早くこの時期に霜が降りるくらい冷え込んでも日が昇ると活動しています。体感的な季節感というよりもカレンダー通りに活動している観があります。

さて次はスイッチを切り替えてコケ探しです。
ただここのポイントは斜面が急で林道から下りるのはリスクが高いので本気で探すなら沢を登って行くしかありません。今回はまだ発生は期待薄ですのでそこまでするつもりもなく以前見つけた倒木を数ヶ所見て回るだけです。



↑ 前回来たとき幼菌だったブナハリタケが成菌になっていましたが今回はスルーしました。

やはりコケらしいコケは見つからないのでいい加減に切り上げました。
帰り際には忘れずに山の神様に手を合わせ今年の無事と収穫に感謝いたしました。
ここもまた来年お目にかかりましょう。
まだ時間があったので場所を移動してカワラ材のポイントへ行きます。
そこは数年前に優良なカエデのブナハリタケ材を採取したところで当時残しておいた材の様子を見ることに。



↑ タイミング的にブナハリタケの発生がピークの目当ての材。



↑ 期待通り極上材に仕上がっていたカエデの断面。柔らかくて色虫に最適です。

このポイントはブナ林も深く、緩斜面もあるのでコケ探しにはうってつけなので改めてじっくり攻めて見たいのですが北斜面なのがちょっと気になります。
そういえばコケ採りに来訪した人と会ったことがありません。大当たりは厳しいかもしれませんね…。
近くのミズナラの巨木をちらっと見ましたがやはりマイタケは見つかりませんでした。

翌週の10月12日には2週間ぶりに有峰です。
間隔を空けての来訪なので今回は収穫は出来なくてもコケの発生に期待です。



↑ 雨の中のいつものポイントです。急激に冷え込み紅葉は進みましたがまだまだ遅れています。



↑ ちなみに昨年10月11日の同ポイントの様子です。
1日違いですが今年の紅葉が遅れているのが一目瞭然です。

昨年の店長日記を見てみるとちょうどこの頃ナメコが出始めた頃なので紅葉が遅れている今年はまだ期待できないかもしれませんね…。
この日は平地では晴れていたものの林道の入り口では雨が降り出しポイント付近では本降りで時折ガスもかかるあいにくの天気でした。気温も5~6℃と結構冷え込んでいます。
冷え込みと雨はキノコの発生を促すので必要不可欠ですが入山するには歓迎できる状況ではありません。
天気図とレーダーから昼からは晴れるという自身の予報を信じて、こんな時のために先日新調したアウトドア用の合羽とスパイク付きの長靴を履いていざ入山です。



↑ まず目に入ったのが発生のピークを迎えているブナハリタケ。
旬のブナハリタケは初期のものに比べて肉厚でプリプリです。このキノコはあまり生長すると繊維質でパサパサの食感になってしまいますが今がちょうど良さげな状態なので友人のお土産にする分だけ持ち帰ります。





続いて周りの倒木を見てみるとあちらこちらにサワモダシ(ナラタケ、当地ではモタセと言うこともあります)が出ています。
このキノコはこの辺りでは9月が旬のはずです。2週間前には出ていなかったので最近出たのでしょう。
昨年も不作でほとんど見ませんでしたし今年も晩夏からの少雨の影響で発生は多くないでしょう。当たり年には軽トラ一杯分採っていく人もいるとのことです。
自身は今までほとんど手を出さなかったコケですが味には定評があるので今期は喜んで採取します。
クセがなく、とても良い出汁とシャキシャキした食感は美味で汁物や煮物はもちろん炒め物等、何にでも合う素材です。
当地ではあまり好んで食されることはなく雑キノコ扱いですが一度食べたら見方が変わるでしょう。自身も昨年まで食わず嫌いだったのを悔やみました。
ただこのコケは発生期間が短く採り頃はわずか数日と言われているので見つけたらすぐに採らないと次回は腐ってしまうでしょう。
とりあえず老菌以外をコンビニ袋で1杯分(2~3kg)採取できました。



↑ ブナハリタケとタヌキノチャブクロ(ホコリタケ)。



↑ ブナの倒木のキノコの競演。ツキヨタケ、ナラタケ、コフキサルノコシカケ、オツネンタケモドキ?、ムラサキゴムタケ。



↑ 折れた株の表面に生えていたのでナメコかと思ったのですが傘の廻りや裏をよく見ると地上生のチャナメツムタケ(可食)のようです。

一通り周辺を見て回りましたが昨年ナメコを採取した材にはまだ幼菌すら確認できませんでした。ということはこのポイントでナメコを採るにはまだ2週間近くかかるということです。ここは11月始めには通行止めになるので気持ちばかりが焦ります。

このポイントを切り上げて次は前回1カットだけ材を採取したポイントへ。


↑ 上記でも紹介した今年倒れた立ち枯れでシハイタケのビッシリ発生しているブナの倒木。



↑ 下側になっているのが昨年倒れたブナの巨木。自身が立っている所から根元まででも20m以上はある大木です。
上に重なっている今年倒れた倒木と違い樹幹にキノコが確認できないのでまだ腐朽が浅いと思っていましたが前回この木の枝部分で極上のクジラタケ材を採取しました。
今回もシハイタケ材を2カット持ち帰りました。車まで運び上げるのが大変なのでそれが限界です。
車に運んだ際、コケ採りに来ていた2人のオッチャンが車で通りかかり、その材を見て
「あんた、そのコケ食べるんけ!?さ、なんちゅうコケながけ?」(注、富山弁のまま表記します。)と聞いてくるので、
「なーんやちゃ、食べるがでなてクワガタ飼うがに使うがいちゃ。」
と答えると興味津々の様子で色々質問されしばし雑談を交わしました。
その人たちは久しぶりに有峰に来たとのことでコケ採りといってもカラマツモタセ、スギノキモタセ(スギヒラタケ)を採ってきたとのこと。
念のためにスギヒラタケは毒キノコに指定されていることを忠告したら若干驚いたもののあまり気にしていないようでした。
今でも全国的に結構食べられているようですが健康被害がないことを祈ります。

その後、近くで昨年ナメコの群生を見つけるも取り置きしていたら翌週わずかの差で横取りされて悔しい思いをしたナメコポイントの確認へ。
何本か見て回るもまだブナハリタケが全盛でやはり幼菌も見られません。
ここもダメか…とあきらめてたときに、やっと見つけました!



今期初物のナメコです!
ただ、まだわずかでそれも幼菌です。来週まで無事に取り置きできたとしてもせいぜい1食分程度でしょう。それでも次回に期待して今日のところはそのまま残しておきました。



↑ 同じ木で見つけたブナシメジの幼菌。ブナシメジはたくさん採れることは少なく味も上品なためブナ林のキノコの中でも一級品扱いです。
こちらも来週の楽しみにとっておきました。

ナメコの姿を見れただけで一気にモチベーションが上がってきました。
いよいよ本格的なコケ採りの開幕です。
今月、来月はアルバイトがあるので山に行くときは徹夜になるので体力的な不安はありますが無理をしない程度にがんばろうと思います。
これからしばらくはコケ採りの話がメインになり読者には退屈かもしれませんがご了承願います。
2012年09月19日




↑ 9月10日、ヒメオオ採集に県境付近の岐阜県に訪れたときの空模様。
何の変哲もない秋の空に見えるかもしれませんが、そうではありません。
はけで掃いたような巻雲や層積雲、高層雲の形状から秋らしく感じられますが、県境の山の上空から風下に当たる富山側にかけてこのような雲(画像にもありますが時によっては明瞭なレンズ雲が見られることもあります)が発生しているときは南風が強く吹いているときで富山ではフェーン現象で気温が上昇します。
この日も現地では23~25℃くらいでしたが同時刻に富山市では34.8℃の最高気温を記録しました。この前日も富山市では35.3℃の猛暑日を記録しています。
またこの1週間後の17日には台風16号に向かって南風が吹き込み最高気温は36.8℃、自身の自宅から2kmくらいの秋ヶ島では37.5℃と9月としては史上最高気温を記録しました。
もはや残暑のレベルではありません。しかし厳しい夏もこの台風とともに秋の空気に入れ替わったようで急に過ごしやすくなりました。
日も短くなり夏ももう終わりですね…。



↑ 川ではありません。通常なら水が貯まっている八尾のダムの底ですが水量が減って清流になっています。
当地では水不足とは無縁ですが関東の方は取水制限が入りましたね。今後、地球規模で気候が変動すれば首都圏はもっと酷い渇水に襲われるかもしれませんね。
市販のミネラルウォーターだけではしのげない事態も想定した方がいいでしょう。


さて季節はヒメオオの旬を迎えています。
自身も例年通り時間の許す限りポイントへ行っています。と言ってもある程度の個体数はすでに確保できているので今は新規ポイントの開拓と大型の♂個体の採集が主です。
9月7日は店の営業がありますが午前中だけ県内のポイントの様子見に行きました。


やはり他の採集者も訪れているせいか数は少なめで、そこそこのサイズの個体を2ペアだけ採集しました。
この日は採集に力を入れていたわけではないのでポイントをあとにして普段は行かないさらに奥の別の山に行きました。
そこは以前にも2回ほど訪れていてヒメオオは採れなかったものの3年ほど前に行った時に見つけたブナの倒木をヒメオオの産卵材用に裁断するつもりでした。
着いて目的の材を見つけると一部が採集者によって最近材割りされた痕があります。
ここまで採集に来ているとはヒメオオの採集者はあなどれないですね。
ただ何も採れなかったのか少し割っただけであきらめたようです。
自身も以前に付近を材割りしてオニクワ、スジクワ、アカアシの幼虫は採りましたがヒメオオは採れませんでした。
まあ、ここはヒメオオは採れないだろうと思っていたので材割りされた痕のある倒木の一部を裁断してみると断面に食痕があります。


