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店長日記

ナメコ採り最終節&材割り調査

2011年12月09日



あっという間に師走になりました。
冬の訪れが遅いためのんびりしていると急に冬がやってきて不意を突かれます。
当地でも雪が遅いためついついタイヤ交換を先延ばしにしていたのですが、12月に入ってから時雨れる日が多くなったためそろそろ換えないとマズイと思い先日雨の降る中、合羽を着てやっと換えたら今日(9日)初雪が降りました。ギリギリ間に合いましたが平野部ではしばらく積雪の心配はないでしょう。
ただ山に行くことを考えたらスタッドレスは必須です。って言うか行っても山に歩いて入ることが困難ですが…。
先週まで通っていた利賀のナメコポイントもこれで入山は無理でしょう。

というわけで今秋はコケ採りに精を出しすぎて材割りの調査がおろそかになっていたので11月末からは本格的に再開しました。
って言っても調査地もまもなく積雪のために入山できなくなるので調査できるのも数回だけですが…。

28日は月曜日で店休のため雨が降っていましたが合羽を着てS氏と同行してオオクワポイントに材割りへ。
自身は以前にも何回か訪れている環境的には好条件な場所ですが期待とは裏腹にほとんど幼虫自体が採集できないポイントです。あきらめがつかないので今回はS氏にも協力してもらい再度調べることにしました。
いい雰囲気の倒木は何本もあるのですがどれだけ割っても食痕すら現れません。S氏がわずかにコクワと思われる幼虫を割り出したくらいでそれ以外はさっぱり…。
すでにモチベーションは低下して割る気力がなくなり付近の散策へ。




株立ちの一部の幹が朽ちているサワグルミがありました。大きな洞が中央に空いており幹にもいくつかの洞が確認できます。
ここは今までの調査から産卵場所としてはどうか分かりませんが成虫の移動ルートの真下に当たる部分で夏季の成虫の生息木としての可能性は高いと思われます。
この場所ではやはり幼虫は発見に至りませんでしたが来期の成虫調査ポイントとして要注目です。

その後、昼食を食べに街まで下りたのですが戻る気になれずに別の以前自身がオオクワを採集したことのあるBポイントに向かいました。
数年前に沢の横で見つけた倒木を再調査するつもりでした。車を降りて沢を上り始めるとこの時期でも猛ブッシュです。
なんとか目的の材を見つけました。




別の幹が下に横たわっているのですが水分過多でダメでした。




本体を見るとクワガタの産卵痕が付いています。これは何かいそうだと割って見ると幼虫どころか食痕もなく中は堅い心材でした。
何のためか未だに解明されていませんが自然下ではダミーの産卵痕をつけることが多々あります。
結局本体からは何も採取できず、再び車で少し離れたチェック済みの倒木を目指しますがこちらも猛ブッシュのために現場に辿り着けず断念。
久しぶりに本腰を入れた採集も散々な結果で撤収。

その週の金曜日の12月2日、雨も上がっていたのでナメコ狩りか材割りか迷ったのですが週末に他の採集者にナメコを採られる可能性もあるので午前中だけの限定で利賀のナメコポイントへ。
市内では晴れ間ものぞき始めていたのですが、山中に入るにつれて周辺には雪が…。
前夜までこっちでは雨ではなく雪だったようです。
想定外で合羽を持ってきていませんがとりあえず第一のポイントでは幸いさほど積もっていませんでした。




ここもだいぶ発生が少なくなりましたがここの所の冷え込みで2次発生した幼菌がチラホラ見えます。色も濃くヌメリも強く数日後には極上の成菌になるでしょう。




前回来た時に幼菌だったナメコが雪に負けずに見事に育っていました。↑

新たな発生も少なく一通り採集して再びいつもの本命のポイントへ向かうと前回以上の積雪が…。




地面の積雪は10cm強ですが強い冷え込みのせいか木々に積もった雪が凍って樹氷のようになっています。




斜面に入ると下草、といっても背丈以上ある低木ですが同様に樹氷のようになって前が見えず頭上の木の幹しか見えません。
合羽を持ってきていないためかなり躊躇したのですがここまできて引き返すのも悔やまれるので作業着で突入しました。
歩くのに四苦八苦して身体は汗ばむくらいになったのですが、下半身が溶けた雪ですぐに濡れてきました。ズボン下は着ていましたが所詮布地ではすぐに水を吸ってしまいます。それでも気にせず山中をやみくもに歩いていると、




期待通り雪の被った極上のナメコが見つかりました。拡大した右の画像を見れば分かりますが氷点下の冷え込みで傘にはひび割れが生じキノコ本体もカチカチに凍ってツララが下がっています。天然の冷凍庫で保存された鮮度抜群の成菌です。
何本かの木で群生を見つけたもののここも発生数は減ってきて出ていても届かない高い場所に少し見つかるくらいになっていました。

