2010年12月30日
2010年も皆様にご愛顧いただきありがとうございました。
店長日記もこれが今年最後の更新になります。
残念ながら当地は雪が積もってしまい野外採集は前回の更新以来行けなくなってしまいました。当店では毎年大晦日に仲間内で恒例の材割り採集(県内外にて)を行っているのですが今年は中止となりました。
また新年も採集が再開でき次第店長日記にて報告していきます。
さて、もう1年が終わろうとしています。皆様にとってどんな1年でしたでしょうか?
自身は今年はプライベートにおいては結構変化がありました。
「富山のクワ貧」としてはHPを数年ぶりに再開してちょうど1年が経ちます。ほとんど店長日記の更新でブログ化しており商品が充実しておりませんが、お客様からはいつも店長日記を読んでいただいているとの声を戴き感謝しております。
また同時期に出品を始めたビッダーズにおきましても多数のご利用をいただきこの場を借りて御礼申し上げます。
ただ1年を通して生体を出品したのは1回のみで他は全てカワラ材及びマットなのでオークション利用者からは材専門店と思われているかもしれませんが、店舗にはちゃんと生体もあります。(^^ゞ
2011年にはオークションはともかくHPにはそれなりに生体もUPできるよう努力いたします。
話は変わって今年の大きな出来事と言えば当店ではトップページにも紹介している国産オオクワガタ♂の83mmが羽化したことでしょうか。今まで大型個体にはあまり目を向けなかったのですがこれによってだいぶ指向も変わってきました。新年も引き続き力を入れてブリードに励みたいと思います。
個人的に一番印象に残っているのは以前ここでも報告しましたが県内在住のN氏による富山県産オオクワの複数のワイルド個体の採集でしょう。地元のオオクワの採集及び生態の解明は自身が最も力を注いでいるライフワークで大きな情報提供となりました。詳細は昆虫フィールドにて関連記事を連載中ですので機会があればご覧下さい。
その中でも衝撃的な情報があったのですがそれに関しましては昆虫フィールドの次号(4月発売)の記事のネタにするため今はまだご報告ができません。発売後に改めて紹介いたします。
そのN氏から以前提供された別の情報(生体)を今年最後に報告いたします。
それはヒラタクワガタです。
ヒラタクワガタ自体は当地では珍しくありませんが↓画像をご覧下さい。
なんと71.5mmという大型個体です。
過去には年に数頭レベルで70mmUPが採れた時代もありますが現在では新聞のローカル版のニュースになってもおかしくない大型個体です。
当人はオオクワガタ採集をするつもりで偶然灯下にて発見した個体です。
当人は大型であるという認識はなく、採れた当初妙なヒラタクワガタが採れたという情報だけ聞いていたのですが先日その個体も当店に供与いただき見た瞬間にそのサイズに「こんな大型のワイルドがまだ生息しているんだ!」と驚きました。
ところがN氏はサイズよりも形が妙だと言うので良く見ると、
↑全体の画像ですがわかりますか?
これではちょっと分かりにくいので拡大してみましょう。↓
大顎の内歯を良く見てください。本来本土ヒラタは基部に一番大きな内歯がありその上部に小さなギザギザの内歯がノコギリのように表れます。しかしこの個体はこのサイズにも関わらず小さな内歯がほとんど見られません。また先端にあるはずの返しの部分もほとんどありません。
参考までにお客様が羽化させた当店のブリードギネス個体(同じ71.5mm)の画像を載せますので比較してみてください。↓
それらの原因として一般的には自然下において磨耗したことが考えられますが一番大きな基部の内歯が磨耗していない、及び顎の先端も磨耗しておらずツクツクに尖った状態であるという矛盾が生じます。
そのことから推測するに何らかの羽化不全、もしくは突然変異と推測できます。
気になるのは頭楯も少し違うような気がします。頭楯が違うということになると亜種もしくはハイブリッド(雑種)ということも考えられますがそのことは物議を醸すことになるのでここでは触れないでおきます。もし当地のヒラタクワガタにおける地域変異だとしたら大きな発見ですがその可能性は低いでしょう。
自身が最も興味を持ったのは採集された場所で、そこはN氏が今年オオクワガタを採集した地点から極端に離れていないということです。
今までの調査で当地ではオオクワガタとヒラタクワガタの生息においてクロスオーバーしている地域は少なく、仮に重なっていたとしてもお互いに競合する(当地においてはヒラタが優位)と思われるのでその様な場所でこれだけ大きなワイルド個体が採れたということが今後のオオクワガタの調査においても非常に有益な情報でした。
今年はN氏により非常に貴重な情報をいただき実りの大きな1年でしたが来季は自身が皆様に成果を報告できるようがんばります。
それでは皆様も良い年をお迎え下さい。