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2011年7月
店長日記:1
2011年07月17日




暑い!暑い!
夏本番です。
かなり早い梅雨明けと共に猛暑がやってきました。この後、8月も今のペースで暑さが続けば去年を上回るような猛暑になる可能性もあるので熱中症対策を十分に行いましょう。

さて前回の更新からまたかなり間が空いてしまいました。
書くネタはたくさんあるのですが虫屋の仕事もシーズンを迎え、材採り、虫捕り、産卵セットの割り出し、プライベートでは子供の世話と時間がいくらあっても足りません。
特に自宅では子供と一緒だとPCに触る暇もなくおちおち店長日記の更新も出来ない状況です。個人的にはとても充実しているのですがもっと時間が欲しいです。
自身は夏男なので、ここ20年以上継続して毎年6月には日焼けをしてこの時期には盛り場のホストばりに黒くなっているはずなのですが今年は焼きに行ってる暇もないです。

さて相変わらず材探しに精を出していますがそろそろそれも限界に近づいています。
なんせ暑いです。脱水になります。ヤブがひどいです。蚊がひどいです。etc…。




↑ヤブの中のキボシアシナガバチと思われる巣。ハチや毛虫も多くなりこのハチの巣の近くで同行していたS氏が刺されました。アシナガバチの毒はスズメバチと同じ種類でS氏は過去にスズメバチに刺されたことがあることからアレルギー反応が出る恐れもあったのですが大丈夫でした。アシナガバチだからといって見くびっていると大変なことになることもあるので要注意です。




↑これだけの大きさのエノキのカワラ材を見つけても商材として使える部位はほんのわずかです。画像の材から持ち帰ったのはほんの2ピースほどです。仮に全部使えたにしても手ノコで裁断して運ぶのは体力勝負です。いつもこの記事を読んでくれている読者の中にはいたって簡単にエノキを探していると思われている人もいるみたいですがそんなに甘くはありません。

エノキを探していると副産物も見つかります。




立ち枯れを倒したら折れ口から出てきたヤマトタマムシです。
自身は特にブリードしていませんが、昨年お客様から採れたら販売して欲しいとの希望があったので店舗に保管してあるエノキ材から出てきた新成虫を取ってオークションに出品しようとしていたのですが、生体が弱くすぐに落ちてしまうのであきらめて画像の個体も結局放虫しました。

虫ではありませんが様々なキノコも見ることが出来ます。






上がカイガラタケで下がコフキサルノコシカケです。キノコとしては珍しくありませんがエノキに生えているのを見るのは珍しく特にコフキサルノコシカケによって腐朽したエノキはすばらしい良材である可能性が高いです。




↑はシハイタケによって朽ちたエノキですが、これだけの太さでこれだけ綺麗に食痕もなく朽ちている材は年間数本しか見つかりません。エノキ採集も秋まで一旦終了かと思い今季最後のつもりで訪れた時に見つかったのでふんぎりもつきました。

話は変わって産卵セットの割り出しです。
店では春に組んだセットが割り出しの時期をせかすかのように待っています。
その中の一つなのですが、当店では天然カワラ材の取り扱いに力を入れています。
もちろん自身が使うのも全てそれですが、オオクワ用のカワラ材は堅いと敬遠されるユーザーが少なからずいらっしゃいます。
もちろん柔らかい材の方が割り出しはしやすいのですが産卵数を考えると柔らかいものにアドバンテージがあるわけではありません。

今回紹介するのは当店でも現在気合を入れてブリードしている国産オオクワの大型血統「信玄血統」です。
セットにはケヤキ(LLサイズ)とブナ(Lサイズ)を使いました。このケヤキはもちろん店頭や通販でも扱っているものですが最初手にされた方は間違いなく堅くて不安に思うでしょう。
そう思う方に産卵結果の一例を紹介します。




↑は割り出し途中のケヤキ材です。
材の左側を一部割ってありますがこの部分は心材部に近く拮抗線も入っており堅くマイナスドライバーで少しずつ割るのがやっとですがこの時点で16頭の幼虫が出てきました。




続いて右側に手を付けるとこの辺は柔らかく手でもむしれるくらいですが画像でも分かるように幼虫を始め食痕もほとんど入っていません。
この材は半分以上が堅い部分でしたが柔らかい部位は食痕があっても幼虫が走っただけでほとんどは堅い部位から見つかっています。
結局この材からは潰してしまった個体を含め52頭が採れました。堅い材は割り出しが大変でこの材一つで2日を要しましたがどんなに大変でも全く採れないよりはマシでしょう。




続いてはもう一つのブナ材です。
こちらは柔らかい材のために割り出しにドライバーを使う必要はありませんでした。(ブナは堅いと思われがちですが柔らかい材も多くあります。)
手で割ってみると中は幼虫の食痕でほぼフレーク状になっていました。
幼虫はケヤキ材のものよりやや成長しているものが多かったのでやはり♀親は柔らかい方から先に産卵したのでしょう。
ただし柔らかい故に産卵数はケヤキほど伸びず死亡個体も含め36頭でした。ただ共食いした形跡もあったので実際はもっと産卵していたのかもしれません。セット期間が2ヶ月を超えたのでちょっと長すぎたかもしれません。

これらの結果からも短期セットの場合は柔らかい材にメリットがあり産卵数を追求するのであれば堅めの材にメリットがあるというのがお分かりになるでしょう。
ちなみに1セットで採れた産卵数としては過去にアンタエウスで89頭という記録がありますが、それには1頭及びませんでしたが88頭というのは国産オオクワではダントツの自己新記録です。

下が今回のセットのデータです。

4/13セット、6月中旬♀取り出し 初~2齢 死亡個体 合計
ケヤキ(LLサイズ) 49頭 3頭 52頭
ブナ(Lサイズ) 34頭 2頭 36頭
合計 83頭 5頭 88

※このセットに用いたケヤキ材はまだ在庫がありますので、ある程度堅いのを覚悟で使ってみたいという方は是非ご注文ください。
ケヤキに限らずオオクワ系の産卵材の場合は見た目の断面の綺麗さや乾燥状態での堅さに惑わされないことをお勧めします。


追伸;
フィールドで材探しや虫捕りをしていると色々なものが見つかります。
昨日エノキの今夏最後の採集に石川県に訪れた際には仏さんを発見してしまいました。
事が事だけに不謹慎に面白おかしく書くつもりは毛頭ありません。
もちろんすぐに県警が出動して大事になりました。
とある人気のない社だけがポツンと建っている神社の裏だったのですが、そこにはエノキがあるのですが他の場所からはヤブがひどく遊歩道も全くないので近づくことが出来ず神社の裏から入るしかなかったため偶然、というか必然的に発見するにいたりました。
近くの住民でさえそこを訪れることはないということだったので私に見つけて欲しくて当人の魂に呼ばれたのだと思っています。
独り寂しくそんな場所で亡くなりたくはなかっただろうと思うと不憫でなりません。自分が見つけてあげることができて良かったと思います。
どんな人生を送ってきたのかは分かりませんが、身元が分かり身寄りの方の元に戻ってくれることを願うばかりです。
この場を借りて故人のご冥福をお祈りいたします。

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