↑ すんでのところで切断するところでしたがギリギリセーフでした。右はアップの画像ですがほとんど心材部であるカチカチに堅い部位に食い込んでいます。
おや?と思いながら引っ張り出して見るとどうもヒメオオの幼虫のようです。
他にも食痕があるので割って見ると、


いずれも堅い部位から数頭見つかりました。堅くて割り出し時に一部潰してしまいましたが4頭無事に確保しました。
これだけ堅い部位にいたのと食痕の様子や幼虫の大きさからヒメオオだと思いますが、もしそうならここもポイントということになります。それなら以前は採れなかったものの周辺を探せば成虫が見つかるかもと思いましたがこの日は時間がないため止めました。
さらに、近くにあった同一の倒木の一部である柔らかい部分を割って見るとこちらも多くの食痕と幼虫が現れました。


こちらは食痕の色や材の状態から見てほとんどがアカアシの幼虫のようですので材割りは終了しました。
本来ならヒメオオの幼虫が生息している材は保護のために持ち帰らないのですが、いないと思って裁断した部分にたまたま幼虫がいたので切りとった部分だけはいただきました。ヒメオオかどうか確定ではありませんが飼育して見ます。

続いて10日は定休日なので1日かけて岐阜県の新規ポイントの開拓へ出かけました。
一応2ヶ所候補を絞ったのですが、例のごとく車両の通行が不可だと徒歩になる可能性があるので場合によってはどちらか回れればOKかな、という気持ちです。
とりあえず最初のポイント付近に到着していざ林道へ突入!と思った瞬間いきなりチェーンで塞いであり進めなくなりました。
ここからヒメオオがいると思われるポイントまでは5kmほどあります。徒歩だと往復10km以上は歩かないといけません。おまけにこの日は昼から雨の予報になっていて途中でどしゃ降りに遭うのは勘弁願いたいので渋々あきらめました。
仕方がないのでもう一つの候補地へ。
こちらは標高1200m付近まで車で行けるのでさほど山登りはしなくてすみます。
しかし、標高が上がるにつれ雲に覆われてきてポイント付近に到着した頃には小雨が降り出して来ました。気温も17℃まで下がりました。
晴れる見込みもないのでポイントを目前にこちらも撤収です。
予想外に午前中の段階でいずれのポイントも断念という結果になりました。

仕方ないので引き返して3日にも訪れている例の徒歩ポイントと周辺の山に行くことにしました。
ここは先週も他の採集者の後を追うことになったため気が進まないのですがぜいたく言ってられません。
とりあえず歩いて向かったもののやはり思ったとおり先週来て以降さらに採集者が入っているようです。その採集者も同じことを思っているでしょうが…。
道から見える探しやすい場所はほとんど入った形跡があるのでやむを得ず、気合を入れてヤブに突入して危険ですがさらに斜面の下を目指します。


↑ この斜面を降りていきました。
さすがにここまでは来ていないようでまだ採られていないヤナギの生息木を見つけました。


半ばあきらめていたので不用意に木を揺さぶってしまい多くの個体が落下して行方不明になりました…。
この日も個体数よりも大型の個体狙いだったので多く採れなくてもいいのですが♂のサイズだけは確認したかったです。
別のヤナギがないかと付近のヤブの中を格闘していると、


ブナの立ち枯れを発見しました。おそらく先ほどのヤナギにいたヒメオオはこの朽ち木から発生したのでしょう。
ヒメオオを探すときはヤナギを探すのが一般的ですが逆に発生木を見つければその周辺にヤナギがあれば高確率で採ることができます。
ただこの立ち枯れは上からはヤブや木に隠れて見つけることができなかったので斜面を降りなかったら気づくことはなかったでしょう。
苦労してリスクを冒した甲斐がありました。
成虫が採れたのであえて立ち枯れは材割りせずに来期も多くの成虫が発生するように温存しておきます。



↑ こちらは上の立ち枯れとは離れたところで見つけた別のブナの立ち枯れ。すぐ横に生えているヤナギでヒメオオが複数見つかったのでこの木も発生木なのでしょう。

さっきの立ち枯れの周辺を見回すとその木の上部が折れて落ちたと思われる倒木が散らばっています。





一部には早くもブナハリタケの子実体が出ています。↓




↑ こちらは幼菌。
今期初物なので成菌はありがたく採取しました。ちょうど1食分くらいでした。
毎年書いていますがブナハリタケ自体はそんなに美味なキノコではありませんが抗癌作用があるとのことで近年人気があります。
キノコのシーズンの到来を告げるブナハリタケを食べるといよいよ秋だなと実感します。
一部の手頃な太さの倒木を選んで幼虫が入っていないことを確認して持てる範囲で裁断してヒメオオもしくはオオクワの産卵材用として持ち帰りました。
副産物も手に入ったのでとりあえず車に戻り別の林道に向かいます。

午前中に行った山で雨が降り始めていたのでこちらもじきに降り出すだろうと思っていたのですが不思議なことにだんだんと青空が広がり始めました。
南風が強く、上記トップで紹介したレンズ雲状の高層雲が出ているのでフェーンが発生しているのがわかります。前線が近づくと風向きが変わってくるのでまだ天気は持ちそうです。
どうもこの日はこのポイントに呼ばれたのでしょう。
そう思いながら林道を登っていくと以前は気づかなかった倒木が崖に近い道の横の斜面に引っかかっているのを発見しました。
一見かなり堅そうなので普段ならスルーするところですがこの時は気になったので車から降りて確認することに。
少し押したら滑り落ちていきそうな倒木を少しずつ引き上げながら裁断してみると、


おーっ!極上の朽ち具合です。オオクワ系にはまさに最適な産卵材になるでしょう。
今日一番の収穫をゲットできました。やはりこの山に呼ばれたんでしょう。
これ以上望むべくもなく欲を出してもろくなことがないのでこの日は山の恵みに感謝しつつ撤収しました。
途中で今季倒れたと思われる太いブナの倒木にもついつい食指を伸ばして朽ち具合を見ようと一部カットしていると、


根部近くの洞の中にヤマカガシを見つけました。初めはアオダイショウかと思いましたがわずかに斑紋と独特の色が確認できたのでヤマカガシでしょう。ヤマカガシは地域による変異が大きくこれは通常よりもかなり黒化したタイプです。
ヘビは神様の化身ですからこの材には手を付けるなということなのでしょう。
やはり欲を出したらダメですね。素直にあきらめました。



↑ 帰りに麓近くの山道で見つけた栗の木。まだ若栗で食すには早かったです。まだ秋は高山だけのようです。

2012年09月04日




富山市内の店舗屋上から富山湾方向上空を撮影
撮影日時;2012.9.1 21時11分50秒 カメラ;PENTAX Optio WG-1 GPS AF 焦点距離 5.0mm(35mm換算で28.0mm) 花火モード撮影(F3.5、 4秒) ISO80 露出補正なし

↑ 夏の風物詩、雷です。今年はお盆以降、例年以上に雷が多かったです。
残暑は厳しいものの太平洋高気圧の勢力が安定せず大気が不安定な状態が続いています。
雷と竜巻が大好きな自身としては心踊る一時ですが災害には気をつけましょう。
雷の撮影は条件に恵まれないと上手く撮れません。たまたまいい条件に当たったので撮ってみました。今回はコンデジでしたが是非一眼レフで撮影したいです。
この日は夕方以降富山湾上空でかなり活発な雷雲が発生しました。上の画像を見ると横長に雲が広がって見えますが、


実はこの2枚の画像のように右と左の2つの別の雷雲で構成されています。
この雷雲は海上だったので良かったですが陸地にかかっていたら相当な豪雨になっていたでしょう。





ついでに上の2枚は8月22日15時過ぎに撮影したものです。上は高岡方面上空に発生して30分ほどの積乱雲です。雲頂部に現れた綺麗なキノコ状のカナトコ雲がこの雲の活動がピークを迎えつつあることを物語っています。通常は積乱雲の周りが低層の雲によって隠れてしまうのでここまで綺麗に見えるのは稀です。(上の画像でも雲の本体は手前の灰色の雲の後ろにあります。)
下はさらに30分経過したもので積乱雲としては最盛期でカナトコ雲は成層圏に達して水平方向に広がり空一面を覆っています。
このように雷雲は発生して30分後には雲下に豪雨をもたらします。特に山に行くときは山間部ではこのように視界が開けていないので雲を見て天気を判断する知識を身に付けましょう。


さて天気の話はそれくらいにして、しばらく更新しないうちに夏が終わっちゃいましたね…。
便りがないのは元気な証拠、と言いますがその通りで日々の作業に忙殺されて更新ができなかっただけで店は問題なく営業しています。
おまけに自宅のPCが諸事情により9月の中旬までネット接続が不通になっているため自宅での更新作業ができませんでした。
そう言うと店がかなり繁盛しているかのように聞こえますが、今年の夏に限らず夏はイベントや通常の作業が増えるためこの商売は普通に忙しくなります。
ましてや夜間のアルバイトもあって昨年のようにライトトラップ三昧というわけにもいかず8月は1回も採集に行けずじまいでした。
おかげで不本意ながら来月発売の昆虫フィールドの記事は今回休稿となりました。
慌ただしく夏が終わってしまい夏を満喫できるレジャーもほとんどできませんでした。



