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2012年11月
店長日記:1
2012年11月06日




10月19日、有峰にて。
今年は10年に一度の紅葉と言われているだけあって見事な紅葉が見れました。


さて、ついこの前まで残暑と言っていた気がするのですが山では紅葉の見頃も過ぎて初冬の景色へと変わってきました。
毎年書いていますが春と秋は季節の進行がとても早く感じます。
前回の日記の更新以降も週2回のペースで山に行っているのでだいぶネタが溜まっています。よって画像を中心に紹介していきましょう。
タイトルにもあるようにこの時期はほぼ紅葉の撮影とコケ採りに専念しています。
前回も書きましたが例年ならヒメオオの季節が終わると同時にコケ採りのシーズンなのですが、今年は残暑の影響が未だに残っていて全体的に1週間~10日くらい遅れています。
10月に入ってもブナハリタケでさえまばらな発生です。

そんな中、15日には利賀のヒメオオポイントより奥の前回ヒメオオらしき幼虫を割り出したブナ林にコケ採りと材探しに行きました。


↑ まず目に入ってきたのがサワモダシ(ナラタケ)。本来ブナ帯では晩夏~初秋のキノコですが気候に左右されやすく雨が少ないとほとんど発生しない年もあるようです。去年と同様に今年も少なく、また発生時期も遅れています。



今期初のサワモダシの群生を発見。
ただ、雨が少なく成菌に生長しないまま止まってしまったようです。一瞬、猛毒のニガクリタケかと思いましたが口に入れて味見してナラタケであることを確認。一株のみ採取。

ここのブナ林はあまり広くなくマツと混生したりまばらにしか生えていなかったりするので目ぼしい倒木や立ち枯れは少ないです。
林内はものすごいクマザサと低木のヤブなので尾根線を歩いて探します。



続いて見つけたのは林床に少数でかたまって生えていたシロナメツムタケ。
ナメコの仲間で美味なキノコなので採取。一食分でしたが味噌汁にして食べました。



だいぶ朽ち果てたブナの倒木に発生してしていた白いキノコの群生↑。同定できないまま採取しましたが帰ってシロタモギタケと判断しました。100%の自信はありませんでしたが似たような毒キノコはないので天ぷらで食べました。


味は少し土臭い感じで油を吸いやすく結構胃にズッシリときますが、そんなにクセもないので汁物には合います。



次は立ち枯れに着生していた見事なサンゴハリタケ。綺麗な形から遠目にはヤマブシタケかと思いました。先日も採取して味噌汁で食べたところ苦かった旨を書きましたが、あえて採取。今回は炒め物で食べましたが若い成菌だったからか食べ方の違いのせいかは分かりませんが苦味もなく美味でした。

そこからすぐ近くで見つけた別の立ち枯れ↓。あいにく幹にはキノコらしきものは確認できません。


近づいて観察すると、


↑ なにやらでっかいキノコのなれの果てを発見!
一瞬、マイタケか!?と思いましたがよくよく見るとトンビマイタケのようです。画像は2株分で一株50cm近くあります。これ以外にも3株くらいありました。
マイタケほど珍重されてはいませんがレアなコケなので来年は9月始め頃に来てゲットしようと思います。
このポイントでは材はほとんど見つかりませんでしたがコケは普段あまり採れないものも見つけることが出来て上々でした。
店の営業があるため午前中で切り上げたのですが、利賀にどうしても気になるポイントがあったので帰途に寄りました。
そこは毎年春の山菜を採るポイントでブナ材も採ったことのある場所で近年カシナガによるミズナラの立ち枯れが目立つ雑木林です。
今までナメコを見つけたことはありませんが昨年はその近くの斜面で見つけているだけにいずれここも発生するだろうと期待しているポイントです。
まあ、本場である標高の高い有峰でさえほとんど発生していないので当然ここでも時期尚早だと思いましたが予兆だけでも発見できればと思い寄りました。

現場に着いて早速日当たりの良い場所で立ち枯れを見て回るも何にも見つかりません。
ブナハリタケはおろかツキヨタケも出ていません。
これはダメだとあきらめて以前から目を付けていた近くのブナ材を採取しに変更。
が、この材も見当外れで期待していたほどの質ではなくあきらめました。
何も手にできないまま薄暗い北側斜面の林の中を歩いていると隣の斜面の立ち枯れに何か見えます。
コケが生えているように見えるので確認しに向かうと、



