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2015年9月
店長日記:1
2015年09月12日




↑ 7月21日、青空に緑が鮮やかな有峰湖と薬師岳。

今年の冬は山岳地では豪雪だったせいで有峰林道は例年より遅れての開通となりました。
ただでさえ遅いのに小口川線の方は7月中旬の開通で10月末には閉鎖ですから正味3ヶ月ちょっとだけのまさに期間限定道路。
今は盛夏でもあっという間に秋が来ます。
まあ、自身にしてみれば有峰や利賀は夏よりも秋や春の方が収穫があるから大事ですがこの時期はどちらかというと下見や観光の意味合いが強いです。
この日の目的も昨年倒れた立ち枯れの確認と赤枯れマットの素材採取です。

同行したS氏とともに道中、新たな立ち枯れの倒木がないか見ながら進んでいきます。
今年は目新しい倒木は見当たりません。
さすがにそんなに毎年都合良く倒れてはくれませんね。
そのうち恒例のポイントに到着しました。
ここは元ヒメオオのポイントでしたがここ数年ヒメオオの成虫は一頭も採れていないのでポイントと言っていいのか分かりませんが幼虫は採れるので生息地であることに間違いはありません。

とりあえずいつものようにいつもの撮影ポイントで写真をとります。




この場所を撮影するのはほとんどが紅葉の時期なので緑一色というのはエネルギーを感じますが色合い的にはちょっと物足りない観もありますね。
というか何か物足りません。
何だろう…?
「あっ、ない!」




↑ 左がこの日の写真、右が昨年の紅葉時。
色合いが全く違いますがそれ以外に何か気づきませんか?
そう、このポイントのシンボルだった立ち枯れがなくなっています。
この立ち枯れのあるアングルが好きで来るたびに写真を撮っていたのですがついに倒れたようです。
じつはこの立ち枯れもヒメオオの発生木だったので保護のため倒れるまでは手を付けずに静観していました。
どんな状態なのか確認しに行きます。




↑ 根元付近は中抜けの煙突状になっています。
この木のように径がメートルオーバーの大木のブナやミズナラは根元付近の中腐れが進行して外縁部だけで自重を支えきれなくなり倒れるパターンが多いです。
この木もまさにその通りで上部はまだ生部もありますが下部は外縁部も食痕でボロボロになっていました。
運の悪いことに倒れた場所が沢に近いため上部の部位も水分過多でヒメオオの発生木になるのは難しいかもしれません。
さすがに上部は堅くて手がつけられなかったので下部の外縁部の一部を採取してきました。
材質や状態からも完全ヒメオオ用として近いうちにUPする予定ですが、その前に興味のある方は直接お問い合わせください。

さて、本来の目的である赤枯れマットの素材を採りに向かいます。
赤枯れマットはその名の通り赤枯れ(褐色腐朽)した材を粉砕したマットですので赤枯れの主にブナ材を見つけなければいけないのですが白枯れに比べてそんなに簡単に見つかりません。
また腐朽の性質上、林床の腐葉土に埋まって土化している場合も多く素材として採取できるものはかなり希少です。
最近、当HPでも赤枯れマットの需要が急増して生産が間に合わないだけでなく素材の枯渇も懸念される状況ですので常に次の素材を探しておかないと販売ができなくなる可能性があります。
そんな中、そんなに大きくはありませんが昨年偶然見つけた赤枯れの倒木があるのでそれを採取します。




↑ コケも生えてだいぶボロボロになっていますがこの状態でないと切り崩して粉砕できません。




↑ ご覧の通り手で崩せるくらいでちょうど採り頃です。
この後、持ち帰ってさらに手で細かくして乾燥させた後に粉砕してやっと赤枯れマットになります。
水分が多くかなり重いのでS氏に手伝ってもらってもコンバイン袋2袋分を運ぶのがやっとです。




↑ 赤枯れ材のすぐ横にあるブナの倒木。
手前に倒れている木は生木の状態で折れていたのでおそらく落雷かよほどの積雪で折れたのでしょう。
この倒木が朽ちて仮に使えるようになるとしても10年以上かかるでしょうね。
我々にとって10年はかなり先ですがブナの10年はとても短期間です。
本来樹木は建築材にするとその木の樹齢と同じだけ持つと言われています。
だからこそ何百年も前の神社仏閣が残っているのですがメートルオーバーのブナなら樹齢はゆうに100~200年以上は経っています。
ブナ材自体は柔らかい(朽ち易い)という性質はありますがそれが10年そこそこで朽ちるということはキノコ菌の分解力は極めて優れているのです。

とりあえず標高が高いとはいえ真夏の日差しの中でオロロ(イヨシロオビアブ)と格闘しながらの作業で疲労困憊となったため赤枯れ材採取は早々に終了しました。
この日は定休日ではないので昼までには店に戻らなくてはいけないため最後に昨年新たに倒れた立ち枯れの確認に向かいます。

その材は以前から林道の横の山側に立っていた立ち枯れで太すぎて手が付けられないため自然に倒れるのをずっと以前から待っていました。
たしか10年近く前にこの立ち枯れに着生していたツリガネタケ(多年生)を調べたところ朽ち始めてから推定12年でしたから現在で20年くらい経過していることになります。
さすがに先述のように根元がボロボロになり道路に倒れたのですが、その勢いで本体の大部分が道路の反対側の谷側の斜面を転落してしまいました。
昨季、それが50mほど下の沢に転がっているのは確認したのでこの日は上からではなく下側の道路からアプローチして場所を確認します。

こういう時、カーナビは便利ですよね。
地点登録しておけば異なる場所からのアプローチもスムースにできます。
地理的にGPS電波を受信しにくい場所でしたが記憶も頼りに何とか発見できました。




↑ これです。
画像には写っていませんがこれの右上にも2片折れたものがあります。
本体は最大径でメートルオーバーですので400mmのチェーンソーでも裁断不可ですのでやや細めの残りの2片から攻めたほうが良さそうです。
幸い道路から比較的近い場所なのでカットすれば運べそうです。
この日は時間切れなので裁断作業は次の機会に。

そして次はお盆明けの8月16日、ヒメオオの新規ポイント開拓を兼ねて裁断作業に行きました。
最初はヒメオオ探しですが全く成虫の姿が確認できないので即効であきらめました。




↑ ヒメオオのポイント付近の沢で発見した雪渓。
例年ならさすがにこの時期には雪渓はありませんが今年の豪雪の名残でしょう。
幅30m、厚さ10mほどあるので越夏して万年雪の可能性が高いです。

さて、期待していた先日の倒木ですがチェーンソーを準備万端で臨みましたが内部はまだ腐朽が若く使用には不適でしたのでわずか1カットで終了しました。






↑ 別のブナの倒木に着生していたクジラタケの群生。
もう少ししたらブナ林はキノコのシーズンを迎えます。
近年は乱獲で有峰でもキノコは激減していますが紅葉の時期にはまた訪れたいと思います。
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