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2015年10月
店長日記:1
2015年10月07日




↑ 9月28日、ヒメオオ採集にてブナの原生林と湿原。

さて、8月終わりから11月始めにかけては最もフィールドに行く回数が多く忙しい時期を迎えます。
というのも毎年恒例のヒメオオ採集から始まり並行してコケ採り(キノコ狩り)、材採集と、天気さえ恵まれれば週に3回山に入ることもあります。
基本的に山に行くときはバイト明けで徹夜で行くことがほとんどなので体力的に週3が限界です。
店の営業さえなければ毎日でも山に行きたいのですが家族がいる以上そうも言ってられません。

さあ、まずはヒメオオ採集ですが今までも書いていますが当地のヒメオオは東北の産地と異なり7~8月の間はほとんど採れず実質9月の1ヶ月のみの勝負といっていいでしょう。
今年は盆以降に急に気温が下がりほとんど残暑もないために若干前倒しして8月21日に初採集に行きました。
最初ということでとりあえずは恒例の県南部のポイントへ。




↑ 曇り空の中ポイント付近に着くとかれこれ10年近く前から目を付けていた高さ8~10mのブナの立ち枯れが途中から折れています。
折れた部位を確認してみると柔らかい部分は倒れた衝撃で粉砕してかなり水を吸っているのでカワラマットの素材に使うのがせいぜいで産卵材としては不適です。
原型を保っている部位は腐朽が均一ではなくこちらもヒメオオ用の産卵材に使える程度でしょう。
元々立っていた環境もイマイチで樹皮もほとんど剥がれていたのでこんなもんでしょう。
やはり原生林にある大径の立ち枯れには及びませんね。




↑ ポイントに着くとガスに覆われて視界は不良です。
昨夜からの降雨もあったため探しても無駄だと判断してこの日はあきらめました。

そして一週間後の8月28日、ずっと不安定な天候が続いていた中で唯一前日に降雨がなかったので期待して再度向かいました。
最初のポイントに到着して早速ヤナギを見回すと、




↑ おっ、いました!
約一年ぶりの姿に安心します。




↑ 続いてペアも確認。
毎年ここのポイントは外すことがないので重宝します。
斜面の下草の状況からも自身が今期最初の採集者であることが推測されますが、あいにくここではそれ以外は見つからず。
その先のポイントを3~4ヶ所見てみるも姿は確認できず。
昨年開拓した別の林道のポイントに向かうと、




↑ 唯一オスが1頭のみ発見できました。
数は少ないものの時期が早いせいと、たかをくくっていたのですがそれが悪夢の始まりでした。
盆明けからの天候不順が続いて毎日のように降雨が観測されます。
平地でそうなのだから山間地ではさらに日照が少ないことが懸念されます。

さらに一週間後の9月4日、朝までやはり雨が降っていましたが貴重な晴れ間を無駄にはできませんし発生もピークを迎える時期ですので早速車を走らせます。




↑ ブナの木立から覗く青空にしばし癒されます。
採集の妨げになるオロロやウシアブもだいぶ少なくなってきましたが、こいつらはヒメオオと違って毎年必ず変わらず大発生しますね。




↑ 一通りポイントを回るもこの1ペア以外にやもめのオスを見つけただけで終了です。
やはり雨上がりというタイミングが悪いのでしょう。




↑ 帰り際に倒れたブナの立ち枯れを改めて確認したときに見つけたウスヒラタケの発生したブナの枝ですがまだ腐朽は浅いのでスルー。

そして翌5日、定休日ではありませんが昨日から降雨がない、今シーズンでは数少ないチャンスなので午前中だけでも様子を見に行きますが、期待もむなしくほぼボウズでした。
この時くらいからこの産地の異変が無視できないものになってきました。
というのは一昨年くらいから採れる個体数が激減しているのです。
過去10年以上前から年による増減はあったもののある程度安定して採集できたのですが一昨年からは明らかに異常です。
林道工事等による影響かとも思っていましたがどうもそうではなさそうです。
やはり採集圧による減少でしょう。
以前はそうでもありませんでしたが、ここ数年は県外からも結構採集者が訪れているようです。
自身だけのポイントではないので他者を非難することはできませんがこのままでは有峰のポイントのように全く成虫が採れなくなるのも時間の問題でしょう。
今期、この後も不振が続くようなら自身もここでの採集は極力控える必要がありそうです。




↑ ポイントの斜面のヤブを下りたところで見つけたブナのカワラ材。
ヒメオオの産卵材に最適ですので持ち帰ります。

さて、翌週の定休日の11日までは相変わらず毎日降雨が観測されずっと足止めを食らっていました。
12日(土)、やっと晴れ間が出たので午前中だけでも採集に出かけます。
この日も時間がないのでいつものポイントです。
ただ、前回までの結果からこの日も期待はせずに軽く一通り見て回ります。




↑ 御神木のヤナギもヒメオオの姿はなくメスがかじった痕に小型スズメバチが群れています。
スズメバチは珍しくありませんが、この木のこんな光景は見たことありません。
ヒメオオはどこに行ったんでしょう?
他の採集者も来ているのでしょうがおそらく誰もが同様の状況でしょう。




↑ 枯葉に紛れて見逃しそうになったこの日唯一のペア。
この後、別の支線の昨年見つけたポイントへ向かうも成果なし。
そこは昨年まで自身もスルーしていた場所で状況から他の採集者も入っていないポイントでしたが今期は最初に採集して以来見つかりません。
やはりピンポイントではなくここのエリア全体の個体が減少しているとしか考えられません。
支線をさらに先まで行って見ますがポイントらしき場所は発見できず。