↑ えっ!?ナメコ?
間違いなくナメコです!それも幼菌ではなく生長した成菌もあります。ただ、昼間の暖かさと雨が少ないせいか生長途中で乾燥ナメコになっています。
しかし乾燥したせいで腐るのを逃れて鮮度は保っているので水戻しすれば十分食べられます。
まさか有峰ではなく、こんな里山に近いところで今季初のナメコを採取できるとは思いもしませんでした。



一部はみずみずしさを保っているものの幼菌も乾燥状態になっています。雨が降って生長を再開することを期待して残しておきます。
店に遅刻しながらも慌てて採ったにもかかわらず、店に着いてナメコを洗いながら水で戻すと収量としては3kgありました。最初の収穫としては豊作を期待させるのに十分です。
だけど、気温の低い有峰では全く発生していないのになぜ利賀では発生していたのでしょうか?
毎年、利賀では11月の初旬に最初のナメコを採るのですがその時にすでに老菌になって腐っているナメコを必ず見つけます。
実はナメコは最低気温が5℃以下くらいになると発生し始めますが、それ以前に急に気温が下がったときにも早生の子実体を発生させます。標高の高いところでは気温が下がるのは珍しくないのでそれほど早生の一次発生は見られませんが、むしろ中山間地の方が冷え込みの温度ショックがあるのか早いときには9月でも発生することがあるようです。
例年、自身が訪れる時期が一次発生には遅いため見つけられなかっただけで今年は残暑の影響で一次発生が遅れた上に自身の訪問がいつもより早かったおかげでタイミングが合って見つけることが出来て新たなポイントを開拓できました。

4日後の19日は再び有峰へ。
この日も朝はガスがかかっていましたが昼には快晴の天気に。トップに紹介した見事な紅葉が拝めました。道々、車を止めて写真を撮りながらのコケ採りです。
まずは一通りいつものポイントを見て回ります。



↑ ガスがかかる森で上を見上げるとモミジが淡い色に見えました。



やはり最初に見つかったのはサワモダシ。もちろんお持ち帰り。
本命のナメコはどうかな?と1週間前には何もなかった倒木を見に行くと、



残念、出てはいますがまだ幼菌です。また1週間のおあずけです。
仕方なくヤブこぎをしながら斜面を探していると、



倒木に鮮やかなオレンジ色をしたマスタケの複数の株を発見。
マスタケは褐色腐朽菌であるため腐朽材をクワガタ飼育には利用できませんがコケ自体は若いうちは可食です。このコケは大型で劣化も早いため旬を逃すとすぐにボソボソになって腐ってしまいます。
画像はまさに採り頃の状態ですので自身も初チャレンジで食べて見ようと右画像の一株を持ち帰りました。一株で2kg以上あります。



↑ 自宅でスライスしたものを天ぷらにして塩で食べました。
味も食感も見た目もキノコだと言わなければまさに鶏肉です。珍味ですね。
話のネタにはもってこいですが淡白でクセもないため逆に多く食べると飽きます。一株の4分の1も食べたらイヤになりました。

マスタケの場所から少し移動して秘蔵のナメコポイントへ。
ここは道路のすぐ横ですがヤブで死角になっているため昨年は誰にも見つかっていません。期待して谷に下ります。



↑ 沢の流れに浸かった倒木には何も出ていませんでした…。
それならと、この倒木のやや上にある昨年、大群生を見つけた倒木を見ると、



採り頃のナメコじゃあ~りませんか!
ただ、この一株だけで昨年の大群生には到底及びません。
とりあえず採取して本命のポイントへ移動。
さっそく順番に倒木を見て回りますがやはりほとんど発生していません。



↑ ようやく見つけるもまだ幼菌なので採れません。
あきらめて新たなポイントの開拓のためにさらに斜面の下側もしくは上側の奥へと足を進めます。



先日、利賀でも見つけたトンビマイタケのなれの果て。



↑ ブナの倒木の側面に群生するタマウラベニタケ(可食)。塊状のものはナラタケ菌が寄生して変形した子実体。



↑ ススケヤマドリタケ(可食)。ヨーロッパでは好まれるらしいがイマイチ自信がないためスルー。



↑ 径10cmくらいあるキノコ。アブラシメジかと思ったのですが帰って改めて調べても同定できませんでした。



↑ 直径1m50cmくらいはあるブナの巨木。その迫力からコケが発生していることを期待したのですがツリガネタケとツキヨタケだけでした。



↑ 人が入った形跡のない原生林を奥へと進んでいきます。



↑ ナラタケだと思ったら柄にツバがないのでナラタケモドキ(可食)でしょう。通称サワモダシ(ナラタケ)とはこれら数種を総称して呼んでいるようです。



↑ ナラタケとナメコの幼菌。さすがに奥地は見つかっていないのかコケも採られた痕がありません。しかし期待していたナメコのパラダイスは見つからず…。

誰かに採られて見つからないわけではなく発生していないのだからどんだけ探しても大量に採れるはずありません。
また来週まで待つしかありません。というわけでこの日の収穫は500gほどで撤収。