↑ 8月1日に行われた富山の花火大会。開催場所が自宅の近くなので家族と一緒に楽しむことが出来ました。有名な花火大会に比べると完全に見劣りしますが家族で観賞するには十分でした。

それ以外は採集も夏のレジャーも家族の行事である恒例のBBQもできませんでした…。
もちろんクワ貧の自身にとって仕事やアルバイトは大事ですが、家族や余暇の時間も大切にしたいと最近特に思います。思い出は将来作り直すことはできませんからね。

そんな訳で気がつけば夏も終焉間近でBGMで聴いているチューブも寂しげなスローナンバーが似合う季節になってきました。洋楽ならこの季節はAORがお勧めです。特に秋にかけての夕方なんかは聴いていて切なくなります…。
そんなことはどうでもいいですが、この時期になると恒例なのがヒメオオ採集!
今年もお盆前後には複数のお客様から在庫のお問い合わせがありました。
別にのんびりしているわけではないのですが、過去の店長日記を見ても分かるとおり当地ではヒメオオは9月にならないと本格的に発生しません。
それを分かっていながらも毎年先走って空振りするのですが、今期は早い時期に問い合わせがあったこともありご多分に漏れず気持ち的に焦ってしまい盆明けに前倒しして採集に出かけました。



8月20日、ヒメオオのポイントへ向かう林道。車両は進入できないため徒歩で向かいます。往復で6~7km、約4時間はかかります。
これで採れなかったら…と思いながらも覚悟を決めて厳しい残暑の中を汗だくで歩き始めます。
なんせこの時期は暑さもそうですがオロロ(当地の呼び方でイヨシロオビアブ)とウシアブの猛攻撃を食らい気が狂いそうになります。
虫除けなんか全く役に立たないので自身はキンチョールを頭から全身にブッ掛けます(良い子は真似しないでください)。



歩き始めて間もなく、まだ標高的にヒメオオのエリア外のヤナギで見つけたアカアシのペア。
行きがけの駄賃にと採取したのですが、これがアヤの付き始めで最初に余計なものを採ると本命が採れないというジンクスをないがしろにしていました。
やっとポイント内に入って探し始めるも肝心のヒメオオは発生している気配がありません。
なんとか1頭だけでも…と願っていると、


いました!念願の今期初物です。
例年ならこの時期は越冬したボロボロの♀が見つかることが多いのですが、今年は新成虫の♂が見つかりました。
よし、この勢いでと思いましたがその後必死に探すも結局♂が4頭だけでした。
まあ採れただけでも良しとしましたが♀が採れなかったのは意外でした。
なんか発生のリズムが違っているのでしょうか?



↑ ヒメオオのポイントにて夏の濃い青空にそびえるブナの立ち枯れ。




大雨によって起きた土砂崩れで抜けた山道。車両が入らないため復旧されずにそのまま放置です。何ヶ所か見られましたがそのうち徒歩でも通れなくなることが懸念されます。

一通りポイントを見て行き止まりまで着いた後に引き返しました。
帰りも諦めがつかず行きに見なかった場所を探していきます。
沢の横の斜面を少し下りた所に生えているヤナギで枝に止まっているところを発見し滑落しないように降りて行き採ろうとしましたが高くて穂虫網も届かず木を蹴ったところ落ちて行方不明になりました…。
あきらめて道に戻り荷物を背負って歩き出して身に付けていたクマ除けの鈴が鳴り始めたときに同一の斜面の15mほど先からクマが飛び出してきました。
1m余りの成獣でしたがそのまま斜面を駆け上がって逃げて行ったので写真を撮ることができませんでした。
斜面のヤブの中で遭遇しなかっただけラッキーでした。

とりあえずヒメオオが発生していることは分かったので次は4日後の24日はホームグラウンドである利賀のいつものポイントへ。


残念ながら期待した割りには画像の♀1頭だけしかいませんでした。
やっぱりかという感じで時期尚早だったようです。
ここは毎年2回くらいは先走って空振りします。

それならばと、さらに3日後の27日に再度アタック。
しかし、全く発生の気配なし。発生していればヤナギの枝にかじった痕があるはずですが確認できません。
このままではボウズになると焦って深いヤブに入っていくと軍手をしている右手に鋭い痛みが!
ヤバイっ、毛虫か?と思った瞬間、目の前を飛び回る複数の物体が…。
ハチだ!と分かった瞬間には顔面にも複数の痛みが…。
いつもならガード用のグラスをしているのですがこのときだけしていませんでした。
皮肉なことに災いというのはそういうときに限って起きるもんですね。
慌てて引き返しながら右手を見るとミツバチらしきものがしつこくしがみ付いて刺し続けています。
車に戻ったときにはあまりの痛さに「イテテテテテッ…」と声を出し動けませんでした。
ミツバチといえど刺されたときの痛みはハチに変わりはなく特に10秒近く刺され続けていた右手の痛みは半端じゃなかったです。
過去にアシナガバチには数回刺されていますが痛さは今回の方が上でした。
幸い顔は3ヶ所刺されましたがすぐに振り払ったのでさほど痛みはなかったです。
数分もすると痛みはほぼなくなり刺された場所も腫れることもなく一安心しましたが、採集の意欲を喪失させるには十分な痛さでした。
完全に戦意を喪失してそのポイントを後にしました。
その後、新たなポイントを開拓しに行くも何も見つからずに終了。
帰り際に見た山並みが切なかったです。↓



帰宅して嫁にその出来事を話して「スズメバチじゃなくて良かったね」という返事でその日は就寝したのですが、夜中にふと目を覚ますと刺された右手の薬指が猛烈に痒いです。
痒さで寝ながら掻いていました。
翌日起きると刺されていたところが小さい水疱になっています。ミツバチに刺されると後から痒くなるということをこのとき初めて知りました。皆さんも覚えておきましょう。
気にせずにそのまま仕事をしているとだんだん指が腫れてきました。
たかがミツバチと完全になめてました。
夕方には指が曲がらないくらいになり仕方なくその日のアルバイトは休みをもらいました。せっかく休んだのだからと晩酌に缶ビールを1本飲んだらさらに痒みと腫れが倍増してその夜は痒さで何回も目を覚ましその度に保冷材で冷やす羽目になりました。
さすがにその翌日には皮膚科で薬を処方してもらいました。


↑ 左は刺された翌日の腫れがMAXで水泡ができている状態。右はさらに翌日、刺された周辺が赤くただれてきた状態。

そんなことでめげているわけにもいかないのでさらに中3日で登板しました。
この日も利賀のポイントへリベンジです。
すると、うって変わってこの日は大当たりでした。
わずか4日の違いでここまで違うか?というくらい違います。
これがヒメオオなんでしょうが、毎年採っていても何がきっかけで発生するのか未だに分かりません。あえて変化を言えば前回は雨がしばらく降っていなかったのが今回は前日に雷雨があったということでしょうか。降水がきっかけになったのかもしれません。
この日も雷注意報が出ており午前中のうちに雷雨が降り出したのでいいかげん撤収しましたが一部リリースしたものの収穫としては十分でした。






↑ この日はヒメオオ採集を堪能できました。

先日の採集に気を良くして9月3日には当地八尾で行われている「おわら風の盆」の会場を横目に見ながら岐阜の徒歩で向かうポイントへ。全国的に有名な「おわら」ですが自身は見たことはなく今年もヒメオオの方が魅力です。

先日の利賀の様子からこちらも期待しながらひたすら徒歩で探して行くとどうも予想と違います。
前回以上になかなか見つかりません。発生している痕跡はあるのですが…。
しばらく探して理由が分かりました。この日は店の定休日の月曜日です。おそらく土、日に先客があったようです。
いくら発生が始まっていても根こそぎ採られた昨日の今日ではほとんど採れないでしょう…。
昨年もそうでしたが、山菜、キノコ、クワガタと同様の失敗が何回もあるので現在店の定休日の変更を真剣に考えています。金曜日に移行する予定ですが決まったらHPにて告知いたします。
とりあえずそのポイントは最後まで探さずに前回の♂4頭とペアにする♀が採れたところで撤収しました。それでもすでに3時間が経過しています。
あと1ヶ所回るのが精一杯かな、と思いつつ昨年から地図では目をつけていながら行っていない処女地を攻めて見ることにしました。

果たして行けるのかどうかわからないポイントを目指して、もう2度と来たくないというような通常の乗用車ではおよそ走れないようなガラが転がる悪路を何とか走っていくと標高が900mを超えた所でチェーンが張ってあり通行不可に…。
ここまで来て引き返すのも悔いが残るし、かと言って目指すポイントまでは標高差で300m最低でも200m、距離にしたら片道2~3kmはあります。
急いで歩いても片道1時間はかかります。おまけにすでに6kmを3時間歩いてきたところなので体力的に持つかどうか…。
不安でしたが、まだ見ぬヒメオオのパラダイスを目指して頑張ることにしました。
あと100m行ったら引き返そうと思いながらも何とか標高1100mまで辿り着き、ヒメオオの生息エリアに入ったのであとは探すだけだと思っていると1150m付近のヤナギ数本でヒメオオ発見!
しかし斜面が急で下手をすると100mくらい滑落しそうです。おまけに枝の高いところにいるので網が届きません。やけくそで木を蹴ったら案の定、落下して行方不明に…。
それでも数ペア確保できました。♀では今期最高の39.8mmの個体が採れました。


