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2014年1月
店長日記:1
2014年01月21日




↑ 1月14日富山市近郊にて撮影。長さが5cmほどに成長した霜柱。
特に珍しくないと思う人がいるかもしれませんが、当地は雪国のため例年なら地面は雪に覆われて霜柱を見る機会が逆にあまりありません。
今冬は雪がほとんどなく地面が露出しているため久しぶりに見ることができました。


さて、年も明けて早くも1月下旬を迎えようとしています。
個人的に喪中なので大々的な年始の挨拶は控えさせていただきます。
年末以降、寒さも本格的になるとコケ採りも終了し気が抜けたかのようにまったりとした時間を過ごしています。

ところが、今冬は年が明けても雪がない!
全く降らないわけではないのですが雪すかしをするほどのまとまった降雪が未だにありません。
当初、気象庁が発表していた冬期の3ヶ月予報で今期は例年より降雪量は多くなるという予想を見事に外すような様相を呈しています。
以前から申し上げている通り気象マニアで気象予報士の資格取得を目指す自身としましては(少なくとも当地である北陸地方において)毎年のようにお世辞にも当たっているとは言えない冬季の長期予報には解せないものを多々感じています。
常日頃から知らない土地へ行くとき以外は局所的な予報であればよっぽど自身の予想を信用しています。
まあ、気象庁発表の予報も幅を持たせてありますので実際に利用者が感じているほど外れているというわけではないようですが、やはりそれは逃げ口上ととらえる方が多数だと思われます。

ただ、それよりも個人的に許容できないのがマスメディアによる事態を煽るかのような誇張した事実とは異なる報道です。
先日、北米が大寒波に見舞われたことが世界的なニュースになりましたが、それに続けとばかりにその後日本に訪れた寒波では
「強烈寒波到来、各地で大雪!」
というような見出しの報道を多く目にしました。
北海道ではマイナス30℃という気温を記録し東北の日本海側では一晩で50cmを超えるような大雪で平年を上回る積雪量の地域が多発ということでした。

一般の方であれば「大寒波だ!」と思うかもしれませんが少し気象をかじった人間であれば「アホか!」というようなレベルです。
先日アメリカを襲った寒波とは行って帰ってくるほどレベルが違います。
国内の寒波としても年に複数回はある2級クラスでしょう。
まず札幌等の都市部ならいざ知らず北海道の内陸でマイナス30℃というのは寒の入り後のこの時期としては普通にあり得る寒さです。
一晩で50cmを超える雪は確かに大雪なのは間違いありません。
ただし全国ニュースで報道されていた場所は青森県酸ヶ湯、山形県肘折、新潟県津南及び関山、(ローカルかもしれませんが)当地富山県南砺市、等々です。
時間がある方はこれらがどういう場所か調べてみて下さい。
青森県酸ヶ湯に関しましては昨年の大雪報道で知っている方も多いと思います。
566cmという気象観測点としては国内最高を記録した標高890mの山中にある温泉地です。
他の地域につきましても国内で有数の豪雪地帯で有名な場所です。
このような地域では一晩で50cmくらいの雪が降るから豪雪地帯なのです。
逆に言えばそれくらいの降り方をしないと数メートルもの積雪にはなりません。

そんな地域での50cmの降雪なら東京で5cm積もる方がよっぽど異例な出来事です。
毎年必ずある、ほとんど積もらない首都圏での大げさな大雪報道にも辟易しますが、多くの人間に影響を与えることを考えると仕方がないかなとも思います。
それに引きかえ前述の豪雪地帯は住民の方には失礼ですがどれだけの人間に影響するのでしょう?
住民はそこが多雪であることを承知で住んでいるのですからそれくらいの雪の対処法も身に付けています。
さらに雪で埋まった道路を撮影して通行不可であることをリポートしていますが、当地でも山間地なら集落への幹線道路でも雪で一時的に閉鎖されることは珍しくありませんし、
ましてやその先に民家がない道路など誰が通行すると言うんですかね?

まだあります。
「平年と比べて○○%、○○倍の積雪となっています。」
という表現をよく耳にしますし先日も場所によっては平年比150~200%という報道もありました。
これも言葉のマジックで、例えば先ほどの豪雪地帯でさえ平年比200%となると、仮に平年で2mの積雪がある地域では4mでプラス2mもの積雪(豪雪クラス)になります。
逆にそれほど多雪ではない都市部辺りでは平年値が20cmだとすると200%でも40cmでプラス20cmでとても豪雪クラスとは言いかねます。
つまり全国を同列にこの平年比で語ること自体が公平ではないのです。
気象庁ではもちろんそのような認識を持っているでしょうが報道する側があくまでニュース性やインパクトを追及するあまり誇張しているかのような偏りのある報道になるのでしょう。

先ほど書きましたが先日ニュースで当地富山県南砺市の映像が流れましたが、南砺市と言っても映っていたのは利賀村で当日記でも度々紹介する自身のホームグラウンドですが、一日で1mくらいの降雪があることもある山間地で例年2~3mくらいは積雪がある全国レベルの豪雪地帯です。
当時10cm程度の降雪しかなかった富山市や主要市部の人間はこの報道にしらけた気分になったのは言うまでもありません。

そして、この日記を書いている今日現在、富山市内及び県内の主要市部ではほとんど積雪がない状況となっています。
冒頭でも書きましたが今季の長期予報とはまるで異なる現状であるにもかかわらずこの先1ヶ月間の中期予報では相変わらず平年よりも降雪は多くなるという姿勢を変えていません。
果たして結果はどうなるのでしょうかね?