↑ ヒメオオは見つかりませんが支線の途中で優良なブナのカワラ材をゲット。
径は30cm強でヒメオオからオオクワ用にベストの材でしょう。




↑ ブナ材の根株の近くに生えていたキホウキタケ。
ホウキタケなら可食ですがこれは食には不向きです。

この後、平日に数日晴れの日はありましたがどうも定休日である金曜日は雨続きで翌週は入山出来ずじまい。
シルバーウィークは連日好天でしたが自身は家族で帰省していたため採集できず。
帰省といえば初めて北陸新幹線に乗車しましたがすこぶる快適ですね。
何が良いって東京まで乗り換えなしで行けること。
越後湯沢で乗り換えのために走らなくても済むのは大歓迎です。
走行スピードが速いのは言うまでもありませんが上越新幹線の車両に比べて揺れが少ないのも特筆すべきです。
残念なのは以前よりも料金が高いことです。
家族で行くことを考えるとやはり車に分がありそうです。

話を戻してヒメオオですがシルバーウィーク以降は再び定休日も雨が続きます。
まるで採集をあきらめさせるかのようなタイミングの悪さです。
このままではシーズンが終わってしまうので28日(月)に止むを得ず店を臨時休業にして丸一日を採集に当てます。
いつものポイントは行っても成果は期待できないため駄目もとでさらに深山の林道で新規開拓を目指します。
そこは今までにも数回訪れてはいるもののヒメオオを探すのは初めてです。
車両は通行不可のため往復7~8kmの道を歩きます。




↑ ヤマウルシと青空のコントラストが絶妙です。
誰もいないブナ林を歩いていると時間も目的も一瞬忘れて自然との一体感に気持ちがホッコリとします。
これは山に来たものだけが味わえる贅沢な時間です。




↑ 道の横にあるブナの立ち枯れ。
カラフルな葉はこの木ではなく巻きついているツタウルシの紅葉です。
周りの全てが自然のダイナミックな造形で人工物は道以外何もありません。




↑ こちらもツタウルシが付いたブナの立ち枯れ。
いつの間にか道の横のヤナギでヒメオオを探すのも忘れブナ林を歩くことが目的になってきました。
それほどこの日は悠久の自然と時間を感じることが出来ました。




↑ ブナに発生したヒメシロタモギタケ。
可食のキノコで全く見つからない年もありますが今年は有峰でも見ているので比較的多いのかもしれません。







↑ 道沿いで見つけたクジラタケが群生しているブナの倒木。
状態もオオクワ用の産卵材に最適ですがここは車から片道2時間近く歩いた場所。
持ち帰りようもありません。
こういう時に限って良い材が結構見つかったりします。




↑ 陽に照らされるアサギマダラ。
そう言えばフィールド用のデジカメを買い換えました。
8月まではPENTAX社製のWG-1 GPSを使用していましたが、OLYMPUS社製のSTYLUS TG-3 Toughに変更いたしました。
基本的にアウトドア用の過酷な環境で使用可能なカメラなのは変わりありませんがWG-1は動画が全く使い物にならないのに比べてTG-3は動画もビデオカメラ並みの高画質でGPSの測位も前者よりも早く誤差もほとんどありませんのでロガーとしても最適です。
機能や画質も前者よりも格段に上で下手すると一眼レフの出番がなくなりそうです。
上のアサギマダラの画像がそうですがピントも変なところに焦点が合わずに狙ったところにバッチリ合っていますし露出も手動で調整しなくてもカメラ任せで問題ありません。
汚れても落としても雨に濡れても大丈夫ですのでまさにマストアイテムです。




↑ 倒木にビッシリ生えたブナハリタケ。
一昨年、昨年と不作でしたが今年は豊作で有峰でも群生を見ています。
今年は猛暑の後に一気に気温が下がり雨も多かったので全般的にキノコは豊作の傾向があるようです。
来たるナメコのシーズンが楽しみです。




↑ 上記のブナの倒木の一部から割り出したオニクワガタと思われる幼虫。

結局、ヒメオオは見つからないまま遊歩道の終点にたどり着きました。
一応ヒメオオが生息していると言われているポイントにつながる登山道があるのですが片道2時間以上かけて歩いた後で登山道を登る元気もなく来期に持ち越すことにしました。
車に戻って帰路の途中でいつものポイントにちょっと立ち寄ると、




↑ メスが一頭だけ見つかりました。
今期はおそらくこれが最後のヒメオオになるでしょう。
このポイントの来期の復活と新規ポイントの開拓を祈ってこの山に別れを告げます。

この日は、ヒメオオ以外に帰り際にコケ採りの予定がありました。
ヒメオオと同時に採取できるキノコといえばヤナギに発生するヌメリスギタケモドキです。
他のキノコが豊作の様相を呈しているのでこのキノコも期待できます。
ただこのキノコは発生の時期が短期間なのでタイミングが重要です。
いつものポイントへ向かい観察すると樹上に遠目で黄色いものが見えます。
どうやらヌメリスギタケモドキのようです。
車を降りて河川敷のヤナギ林へと突入します。




↑ ヌメリスギタケモドキの幼菌ですがこの大きさなら十分です。
このキノコは生長が早くすぐに老菌になるので来週まで待ってられません。




↑ 10cmを超える成菌。
まさに採り頃です。




↑ 群生を発見。
今年はタイミングがバッチリでここだけで20個ほど採取できました。
若干土臭さはありますがナメコの仲間なので美味しく食べられます。
半分は友人におすそ分けして残りは自宅に持ち帰りけげんそうな顔をする嫁に渡して味噌汁でいただきました。
ヒメオオは振るいませんでしたが気持ちを切り替えて明日からはコケ採りモードに入ります。
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