↑ ヤナギの根元に潜んでいたヒキガエル。体長20cm以上はある大物でした。おそらくこの辺りの主でしょう。バチがあたらないようにそっとしておきました。

大型の♀が採れてパラダイスを思わせる予感にワクワクしながらさらに進むと1200mを超えてところであえなく行き止まりに…。
結局さっきの1ヶ所だけしかポイントはありませんでした。
さすがにここは未踏のポイントで来れば確実に採集できると思われますがこの1ヶ所のヤナギのためだけに再度訪れるかというとビミョ~な思いです。

結局この日は延べで5時間強、10km以上を歩きました。ここまでくるとほとんど登山ですね。普段からバイトで身体は動かしているので体力的には何とか持ちましたが翌日はお尻の筋肉痛に見舞われました…。



↑ 帰る途中で見かけた風景。山の左半分の木がほとんどありません。伐採したにしてはその後植林した形跡がありません。他にも同様の場所があったので地滑りで山が崩壊した跡でしょうか?それにしては境界が綺麗過ぎる気がします。
いずれにしても何らかの対処をしなければ再び地滑りが起こる可能性が高いでしょう。

さて今月はヒメオオもさることながらブナとケヤキ材の採集、月末にはいよいよキノコのシーズンの到来です。これからが一年で最も多くフィールドに訪れる時期なので楽しみです。

追伸;今回採集したヒメオオは順次生体商品としてUPする予定です。
2012年07月25日


↑ 富山県産オオクワガタ(F0) ♂50.2mm H24.7月羽化 A氏作出

お久しぶりです。
約1ヶ月ぶりの更新ですが、最近は諸事情で忙しくなかなかフィールドに行けません。
個人的には山に行っているときが一番落ち着くのですが、
「父、山に行って働かず。」ではおまんまの食い上げです。
よくお客様から「夏はシーズンだから儲かるやろ?」と聞かれますがとんでもない!
とてもじゃないけど虫屋だけで家族を養えるほど甘くはありません。
以前にも書きましたがバイトは必須で、おまけにそのバイトも今が繁忙期でおちおち山にも行けません。
休みは子供とも遊びたいし、家族サービスもしないといけません(あまりしてませんが…)。
一挙両得を兼ねて子供を山の源流に連れて行ったり渋る嫁を無理矢理採集に同行させたりして何とか時間をやりくりしています。
世のお父さんたちは大変ですね…。自身は好きなことをさせてもらっているだけまだ恵まれていると思っています。

さて、話は変わりますがトップの画像を見て下さい。
富山県産オオクワガタ(F0)です。F0ということはつまり幼虫採集のWILD個体です。
ただし幼虫を採集したのは自身ですが作出したのは自身ではありません。
どういうことかというと、自身が採集してビッダーズオークションに出品していたエノキ材を購入されたA氏が(オオクワ以外の虫の)産卵セットに使用し割り出した幼虫を飼育したところ1頭だけオオクワガタが混じっていたとのことでした。
もちろんA氏はオオクワガタは♂のみしか飼育していないので間違ってブリード中に混入した可能性はありません。つまり最初から材に入っていたということになります。

天然材であるがゆえ、雑虫の混入の可能性についてはあらかじめご理解を頂いているとは言え、あまり自慢できることではありませんがA氏もそのことを寛大に受け止めて下さり情報や画像の提供と使用を許可して下さる等、この場を借りてご厚意に感謝します。
自身もその事実を知ったときは嬉しいという感覚が生じたのが正直な気持ちです。
現在、情報誌「昆虫フィールド」の記事中で県内のオオクワガタを調査していて自身ではここ何年も結果が出なかった中で図らずもオオクワガタの幼虫を採取していたとなれば嬉しくないわけがありません。

A氏からも産地の詳細情報を依頼され早速調べようとしたのですが材を購入いただいたのがH22年8月で約2年前でありオークションに出品する際に使用した画像も消去してしまっていたため、どこで採取した材かが判明しません。
その前後の活動記録画像やこの店長日記の内容からある程度は絞り込むことができました。
このことについてはこの先「昆虫フィールド」の記事でも紹介するつもりなのであまりここで書いてしまうとネタが尽きてしまいますがあえてここでお教えしましょう。
実は「富山市」の可能性が高い(少なくとも富山県内なのは100%)ことが分かりました。
まあ、富山市といっても現在では合併でとんでもなく広い範囲ですがそれでも自身のまさにお膝元でとれたかもしれないという事実には胸が高鳴ります。
それ以上のことは調査をして分かり次第また報告いたします。


さて話は変わって最近の活動ですが上記の事情によりライトトラップもできずに一般的なカブトムシやノコギリやヒラタの採集に終始していました。


7月2日にお馴染みの河川敷のポイントに行くとまだ虫は多くなく発生初期のカブトムシの姿がちらほらと見れる程度です。
樹液が出ているクヌギやコナラが少ない当地(クヌギ自体がほとんどない)では河川敷のヤナギで探すのが最も手っ取り早いのですが太平洋側のクヌギ林と比べると数もサイズも圧倒的に劣ります。



この日はヒラタ狙いだったのですがここのポイントも多くのヤナギが伐採されてしまったため細い木ばかりで洞の中に隠れている個体も小型のものばかりです。
↑画像の個体も出して見たら50mm程度しかありませんでした。
他の木も入念に見て回り別の木で見つけた個体を洞から引きずり出そうと掻き出し棒で悪戦苦闘していたら頭部だけがもげてしまったのでいたたまれなくなりその日はそれで終了しました。

日を改めて梅雨も明けた23日に再び同じポイントへ。


さすがに夏本番で下草の勢いもすさまじく完全にヤブ漕ぎ状態です。
木々の枝に張っているクモの巣には丸々と巨大化したジョロウグモが。
顔に付くのだけは勘弁してくれと思いながら進んでいきます。
途中、樹上からマムシが落下してきましたが何とかヤナギを見て回りました。


以外にもヒラタはほとんど見つからず樹液にはカブトが多かったです。
ノコギリもだいぶ発生しており木を蹴って何頭か採集できました。



木を蹴ったら落ちてきたシロスジカミキリ。クワガタ採集には外道扱いですね。
やはり生理的に好きにはなれません…。
暑さのため時間をかけてゆっくり見ることはできませんでしたが各種合わせて20頭以上は採集できたので終了しました。


↑地面になった木いちごの酸っぱい実がひと時の癒しを与えてくれました。

汗だくになって身体の塩分が減少したので魚津までドライブをしてラーメン店「むてっぽう」に行き味噌チャーシュー麺を食べました。


濃い目の味が疲れた身体に染み渡りましたが、さらに喉の渇きを助長する結果を招きました。

さて、わざわざ魚津まで来たのは採集のためではありません。
本命はこれ!




毎年恒例の今が旬の「岩牡蠣」。
今年は氷見ではなく魚津の海の駅に食べに来ました。
1個¥500、¥600、¥700のものがあり¥500のものを3個食べるか¥700のものを2個食べるか悩みましたが店のオバちゃんに聞いたらやはり大粒の牡蠣は違うと言われ¥700のものを2個頼みました。
発泡スチロールの皿と比べたら貝の大きさが分かると思いますが一粒でも食べ応え、濃い旨み共に絶品でした。
やはり夏はこれですね。



食べた後に近くの海岸から見た生地方面の海岸線。
このアングルは春に蜃気楼が発生したときにTV等で中継されるお馴染みの景色です。
上の画像は蜃気楼は発生していない普通の景色です。蜃気楼が出たときは画像中の対岸の景色が明らかに変化するので判別できます。


最後になりましたが、この仕事をしていると特に夏場は話題性からメディアに取り上げられたり出演することも多くあるのですが、先日の17日には地元の「富山シティFM」の番組に出演させていただきました。
25分間くらいでしたが店から生中継で紹介していただきました。
この場を借りてお礼申し上げます。
また機会があったらよろしくお願いします。基本的に声をかけていただければメディアへの露出は歓迎いたします。
2012年06月27日






↑ 撮影地;富山県富山市西中野町 日時;2012.6.6 10時52分(上)、12時35分(下)撮影 カメラ;OLYMPUS E-510 レンズ;OLYMPUS ED 40~150mm(F4~5.6)/150mm焦点(35mm換算で300mm) F5.6 マニュアル撮影(f8 1/1000秒) マニュアルフォーカス ISO100 ND100000フィルター使用 トリミング


前回のUPから1ヶ月近くが経過してしまい、すでにタイムリーな話題ではなくなってしまいましたが6月6日の金星の太陽面通過です。
レアという点では前回の金環日食よりも珍しい現象ですが、やはりスケールが小さいせいか注目度も日食ほどではなかったようです。
自身も観察というよりはいかに写真を撮るかということに専念しました。
当日は天気がすっきりとせず雲の合間からチャンスを伺う展開でしたがそれでもきれいに見ることはできました。
ただ、いかんせん対象が小さいので自身の撮影機器では満足できるほどの画像を得ることは難しかったです。
それでも編集で太陽面を通過する金星と黒点の比較が出来るくらいに撮れたのでまあ良しとしましょう。

さて、日記のUPはサボっていましたがフィールドワークは活発に行っていました。
5月末から6月初旬は最後となる春の山菜採りに利賀に行ってました。
山の春は里よりも進行が早いのでタイミングを数日外しただけで採り頃を逃してしまいます。



↑この時期のブナ林は新緑に覆われ最も生き生きとする時期です。
当初、利賀には材割りと材探しに行く予定でした。ついでに前回少し早かった独活(ウド)が採れればいいかな、というくらいの感じで向かいました。
ポイント付近に到着すると、