さて、ここまで主観的に批判的な意見を述べてきましたが、実際今冬は寒冬なのでしょうか?多雪なのでしょうか?
データを用いて検証してみましょう。



【気象庁ホームページより引用】

↑の資料は昨年11月1日から今年1月13日現在までの累積降雪量の平年比を表した地図です。
この資料にしっかりと表れていますが、近畿以北の県庁所在地で平年比100%以上の観測地は宮城県の仙台(もともと太平洋側で雪が少ない)だけでいわゆる雪国と言われる地域の都市部はほとんどが平年の半分程度の少雪となっています。
もちろん内陸を見れば100~150%の地域も複数ありますが対人口比で見れば平年より少ない地域に住んでいる人口の方が圧倒的に多いです。
つまりこの状況で今冬は雪が多いと報道するのは矛盾があるということです。

では気温はどうでしょうか?
同様に下図をご覧ください。



【気象庁ホームページより引用】

↑は昨年11月15日から今年の1月13日までの60日間の平均気温の平年比を表した地図です。
これを見ると降雪量とは異なり北海道を除くほとんどの地域で平年より低いところが多く特に南ほどその傾向が顕著に表れています。
皮肉なことに先日の報道でマイナス30℃を記録し強烈寒波と題された北海道はかなり高温傾向ですからむしろ九州の鹿児島辺りで「今年はこれだけ寒いんです。」と報道するべきなんでしょうが、寒さを象徴するような事象がないためにニュースでは取り上げられないというのは公正な報道という点では整合性が低いと云わざるを得ません。
ただ、全国的に低温傾向なのは否めない事実ですから気温の点からは現状では今冬は寒冬であるというのは間違いというわけではなさそうです。

ついでに書いておきますが、未だに寒波が来るから温暖化ではないとか温暖化だから雪が降らないという人間がいますが、豪雪も寒波も冷夏も温暖化の影響が深く関わっているということを覚えておいて欲しいと思います。
温暖化だから全ての場所で暖かくなるということではないのです。
反動で記録的に寒くなる地域も出てくるのです。

主観的にはいくら気温が低くても雪国で雪がないと、寒いという実感がないというか冬らしくないと感じてしまうのは自身だけではないでしょう。
さて、例年なら雪のせいで店で引きこもりになっているのが通例ですが、ここまで雪が少ないとちょっと山でも行ってみようかな…なんて邪心が芽生えてしまいます。
きっと山の神様が呼んでいるに違いない、と勝手に解釈します。
いざ行こうと思うと、はてどこに行ったものか?と悩んでしまいます。
なんせ例年ならこの時期に山に行くなんて考えもしないこと。
行くのはいいけど目的が見つかりません。
昨年不作だったヒラタケ採集の続きでもしたいところですが、いくら雪がないといってもコケ採りのポイントは山間地ですので先述のように入山できるレベルではありません。
ちなみに今日(22日)現在、利賀のポイント付近の国道沿いの観測点では2mほどの積雪となっています。
全く論外ですので近郊の平地に近い里山の毎年行くポイントへエノキ材の採取とヒラタケ採りに行くことに。

市街地ではほとんど雪がないもののちょっと山に近づくだけで一面銀世界で車の通行がない横道では根雪になっています。
やはり少し都市部を離れるだけで積雪は少なくてもポイント付近まで車の進入が困難になってきます。
この日のポイントは何とか近づくことが出来ました。
車を止めて徒歩で向かいますがさすがに雪が少ないと歩きやすくて快適です。




↑ この日の目当てのエノキの立ち枯れ。
数年前より状態のいい部分を少しずつ採取しています。
この日も数カットしたらだいぶ残りも少なくなりました。
画像の後ろのツタ付近に置いてある材はまだ腐朽が浅いので取り置きしてある材です。
地面に置いてしまうと水分過多になり使い物にならなくなるので浮かして保存します。
さてカットしたのはいいのですが数日来の冷え込みで材が中まで完全に凍っており、朽ち具合がどうなのかさっぱりわかりません。
一度カットしてしまうと上記のように保存しても状態が悪くなることが多いのでとりあえず2m分くらいだけ(水分が多く重い)持ち帰ることにしました。




↑ 採取したエノキの近くにある別の立ち枯れ×2本。
将来的に優良なカワラ材になる候補の立ち枯れです。
径は30cm前後、高さは4~5mで倒れなければあと2年から3年くらいで採り頃になるでしょう。
画像を見て分かると思いますがこれらの立ち枯れは寿命やカシナガ等の食害で枯死したわけではありません。
本体に巻きついたツタによって絞め殺されたのです。
ツタは徐々にエノキを絞めつけて表皮付近の維管束を閉塞させ枯死させてしまいます。
これも自然の摂理でこのおかげでエノキの朽ち木が手に入るのですがツタを放置しておくとあらゆる立ち木が被害に合うばかりでなく林床も荒れて若木が育たなくなります。
よってあまりにツタが繁茂している場所では根元から切断しています。
ツタは一本切ったからといって枯れたりしません。駆除するときは地面に接している茎を同時に全て切る必要があります。
里山の再生と雑木林の環境維持のために少しは役立つでしょう。




↑ 倒れたエノキに発生したヒラタケ。
雪に覆われてカチカチに冷凍されていました。






↑ 毎年ヒラタケの採れる発生木を見に行くと倒木の裏側にヒラタケは見つかったもののまだ幼菌です。
例年なら今時分には成菌になっているはずなのですがやはり今期は発生が遅れて不作気味です。
先ほどの検証から気温自体は例年より低めだったにもかかわらず発生時期に強い冷え込みがなかったことも影響しているのかもしれません。
この幼菌は雪解けまで生長しないでしょう。
その頃には地元の住民に採られてしまうでしょうが…。
まあ、この時期に訪れることが出来てエノキ材を入手できただけでもありがたいことです。
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