有峰でフラストレーションが溜まったので22日は確実に採るために前回、早生のナメコにタイミングよく出会えた利賀へ。



まだ紅葉もピーク前でモミジも赤と緑のツートンです。
ポイント近くに行くと石川ナンバーの車が止まっています。直感でコケ採りだと分かりました。ここも目をつけられているようです。
遅れを取るわけにはいかないので早速、ブッシュを掻き分けて突入しました。



ナメコ以外のコケがないのでひと目でナメコだと分かります。





乾燥して表面のヌメリが無くなっていますが立派な成菌が見つかりました。



2次発生した幼菌もありますが、やはり乾燥で成長が鈍いようです。
この後、さらに冷え込んで雨が降ればいよいよ本格的に発生するでしょう。
この日も乾燥ナメコがほとんどでしたが店に戻って水戻しをした後の計量では3kgありました。この時期にしてはまずまずです。

そして定休日の26日には満を持して有峰へ。一部は10月末で閉鎖なので今回が今年最後となるでしょう。



この日は朝から良い天気で紅葉狩りや写真撮影の行楽客が多く人目が気になり車をポイントから離して止める等のシミュレーションで他の採集者にポイントをばれないように細心の注意を払ったにもかかわらず肝心のポイントに別の車が止まっていて先を越されてテンションが一気に下がります。
去年まで誰にも採られなかったポイントがことごとく荒らされています。それも採り頃の成菌だけでなくまだ早い幼菌まで根こそぎやられています。
他の採集者が全て泥棒に思えてきます(お互い様ですが…)。

幸いにも一番ばれそうで先週幼菌を取り置きしていたポイントで生長したナメコと会えました。↓





すぐ近くの先週確認しなかった倒木を見ると、


ラッキーにも群生を発見。



モミジとナメコのランデブー。
ホクホクしながら採っていたのですがこの倒木は沢を挟んで道路から丸見えで不覚にも数台の車に採取しているところを見られてしまいました。
来年は誰かに採られるでしょう…。
ここだけで2kgの収穫でした。

その後、有峰湖周辺で標高差200mくらいの沢登りをしてポイントを探すもナメコは全く見つからず。採れない所は全く採れません。
今期の有峰はナメコの発生が遅れて最後まで遅れを取り戻すことができずトータルの収量は昨年より少なかったものの感謝しつつ山を後にしました。来年はさらに競争が激化しそうなのでさらに奥地へ入らないと採れないでしょう。
コケを採られるのは仕方ありませんがゴミを捨てるのはやめてもらいたいものです。
山の恵みを頂いた上に汚して帰るとは言語道断です。泥棒にもとる行為でしょう。
人の痕跡の無い奥地でペットボトルや空き缶を見つけるとコケを先取りされている以上に気分が悪いです。

29日は新川地区で採り置きをしてあるアカメガシワのカワラ材を採取しに。
首尾よく一部を採取できたものの近くの切り株の根部にオオスズメバチの巣があって、時折パトロールの働きバチが警告するかのように迫ってきます。おそらくギリギリの距離だったのでしょう。どこぞの国のように当たり前のように領海侵犯するかのように彼らのテリトリーに踏み込む勇気は自身にはありません。
警告に素直に従って早々に撤収しました…。



↑ 採取したアカメガシワに発生していたヌメリスギタケモドキ。可食でちょうど一食分の株だったので採取して味噌汁に。ほぼナメコのような食感で美味です。
このキノコはよくヤナギに発生してわかりやすいので機会があれば探して見て下さい。

さて11月に入ると有峰だけでなく県内の山間の林道は閉鎖の時期を迎えます。
中旬には相次いで閉鎖になるので限りある時間で効率的にポイントを攻めなければなりません。
この時期にポイント選びを失敗するのは大きなロスになるのでついつい安全パイで過去に実績のあるところへ行きがちですが今期は発生が遅れているのでそれも当てになりません。
2日は前夜から荒天で山は雪の可能性もありましたが、あえて未開拓の岐阜県境のポイントを攻めることに。
一路、雨の中を車で走っている途中、八尾近辺の林道で横目で立ち枯れを見ているとコケらしきものが。すぐにバックして車を降りてアラレが降る中を確認に行きます。