さすがに標高が高いだけに2番芽ではありますがまだ採り頃のタラの芽が残っています。周りを探すと大きなタラの木がたくさんあります。新たなポイントを見つけてしまいました。せっかく残っている芽を採らないのももったいないので予定外ですが採集しました。
採り終えて独活のポイントへ行くと、




まさにベストタイミング!野太い独活が群生しています。早速1本を生でかじりながら採らせていただきました。やはり山の独活は格別です。
一通り採って周りを見ていると、



おやおや、ワラビとススタケ(ネマガリタケ)があるじゃありませんか。
目に入った以上採らなければなりませんとばかりにこちらも採集。
いつの間にか材割りの予定を忘れていました…。
午前中しか時間がないので山菜はこの辺にして目当てのブナ林へ行くことに。
また山菜が目に入らないようによそ見をせずに向かいます。
車を止めていざ林の中へ入ったところで再び採り頃のコシアブラが…。


あえて見てない振りをして前進したのですが「採って」と言わんばかりに目の前に現われます。もうコシアブラしか見えません…。
結局欲に勝てずにコシアブラ採集。

採り終わった頃には残り時間も少なくなっていましたがこのまま帰るわけにも行かないので材の姿を見るだけでもと、ブナの倒木を目指しました。
とりあえず少し材割りしたのですが思ったほど幼虫が入っておらず2頭ほど採取して止めました。
その倒木の場所から少し斜面を上がって見るとその元の根株がありました。


いい感じで腐朽しています。少し堅めでまさにオオクワ系にはベストな産卵材になりそうです。さすがに手ノコで切っている時間も労力もないので次回まで取り置きすることにしました。
時間もなくなり(店の開店時間に完全に遅刻)あわてて撤収。
↓本日の収穫(コンビニ袋に4袋分)。



話は変わって、オオクワの調査ですが今期は昨年よりも早くライトトラップを行うことにしました。昨年同様S氏の協力のもと6月だけで今のところ3回行いました。






上から順に13日、18日、23日の様子です。
さすがにいささか時期尚早だったせいか結果はコクワとミヤマがわずかに採れただけでした。
特に23日は気温が低く調査の最中で気温は13℃近くまで低下。これではオオクワガタは望めません。早々に撤収しましたが星が綺麗でした。↓


白鳥座付近をバルブ開放で20秒露光撮影。
肉眼では天の川がはっきり見えていましたが写真ではなかなか綺麗に撮れません。
星を撮影するときはやはり赤道儀とモータードライブが欲しいところです。

手を換え場所を換え調査を行ってもオオクワガタの姿は拝めず…。
今期は自身、S氏共に仕事の都合でライトトラップは昨年のような頻度ではできそうにないのでその分樹液採集をがんばるつもりです。

そんなわけでオオクワガタではありませんが今月中旬に県内の某河川敷にヒラタクワガタの樹液採集に行ってきました。
例年確実に採れるポイントなのですが行って見るとあったはずのヤナギ林が伐採され無くなっています。洪水時の流木対策なのかは知りませんが、他の水系にしても全て伐採して公園やグラウンドを整備して美化したと言いながら自然環境の保護や保全を訴えるのはいささか疑問に思います。
例えば愛知、岐阜にまたがる木曽三川公園のように自然を残したまま整備することはできないんでしょうかね?
一人の虫屋の戯言なんか聞いてもらえるはずも無く、仕方なくわずかに残ったヤナギ林を見て回りました。


ボクトウガによる洞や樹液がまだ少ないせいかヒラタはわずかでしたがカナブンはすでに多く発生していました。



↑頭上の幹のクワガタを採ろうとして木に登ったら目の前にスズメバチがこんにちわ!
アドレナリンが体中を駆け巡りました。
結局、掻き出し棒を忘れたので採れなかったこともあり小型のヒラタが数頭採れただけでした。
最近は60mmオーバーの個体も激減しています。

日は変わって春にヒラタケとヒラタの幼虫を材割りした市内のエノキポイントへ行って来ました。
すると、以前にも根元に発生したコフキサルノコシカケや霊芝(マンネンタケ)を紹介したこともあるエノキの立ち枯れが春の嵐の暴風で折れていました。↓


本体の根元には多くの食痕が入っているのでいずれ時期を見て倒さなければいけないと思っていたのですがその前に上半分が折れてしまいました。
早速落ちている幹を探して裁断してみると、


すばらしい朽ち具合です!
残念ながら地面に接地していたのでアリが巣食っていたのと雑虫(クワガタ)の食痕が入っていたので全てが使える状態ではありませんでしたが部分的には質は今期最高クラスの状態でした。
この材はその後2回に分けて採取してきました。



↑根元のコフキサルノコシカケが胞子を飛ばして名前の通り茶色のコフキ状態でした。
一般的なキノコは傘の裏(下)側から胞子を飛ばしますがこのキノコは上面から胞子を飛ばします。写真では分かりませんが茶色の胞子が煙のように微風に舞い上がっていました。



↑同じエノキの根元ですが何か分かりますか?
霊芝(レイシ、マンネンタケ)の幼菌です。
昨年この木に発生していたのを偶然見つけましたが今年も発生しました。
霊芝は単年生なので成菌になるとすぐに雑虫食害や雨のせいでボロボロに腐ってしまうので時機を見て採取しないといけません。
レアでデリケートなキノコなので無事生長することを願います。



↑この日は別のエノキの倒木の根部で材割りも行い首尾よく20頭ほどのヒラタと(ほとんどが)ノコギリの幼虫を採集することが出来ました。

気を良くしてこの後別の山系のポイントに2年ぶりに行って来ました。
ずっと以前から見つけていたケンポナシの立ち枯れがこちらも折れていました。


↑画像の3本全てが立ち枯れです。ケンポナシは最近オークションの出品でも人気が高くなってきたレアな産卵材です。径は胸の高さで60cmくらい樹齢で70~80年くらいの大木です。
折れた部分の木っ端を試しに持ち帰って裁断してみると色虫にはやや堅めですがオオクワ系にはうってつけの朽ち具合です。
今後の楽しみができました。

話は全く変わりますが先日店内で逃げ出した商品のスマトラヒラタの♂90mmが見つかりました。↓


なぜか分かりませんが流しの排水口に入っていました。
以前逃げ出したヘラクレスの♂がゴミ箱の中から見つかったことはありますが流しは初めてです。
虫を飼育しているブリーダーなら経験があると思いますが逃げ出したときに部屋の中にエサのゼリーを置いてトラップをかける方が多くいます。
そのような時はエサではなく産卵木(なるべく大きいもの)を置いてみて下さい。
エサを置くよりも高い確率で寄って来るはずですので覚えておいて下さい。
2012年05月22日




↑ 撮影地;長野県諏訪郡原村八ヶ岳自然文化園 日時;2012.5.21 7時34分37秒撮影 カメラ;OLYMPUS E-510 レンズ;OLYMPUS ED 40~150mm(F4~5.6)/150mm焦点(35mm換算で300mm) F5.6 マニュアル撮影(F5.6 1/125秒) マニュアルフォーカス ISO200 ND100000フィルター使用 トリミング


予告通り金環日食の観測に行ってきました。
当地富山は金環帯から外れているため長野県諏訪郡原村の八ヶ岳自然文化園という所まで行って来ました。
当日は心配だった天気も問題なく始めから終わりまで太陽に雲が掛かることもありませんでした。

この場所を選んだのはネットで調べていたところここの園内にある科学館前にて観測会を行うという情報があったためです。当初は北軽井沢に行く予定だったのですが現地に着くのは夜中の予定だったので夜が明けてみたら太陽の方角に高い山等邪魔になるものがあった場合良い場所を探している時間的余裕がないため確実に撮影できる場所をあらかじめ確保する必要がありました。
幸い観測会を行うというこの園に電話で問い合わせたところもちろん撮影できる場所は十分にあるということでしたし何より有知識者たちが行う会なので安心感もあるのでここに決めました。

ただ言い方は悪いですが辺ぴな高原の観測会なら来ても地元の人が数人来てるくらいだろうと思っていたのですが、当日夜中の3時過ぎに現地に着いてみてビックリ!
駐車場にはすでに多くの車が!そして車の横には各自の観測機器がすでにセッティング済みで夜明けを待つだけの状態になっています。どうも観測会の会場ではなく駐車場で多くの方が撮影するようです。
みんな気合の入り方が一段も二段も上です…。

とりあえず真っ暗で街灯もなく周りの景観も分からない上に前日も寝不足のところを徹夜で運転してきたので1時間余り仮眠することに。
5時に起きるとすでに周りでは準備を始めている人がちらほら。
負けじとこちらも準備を始めます。なんせカメラ以外の撮影用の機器は買ったはいいけど予行練習をする暇がなくこの時まで触ってもいません。
一抹の不安を感じながらも無事セッティング完了。
ただ、なんのせ寒いです。標高の高い高原だけあって野外の気温は6℃台まで下がっています。上着を用意してきて正解でした。
6時になって日食開始まであと19分になったところで車中でお休み中の嫁と子供を起こします。

さて、いよいよかと思って改めて周りを見回すと、


車の多さにビックリ!さすがに富山からは自分たちだけでしたが東京や名古屋等、県外ナンバーが多くいます。



↑ 観測会の会場もかなりの人数が集まっています。

もっと静かな雰囲気で行われるかと思っていたのですが予想外ににぎやかで気持ちもワクワクしてきます。日食なんて全くわからない子供はとりあえず走り回って喜んでます…。日食グラスをかけさせようとしたら気に入らないらしくブン投げていました。観測する気はないようです…。