案の定、ナメコです。
いわゆる早生のナメコですが予想外の場所で見つかるとはラッキーです。
早速採取してさらに周辺を探して見ます。



ナメコはその木だけでしたが隣接する木でサワモダシの群生を発見。
樹幹の上のほうは手が届きませんがそれでもコンビニ袋にギュウギュウに一杯3kgほど採れました。



↑ ナメコと見間違うほどツヤツヤで新鮮なナラタケの極上品。



↑ さらには今季初のムキタケも。



↑ 天然のアケビ。せっかくなのでその場で食しました。

行きがけの駄賃どころかほぼ一日分の収穫が思いがけず得ることができました。
この日は新たなポイント開拓が当たったようです。
気を良くしてさらに道路の反対側の斜面に登ってみると、



↑ コケはありませんでしたが極上のコナラ材を発見。
どうやら今日は山の神様が味方についているようです。

材も手に入ったし帰ってもよかったのですがせっかくツキがあるのにもったいないと思い、未踏のブナ林を目指して前進しました。
しかし、標高が上がるにつれて気温はどんどん下がっていき、900mくらいからは予想通り雪に変わってきました。
ここまで来て引き返すのも悔いが残るのでとりあえず行けるところまで行くつもりで進みます。なんとか標高1100m超の予定地に到着するも



↑ こんな感じです。路面も5~10cmの積雪で銀世界です。
さすがにこの雪の中、訪れている車はないので人目を気にせずコケ探しができます。
装備を整えいざ出陣。



↑ 視界も悪いくらいの雪中強行軍。
積雪で足は取られるし滑るしで思うように進めない上、肝心の倒木が埋まっていて一苦労です。
何本か倒木を見ましたが発見できないかあっても幼菌です。
大量の幼菌を見つけて喜びましたが横を見ると成菌を切り取った痕が…。
やはり他にも採集者が狙っているようです。



↑ 雪に覆われて危うく見逃しかけた倒木上部に発生したナメコの成菌。
通常ナメコは側面や裏側に先に発生するのですがこの木は上側だけでした。
どのくらい歩いたか雪の中なのでよく分かりませんが気がつくと疲れて足取りがかなり重くなってきたので終了。
結局、先に寄った八尾での収穫を併せてナメコは2kgの収量でした。まあ、こんなもんでしょう。

さらに2日後の11月4日はバイトを早上がりして早朝からブリーダーのB氏と五箇山方面に。B氏は材探しがメインですが自身はナメコ狙いが9割です。
勝手知ったるポイントなので順番に見て行きます。
この日は平野部はこの秋一番の冷え込みで凍結が怖かったのですが現場に着くとガスがかかっていて思ったほど気温は低くありません。



標高が上がるとガスが晴れて眼下には見事な雲海と紅く染まった山肌が。
しばし景色を楽しみつつポイントへ向かいました。

昨年も採取した場所を訪れると期待外れにもナメコの姿はほとんどありません。
幼菌は多少見られますが、誰かに取られた形跡もないのでここも時期的に早かったようです。



↑ 例年ならとっくに終わっているはずのツキヨタケがムキタケと一緒に生えています。
毎年ムキタケやヒラタケと間違えてツキヨタケを採取して中毒する人が少なからずいますがよく見れば違いが分かると思います。
ただ、群生の中に一株だけ混じっていたりするので慎重に確認は必要です。



↑ 道路のすぐ近くですが裏側なので誰も気づいていなさそうなナメコの幼菌の大群生。
1週間後が楽しみです。





↑ こちらも道路脇の切り株で他の採集者が取り残したクリタケの群生。
採取するには十分な量で何の料理にも合う美味なキノコです。猛毒のニガクリタケとの混同に要注意。

去年発生していた木を見て回るも目ぼしい発生はありません。
新たな場所を探すも山中でバッタリ他の採集者と鉢合わせになりすでに取り尽くされた後でした。
今日はダメかなとあきらめ気味でしたが少量ずつでも見つけては採り貯めていったら結構な収量になりました。



↑ この日一番の大群生。この木だけで3kg以上採れました。
何だかんだでこの日の収量は二人合わせてナメコだけで6kg超でした。



↑ 巨大なナメコ!それも開ききった老菌ではなく採り頃の成菌です。昨年もこの木で巨大ナメコが採れているのでこの木のナメコ菌は変種なんでしょうか?
どれくらい巨大か、


大きいもので径14cmほどありました。
自己最大記録です。
今回は素焼きにして塩で食しました。
スーパーのナメコでは絶対できない食べ方です。

さて、今回の更新もキノコづくしでしたがまだまだ採集します。
今期は11月4日現在でナメコの総収量は11.5kg、サワモダシ等の雑キノコで10kg強。
めざすは昨年越えです。
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