今回の目的は金環日食を見ることと連続写真を撮ることです。
6:19:21の開始から9:00:41終了まで約3時間弱、きっちり5分おきに撮影して後から1枚に合成する予定なのでカメラの場所から動けません。
はしゃぐ子供は嫁に任せていよいよ撮影開始です。
ちなみにカメラの設定は全てマニュアルなので明るさ等、写り方が不安でしたが始まる前に練習したところ問題なさそうです。唯一ピントだけは広角レンズで被写体が小さくしか確認できないので自信がありません。

順調に撮影が進みだいぶ太陽も欠けた所で撮影した画像がおかしいことに気づきました。太陽は欠けているのに撮影した太陽は丸いままです。
改めて液晶のライブビューで太陽を拡大して確認して見ると全くピントが合っていません。
完全に失敗です……。



↑ 失敗した画像を合成したもの。太陽が欠けていってません。
これは太陽が欠けたから分かったことで日食撮影の経験がないと仮に事前に予行練習していても通常の太陽なら分からなかったと思います。
あきらめてその時点からやり直します。



↑ 撮影地;長野県諏訪郡原村八ヶ岳自然文化園 日時;2012.5.21 7時13分38秒~7時32分38秒まで約5分おきに撮影 カメラ;OLYMPUS E-510 レンズ;OLYMPUS ED 14~42mm(F3.5~5.6)/24mm焦点(35mm換算で48mm) F5.6 マニュアル撮影(F5.6 1/125秒) マニュアルフォーカス ISO200 ND100000フィルター使用 撮影後に編集ソフトで合成、トリミング

上は途中から改めて撮り始めた画像を連続合成したもの。
まあ、なんとか見れるくらいにはなったので良しとしましょう。
こうなった以上、連続撮影は金環時までにして金環時のアップ画像とその他の画像を撮ることに変更です。



撮影日時;2012.5.21 7時16分43秒 カメラ;PENTAX Optio WG-1 GPS AF デジタルズーム使用 25.0mm(35mm換算で140.0mm) Pモード撮影(F5.5 1/8秒) ISO100 露出補正-2.0EV 市販の日食グラス使用

↑ 通常持ち歩いているアウトドア用のコンデジで撮影しました。マニュアルモードがないので設定に試行錯誤したのとオートフォーカスだとなかなかピントが合ってくれないので何枚も撮らないといけないのですが意外と綺麗に撮れました。シャッタースピードが遅いので手ブレするのが難点ですがこれだけ綺麗に撮れるならコンデジ用の三脚も用意するべきでした。専用のフィルターではなく日食グラスを使用したので色彩も上手く表現できました。簡易な装備でも専用の機材にはない写真が撮れるものです。

さて、いよいよ金環日食、メインイベントの時間が近づきました。
周りを見回すとやや暗くなったのがはっきり分かります。またこの頃から周辺の鳥の鳴き方が変わりました。夕方だと思ったのでしょうか?面白い現象でした。
この場所での金環食の時間帯は7:32:14~7:35:34の3分強です。
まずはこの眼で金環になる瞬間を拝みます。
観測会の会場では10秒前からカウントダウンが始まりました。
「ゼロ!」の掛け声から数秒遅れてリングになったのが確認できました。皆既日食と違い、ダイヤモンドリングやコロナが見えないので意外とあいまいな金環食の始まり方です。会場ではいっせいに拍手が起きています。
こっちはそんな余裕はありません。少し待ってリングがはっきりしてから連続写真用の画像を撮影します。
すかさずレンズを望遠ズームに交換します。今回は持っているズームレンズでは焦点距離が足りないため大きく撮れないので望遠を使う予定はなかったのですがこんなことならやはりきちんと望遠レンズを準備するべきでした。
まあ、それでも後からトリミングすれば何とかなるだろうと思い撮影したのがトップに載せた画像です。マニアに比べたら稚拙な装備ですが結構それなりに撮れていませんか?



↑ 撮影時間は7:34:55でトップの画像から約20秒経過しています。金環食の終わりに近づいたのとシャッタースピードを先ほどの半分である1/250秒にしたことで白飛びが抑えられ太陽の右下に月面の凸凹による影がわずかに確認できます。
もう少し長焦点の望遠レンズであと20秒後くらいに撮れば「ベイリービーズ」といってリングの光が途切れ途切れのビーズ状になる現象が撮影できたかもしれません。
ただその時はそんなことを確認する暇もなく次はビデオで家族の撮影です。
子供は全くもって興味はないらしく太陽を見ようとしません。裸眼で太陽を見るのが心配だったのですがおそらく観測の間、一度として太陽を見ることはなかったと思います…。
ビデオでも日食グラスで太陽を撮ろうとしたのですがさすがに動画では手ブレが激しいので上手く撮ることはできませんでした。
そうこうしているうちに3分間はあっという間に経ち金環食は終了し再び部分食へと進んでいきました。
ところで金環食中は皆既日食ほど暗くはないものの明らかに光量が減り暗くなったのを実感できただけでなく急に気温が下がったのを実感できました。もともと高原地帯で太陽光以外熱源になるような人工物(熱を放射するアスファルト等)が少ないことも関係しているのでしょう。感覚的に変化がわかると日食というものが実感として湧いてきます。

会場では再び拍手が鳴っています。気の早い人間は金環食終了と同時に片づけを始め撤収する車もいます。
自身も連続撮影に失敗したため後半は撮る気がなくなり5分おきの撮影も中止しました。
残りの時間は他の観察を行いました。



↑は木漏れ日の様子です。ピンホール現象のおかげで光も欠けた太陽の形になっています。



↑ 会場に行くと様々な望遠鏡や観測機器が置いてありました。その一つが上のミラーボールです。反射した一つ一つの光がやはり欠けた太陽の形になっています。



↑ さらにピンホール現象を利用したボードで記念撮影です。文字が欠けた太陽の形で構成されています。よく考えたもんですね。手作りごくろうさまです。

会場をうろうろするうちに大半の人たちが撤収してしまいました。
自身も一通りの行程を終えたのでせっかくだから園内を散策してきました。
八ヶ岳の麓に位置しており白樺の林が高原の雰囲気をかもし出しています。↓


園内にはフィールドアスレチックもあり家族連れでの来園も楽しいでしょう。
散策していても倒木や朽ち木、山菜に目が行ってしまうのはクセなんでしょうね。
ところどころに良さげな朽ち木が倒れていますが園内は草木採取が禁止なのでながめるだけにしました。一応常に手ノコと手オノは携行しているんですけどね…。

一通り園内を散策したところで我々も撤収することにしました。
素敵な天体ショーが観測できてありがとうございました。
さて、園を出てあてもなく付近をドライブしているとさすがに高原だけあって見晴らしの良い場所があちらこちらに。


↑は八ヶ岳が展望できる開けた草原です。
ここで景色を絡めて日食の連続撮影をすればいい写真が撮れただろうなと思うと、こっちで日食を観測すれば良かったと少し残念に思いましたがこの場所を見つけるには少なくとも前日の昼間に前乗りする必要があるので仕方がありません。
やはりここで観測していたのであろう2組の車がいました。

行くところもなく山梨県に入り小淵沢辺りでお決まりの手打ち蕎麦を食しました。
ご当地の特産蕎麦を食べるのは蕎麦好きとしては忘れるわけにいきません。
小淵沢まで来たらもう少し足を伸ばせばオオクワの産地です。
もう10年近く訪れていません。行っては見たいものの嫁の目が怖いのと自身も徹夜で体力がないのであきらめました。



↑ 帰りに寄った諏訪湖SAから見た諏訪湖。綺麗ですね。
最近のSAは充実した施設が多くなりましたがここも例外ではなく綺麗なSAで日帰り温泉まで併設してありました。
自身はこの後、ここではなく帰途に平湯温泉の「平湯の森」で日帰り温泉に入りました。
ここは年に数回は必ず訪れているお勧めのお湯です。露天風呂もたくさんあり女性にも受けがいいので家族旅行には最高ですよ。近くに穂高や上高地等の観光地もあるので行ったことがない人はぜひ行って見てください。

今回は全くクワガタとは関係ない主旨でしたが、あくまでも日記ということでご容赦ください。
次回からはクワガタ関連に戻ると思います。
2012年05月16日






2012.4.16.AM6:00頃富山市内にて撮影。

「幻日」という現象です。
深夜からのバイト帰りで自宅に戻る途中で偶然見ることができました。
東の空に昇った太陽の両側に幻の太陽が確認できます。といっても本当の太陽ほど明るいわけではありませんがそれぞれがレインボー(太陽側が赤色)に分光して見えるのが3枚目の画像で分かると思います。
特定の気象条件が揃った夜明けもしくは夕方に現れます。
太陽の両側(太陽からの角度がそれぞれ22度)に現れるのは稀で今回はさらに幻日環の一部と上部タンジェントアーク、内暈がセットで見れました。幻日自体は年間に数回くらいはあるらしいのですが、これだけのものになると毎日意識して太陽を見ていない限り通常の生活を送っている人なら数年もしくは数十年に一度見れれば良い方でしょう。
自身もこれだけはっきり確認できたのは初めてです。
一気象マニア、天文ファンとしては嬉しい出来事でした。

珍しい気象現象といえば今月は各地で竜巻や雹の被害が相次ぎました。
その数日前の5月3日には上空の寒気の影響で当地富山でも激しい雷雨となりました。
その雨上がり撮ったのが↓です。




見事な虹です。
まあ虹自体はさほど珍しくなく先月も撮影しました。頻繁に虹が出るというのは天候が不順でシビアウェザーが起きやすいということの表れでもあります。
ただ今回の虹はまた特別はっきりしていてスペクトルが見事でした。
本体の虹の外側に薄く2重に虹が現れるのを見たことをある方は多いと思いますが(画像ではわかりませんがこの時も2重に出ていました。)今回の虹は光の屈折率がかなり強かったのか本体のすぐ内側に重なるように薄く見えていました(2枚目画像)。これも自身、直接見たのは初めてでしたのでラッキーでした。

さあ、そして来週21日は全国各地で金環日食(部分日食)が観測できます。
天文ファンとしては見過ごすわけには行かないものの当地富山は残念ながら金環帯から北に外れていますので嫁と子供を連れて県外(たぶん長野県)あたりに観測に行く予定です。首尾よく見ることができたらまた日記で報告します。


さて、話を通常に戻しましょう。
前回の更新以降も精力的に山には行っていました。ただバイト明けにほぼ徹夜で行くために体力的には限界に近く行っても長時間動くこともできず帰ってきても日記にUPする気力もない状態でした。
山に行っていたのは昆虫フィールドの記事のオオクワの調査のためでしたが実際は半分以上が山菜取りになりました…。
先ほど紹介した「幻日」が見れた4月16日は何か良いことがありそうな気がしたのでそのまま山に直行。


しかし目的地はまだ残雪で通行は不可…。
まだ山菜には早いかなと思いながらも徒歩で山に向かいます。



コシアブラはまだ堅い芽の状態です。



偶然シイタケが生えた倒木を発見。誰かが駒菌を打ち込んだのか天然なのか分かりませんが誰かに管理されているような状態ではなかったのでありがたく頂戴しました。



この日は暑いくらいだったので用水の横でシマヘビが日向ぼっこをしていました。ヘビを見たということはさらに縁起がよさそうだと思いポイントを変更、材割りでオオクワの幼虫を探すことに。



崖際の危なっかしい場所で良さげな切り株を発見!割って見ると早速幼虫が。
見た感じ期待できる幼虫だったのでまずはデジカメで撮影して(右上画像)その後取り出そうとしたら手が滑って幼虫は崖の下に…。
全然縁起が良くない…と思い即行で材割りは中止。再び山菜採りに。
付近でタラノメを探すもまだ芽が開いていないものが多く採れたのはわずかだけ。
中途半端な量を持ち帰っても困るだけなのでポイントを変更し秘蔵のタラノメポイントへ。


↑夕日に映えるタラノメ。
こちらのポイントはちょうど採り頃ですでに半数は地元の住民に採られていました。それでも十分に収穫できたので半分は友人のお裾分け用にしました。


↑タラノメを収穫した後に近くで見つけた切り株。サルノコシカケが付いており朽ち具合が気になりましたが体力の限界で撤収。
↓本日の収穫(これの倍ありましたが半分は友人に分けました)。



翌週はいよいよ山菜の旬でしたが、まずは先週タラノメポイントで見つけたサルノコシカケが付いていた材を確認に行きました。


切り株ではなくて折れた樹幹の方を見るとこの時期なのにヒラタケが生えており立派なコフキサルノコシカケも付いています。
樹種を確認するとアカメガシワです。期待しながら手ノコで40cmくらいの径を裁断すると、


!!極上の朽ち具合です。材のコレクターには垂涎ものの腐朽材です。自身は商材として多く扱っていますがこれだけの優良材は年間数本レベルです。
数ピースをカットして運んだら疲れて倒れそうだったのでこの日はそれだけにして後は本腰を入れて山菜探しのつもりが雨が本降りになって来ました。
あきらめようと思ったのですが絶対に採り逃すことのできない山菜があります。
それは昨年も書きましたがハリギリです。
当地では希少で自身の見つけた数本で採り逃すと他で探すのは困難です。

ハリギリのためだけにポイントを移動して合羽を着て高枝切りバサミを持っていざポイントへ!
…あったはずの場所に木がありません。行ったり来たりしましたが見当たりません。
おかしいと思いよく探すと折れて枯れたと思われる残骸が見つかりました。
がく然としながら近くのもう一つのポイントへ祈るような気持ちで向かうと、


あった!!それもまさにちょうど採り頃です。
3~4本の若木ですが一食分は収穫できました。
天ぷらにするとタラノメとコシアブラの中間のような味は絶品です。山菜フリークとして当地でハリギリを採れることは自慢のタネになります。
この日は天候が悪いのでそこで終了しましたが翌週のゴールデンウィークには山も山菜の採集者もピークを迎えます。
こっちとら材割りでクワガタの幼虫を探しているというのに山菜を採っているのだと思われ周りに何人も採集者が集まってきます。
はがやしくなってこっちも材割りそっちのけでムキになって山菜採りへスイッチします。






コゴミ、コシアブラ、ゼンマイ、ワラビ、ウド、タケノコ、全て大量にこの日採集できました。
いっぺんに採れるのは嬉しい反面、楽しみは半減します。
本来なら毎週一種類ずつ食べることが出来ればゆっくり楽しめるのですが、今年のように雪解けが遅いと一気に出て一瞬で終わってしまいます。
おそらく一週間後にはここのポイントはもう旬が過ぎていることでしょう。

ゴールデンウィーク明けにも再び訪れましたがその時は山菜採りではなく材割りがメインでした。オオクワの調査につきましては昆虫フィールドの79号に執筆していますのでここでは割愛いたします。

さて5月も中旬になるとホームグラウンドである利賀の山にも入れるようになります。
先月、山葵採りに行ったときは残雪で入山不可でしたが先日は日陰に雪渓は残るものの山は春の装いでした。


↑新緑のブナ林の緑の木漏れ日を見ると毎年のことながら癒されます。近くにこのような場所があることをつくづく幸せに感じます。


↑汗ばむくらいの日差しを受けながら雪渓の上を歩いてマイナスイオンを身体で受けると疲れも忘れる感覚です(実際はクタクタですが…)。


↑ヤナギの花とタラノメ。
春が訪れたばかりの山は山菜もまだ旬には早くタラノキもまだ堅いつぼみがほとんどです。


目当てだった野太い山独活(ウド)もまだ芽が顔を出したばかりでした。1~2週間来るのが早かったようです。ブナの森は何回来ても飽きないので山菜が採れなくてもがっかりすることもありません。また来週来ればいいだけです。

標高を調節してコシアブラだけ採集した後、久しぶりにブナ帯で材割りをしました。


↑半分以上腐葉土に埋まったブナの倒木。水分がやや多いのでオオクワの可能性は低いもののミヤマと思われる複数の2齢幼虫(↓画像)とアカアシの新成虫が出てきました。


近くにはオオクワに適した立ち枯れや倒木も多くあるのですがオオクワの幼虫は未だに見つかりませんね…。
あきらめずにこれからも探していきます。
2012年04月24日


↑4月16日富山市内のサクラ。
一気に春が駆け足でやってきました。
この日記を書いている今日現在、サクラはすでに散っています。
春が遅いときはのんびりしているとあっという間に過ぎ去っていきます。

というわけで春を求めてあちこちフィールドに出かけて日記のネタは取り溜めてあるのですがUPが春のスピードに追いつかないためとりあえず時系列的に過去の分から書いていきます。
サクラが咲き出す直前の今月9日には再びオオクワポイントへ行ってきました。
前回から1週間しか経っていないのでまだ無理かな~?と思いながらも着いてみると案の定、林道は雪の下でした…。
まあ想定内でしたので前回よりさらに範囲を広げて周辺の山を散策することに。


材割りを目的に対象となる材を探して行くと杉林と混生した雑木林が所々に広がっています。
目に入るコナラの木は大半がカシナガの食害で立ち枯れとなっておりシハイタケがビッシリ付いているものも多く大雪や強風の影響で折れたり倒れたりした倒木が残雪の上に何本もあります。
しかし、倒木にしろ立ち枯れにしろ試しに割って見ても幼虫の食痕は皆無です。かと言って産卵材として持ち帰るほど優良な朽ち木もごくわずかにある程度で収穫はほとんどありません。
見た目には良さげな環境ですが思ったほどクワガタの利用は少なそうです。他のクワガタが見つからないということはオオクワにしても例外ではなく期待薄でしょう。



↑コナラの樹皮についたクマの爪跡。秋にドングリを採るために登ろうとしたのでしょうか、もうクマも冬眠から目覚めて活動を始めています。

さしあたって割るような材も見つからないので場所を変えることにしました。
次は斜面の中腹に流れる用水沿いの林道です。ここは通常、一般車両が通るような道ではなく残雪も多いため歩いて探します。
歩き始めてほどなく残雪から顔を出した倒木を見つけました。↓



雪から出ている部分を割り始めると食痕が現れました。クワガタの利用はあるようです。
根部なので大部分は生に近い状態で堅いですが割っていくと


↑幼虫です。♀の3齢にしては良いサイズですがおそらくミヤマでしょう。
さらに割っていくと、


今度はミヤマの♀の新成虫が出てきました。やはりさっきの幼虫もミヤマでしょう。
それ以上は食痕があっても堅くて割り進めないので雪が解けて材全体が現われてから再度割って見ます。ちなみに樹種はアオハダでした。

その後林道を進むも残雪が深く、またほとんど杉林のような環境でしたので途中であきらめて残雪が解けて顔を出しているフキノトウを採取しました。


同じ標高でも平地ではもう花が咲いてしまっていますが、さすがに山影ではまだつぼみのものも多くあります。
フキノトウを採っていると今年も春が来たことを実感します。
店の中でカレンダーを見ているだけでは季節の進行がわかりませんが実際フィールドに出て山菜の状況を見ることによってどの程度春が進んでいるのか明確にわかります。

フキノトウを採って満足したところで引きかえしましたが、まだ時間があるので帰途に以前自身で発見した別のオオクワポイントに寄って見ました。
こちらも残雪がある林道はまだ一般車両は走れず引きかえしたタイヤの跡がありましたがアウトドア車種の四駆の本領発揮で無理矢理進入していきました。
ポイント近くまで行ったところで杉の倒木が道をふさいでいてそれ以上は通行不可に…。
徒歩にてポイントに向かうと、


クマの足跡です。奥から手前に歩いてきてます。日にちが経っている足跡なのでもう活動を始めているのでしょう。
残雪があるうちは視界も開けていてクマの姿も見つけやすいのですが、地面が表れて下草が伸び始めたらクマ除けの鈴は必携です。

オオクワポイントに着いたものの改めて割るような材も見当たらず仕方ないのでフキノトウをさらに採取して撤収しました。
フキノトウはコンビニ袋に山盛りになったので半分は友人にお裾分けしました。
自身も帰宅後、早速嫁に頼んで天ぷらで食しました。やっぱり初物は美味です。
ただフキノトウはあまり多くを食べれるものでもないので余りはフキノトウ味噌にしてさらに余ったので試しにモツの炒め物に和えてみたのですがフキノトウの味が強いものの意外とマッチしていて自分的には嫌いではありませんでした。
気が向いたら試して見てください。



フキノトウを採ったら次は順番的には山ワサビの時期です。
山ワサビは一般には葉ワサビ(センナ)を楽しむようですが自身が採りに行っている利賀の山ワサビは天然物とは思えないくらい根が大きく利用価値が高いため雪解け間近に花が咲いて辛味が落ちる前に採取します。
というわけで13日は一路利賀へ、


↑左が13日の様子。右は昨年同月4日の様子。
今年は大雪だったので例年より遅らせての訪問だったのですが、山の積雪は昨年と変わらなかった様で昨年より遅くなった分、雪解けも進んでいました。

早速ワサビのポイントに着くとワサビの生えている斜面辺りはほぼ雪は解けています。
昨年は残雪で斜面沿いにアプローチできないために対岸から川を渡って行ったのですが、今年は逆に雪解けのせいで川の水量が多く渡れないので残雪の斜面を川に落ちそうになりながら辿り着きました。




今年も清らかな雪解けの湧水の中に群生の姿を見ることができました。
心なしか毎年少しずつ少なくなっているような気がするので自身は必要な分だけしか採らないようにしています。


↑フキノトウの花と一緒に生えるワサビの株。いかにも山の春といった光景です。



ここのワサビは一株が大きく一株だけで↑の画像の量があります。ワサビ本体である根は一株で15~20本も付いており、画像中の大きいものは20cm以上あります。
天然物でこれだけの大きさはまさに全国的にも誇れる自慢のワサビです。
この一株でワサビの醤油漬けが450mlの山菜ビンで4~5本分できます。
今年から根、茎だけの醤油漬け以外に葉ワサビ(センナ)も一夜漬けにして楽しむことにしました(一般にはむしろセンナがメインらしいです。)。
また、友人のお裾分け用にセンナだけ(根は来年のために残します)切って一株分頂きました。
ワサビはポイントさえ知っていれば採取は10分で終了します。採るのは楽ですが醤油漬けにする作業は嫁ではなく自分の仕事なので3時間ほど掛かります。
まあ、それも含めてワサビ採りとして楽しみましょう。

ワサビ採取はすぐに終わって時間もあるのでここまで来てワサビだけで帰るのももったいないので何かないかと周辺を散策しますが雪深い山はせいぜいフキノトウがある程度です。
しょうがなく雪のないところまで下山してノビルでも探そうかと思いましたが場所が悪いのか見つからず、あきらめて昨年と同じ場所でアサツキを採ることにしました。
ノビルもアサツキもたいして変わりはないのでどっちかが採れればOKです。


ちょうど採り頃のアサツキです。ワサビ採りのついでにアサツキを採るというコースは自身ではほぼ定番のようなものです。


アサツキこそそんなに大量に食べれるものではなく薬味や添え物に使う程度なので一握りくらい採れば十分です。
袋に入れるとネギのような春の香りが心地良いです(自分で採ったからで他人には単にネギ臭いだけです)。
帰って早速その日の晩に食しました。


↑ホタルイカとアサツキの酢味噌和えです。
採れたての旬のホタルイカと一緒に食べられるのはまさに富山ならではのご当地メニューです。フランチャイズの居酒屋ではまず食べられないでしょう。
ビールを飲みながら食べたら最高だと思うのはやはりオヤジになった証拠でしょうか…?
2012年04月03日


4月1日、雪混じりの嵐の後に現れた虹。


春の嵐です。
この日記を書いている3日は未明から暴風となり富山県内の所によっては最大瞬間風速が40m近い突風が吹き荒れてます。
開店時に店に来たら見事に置き看板が倒れていました。だいたい30mくらいの突風が吹くとこの看板は倒れます。過去にも何回も倒れてだいぶガタが来てます…。

富山は毎年3~5月には春の嵐となる南寄りの強風であるフェーンが起きます。
気温が上がり湿度が下がるため過去にはフェーン時に大火が起きたこともしばしばあります。今日も店の前の通りを何回も消防車や救急車が走っていきました。火事には十分気をつけたいものです。
今日は日本海側だけでなく全国的に荒れ模様になっていて、意外に思われる方もいるかと思いますが年間を通じて月の平均風速が最大になるのは4月という地域が結構あります。当地富山もそうです。

フェーンが起きるようになると山の雪解けも一気に進みます。
3月中は月曜日に天気が崩れることが多く寒の戻り等で雪が降ったりでほとんどフィールドに出かけられませんでした。
例年よりもだいぶ遅れを取っているので2日(月)は満を持してオオクワポイントに材割りに出かけました。
プライベートの用事で昼前からの行動になりましたが今年初の訪問なので様子見には時間的には十分です。
まずは昨年末に手オノを落としたポイントに行ってあわよくば見つけて回収しようと思い現場近くに行くと、



部落の民家を過ぎたところで林道は除雪が入っておらず通行不可に…。
やはり甘かったか…。
これであきらめては無駄足になるので、とりあえず車を置いて歩きで行ける範囲を見てみることに。



ポイント周辺の林内はまだまだ残雪が多く深いところでは1mを超えており雪の上を歩いている状態です。新雪ではないのでゆっくり歩けば足が埋まることはないのですが、これでは倒木の材割りはまず無理です。
久しぶりに山に来たのと前日までインフルエンザかと思われる熱があった病み上がりでちょっと歩いただけで息が切れます。こんなに体力が無かったかと自信を失くす程で雪をどかしてまで材割りする気力が湧いてきません。
これからシーズンに向けて身体を慣らしていかないとダメですね。



↑ 雪の上を歩いていると大量のカモシカのフンがありました。ここはカモシカのトイレだったようです。決まったところにフンをするという習性も面白いですね。




広葉樹に混じって生えている松の立ち枯れに発生したツガサルノコシカケ。材の赤枯れを起こします。




こちらはナラの立ち枯れに生えたヒラタケ。残念ながら老菌なので食には不適です。それでもこの時期にまだヒラタケを見ることができるということは今年の雪の多さを物語っています。

余計なものに目を取られながら歩いていくと、元々倒れていたのか雪で倒れたのかはわかりませんが雪上に突き出た根部を発見。


これなら材割りできると思い予備の手オノで割り始めると予想通り堅い!
それでもノコギリと思われる食痕があるので力ずくで割っていくと、


何とか1頭の3齢初期の幼虫を割り出しました。現場では何とも思わなかったのですが改めて画像を見るとアゴのラインがオオクワに見えなくもありません。
おそらく気のせいでしょう…。九割がたノコでしょうね。
現場ではノコだと思っていて手も痛かったので1頭で終了しました。雪が解けたら改めて攻めて見ます。

他に割るような倒木も見当たらないので周辺の雪で折れたコナラの良さげなカワラ材をいくつか回収して早々に撤収することに。
やはりゴールデンウィーク近くでないと無理なようです。
せっかくなので少し上流部のフキノトウのポイントを訪れて採って行こうと思い車で向かうと、


↑ フキノトウのポイントです。2m以上の雪の壁がそそり立っています…。

平地のフキノトウはもう花が出てきているのでこの日はフキノトウはあきらめて、それならばと別のポイントで雪が積もる前に見つけておいたヒラタケなら採れるかもと向かってみると、今度は雪がほとんど解けていてヒラタケはとっくに朽ちて落ちてしまっていました。

悔しさで足元の倒木を踏みつけると、ボキッと折れました。
「お、この感触は…」
と思い見てみると、


優良な天然カワラ材です!
ラッキー!と思いながら回収するも何の樹種か分からないので、倒木の根元を辿っていくと株分かれの別の生きた木が立っていました。


さらにその周辺にある落ち葉を見てみると、


これらから、この倒木はミズキであることがわかります。
樹皮が剥げて樹種が分からない場合でも周りにあるヒントから樹種を特定できることもありますので皆さんも参考にしてください。
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