もうあきらめようと思った頃にはズボンはびしょ濡れで長靴の中は雪解け水が溜まってタップンタップンになっていました。上半身も頭上から落下してきた雪のせいで下着まで濡れています。
体温を奪われて寒さを実感した頃には足の感覚は無くなって歩こうにも足が上がらなくなっていました。
こうやって遭難するんだろうな、などと思いながら滑落するように道まで下りて何とか車に辿り着くと急いで着替えました。着替えを持っていただけまだラッキーだと思いましたがしっかり風邪は悪化して帰りにはクシャミが止まらなくなりました。
このポイントも次に雪が降れば入山は難しいだろうしナメコの発生も少なくなってきたので今回が最後でしょう。今年も春の山菜から晩秋のコケ採りまでお世話になりありがとうございました。
ナメコはこれからはもっと里に近いところで探さないと採れない時期になりました。
ただ標高が低いところでは発生自体が少ないのでもう終焉でしょう。今年は10月初めから2ヶ月以上にわたって採れたので大豊作でした。この日の収穫を含めると延べで24kg超収穫できました。

さてナメコ採りにも見切りをつけたところで翌週の5日(月)は店休を利用して再び単独でオオクワポイントの材割り調査へ。
秋以降毎週月曜日は天気に恵まれることが少なくこの日も再び雨の中での採集です。
到着後、一通り目的地周辺を見て回りますが思いのほか斜面が急で足元が悪い条件で上るのはかなり危険です。
目的地を過ぎて支流沿いの林道を車で進入していくと間もなく行き止まりに。
ここは以前にも来ているのですが割る材がほとんどなくあきらめた場所ですが今日は歩いて沢を上って調べることにしました。

車から降りて程なく、




図らずも道端の切り株でナメコを発見。ちょうど1食分くらいだったので採取したのですが旬を若干過ぎた成菌だったため利賀のそれよりは風味では劣りました。標高の低いところでは山に比べて気温が高いため採り頃の期間が短くタイミングを逃すとすぐに鮮度が落ちてしまいます。

今日はナメコが本命ではないので倒木や立ち枯れを探して一路上流へ向かいますが砂防堰堤をいくつか越えていっても斜面は地面がむき出して木も生えていません。
これ以上行っても無駄だと思い河川敷にわずかに転がっている流木を気晴らしに割りました。






こんな材を割っても出てくるのはせいぜいコクワの幼虫がわずかにいるくらいです。
オオクワだけでなくこの辺りに生息している他のクワガタはいったいどこで産卵しているのかつくづく不思議に思えます。
割る材も見つからないので、車に戻り今度は支流を本流に向けて下りながら探して見ます。




サワグルミの倒木がありましたが見つかったのは2齢幼虫が1頭だけでした。この辺りの樹相からもサワグルミの朽木は比較的見つかるのですが状態の良いサワグルミは未だかつて一回も見つけたことがありません。ほとんどが内部は堅い心材です。




↑サワグルミの立ち枯れに着生していたコフキサルノコシカケ。通常なら成長につれて下部が広がるように大きくなるのですが、このように上から下まで同じ大きさでツリガネタケのように成長したものは珍しいです。キノコ齢を数えたらちょうど10年程です。
試しにキノコの下側の根部に近い部分を割って見ると部分的にかなり良い状態で朽ちていますが残念なことに食痕さえありません。この木の立地的な環境が産卵には適していないのでしょう。

仕方ないので本流に戻り危険ではありますが急な斜面をやけくそで登ってみました。
すると先週調べたところと同様に産卵にはどうか分かりませんが成虫の生息には適した環境のようです。ただここは夏季には猛烈なヤブに覆われて調べるのはほぼ不可能でしょう。
登ったはいいものの下りは滑って恐ろしかったです。
途中で幼虫は見つかりませんでしたが今期初のエノキタケを見つけました。




最初はナメコかと思いましたがカメラで撮影するときにエノキであることに気づきました。
天然のエノキはナメコのようにヌメリがあるんです。
あいにく一食分にも満たないのでそのままスルーしてきました。

エノキが出ているのならヒラタケも出る頃だろうと思い材割りを切り上げて車で去年見つけたヒラタケの発生木を見に行くと、




う~ん、惜しい!まだ幼菌です。
でも誰にも見つからなければ1週間後にはちょうど採り頃になるでしょう。
これで来週の月曜日の予定はヒラタケ採集に決定しました。

続いて2日後の7日(水)には午前中だけですがS氏と2日前には入らなかった本流沿いの斜面を攻めました。




ここはN氏によって複数のオオクワガタの♀が採取されたポイントのすぐ下流側なので産卵ポイントとして有望だと推測される場所です。
画像で見るよりも急な斜面を登り尾根線にでると緩斜面の雑木林が広がっていました。
しかしながらカシナガの食害を受けたコナラは多いもののやはり産卵に適した倒木や立ち枯れはほとんど見つかりません。
代わりに樹液の出ている洞があるような大木があったので成虫の生息木としてはかなり可能性が高いでしょう。

立ち枯れでいい朽ち具合の材がないかと探していると、




シハイタケのびっしり生えた枝の向こうにナメコ発見!




粒揃いの採り頃のナメコです。
ちょうど一食分くらいになりました。
おまけに下には少しですがヒラタケも出ています。

一度ナメコを見つけてしまうと完全にキノコ採りの目にスイッチしてしまいました…。
材割りをしているS氏を横目に自身はがぜんキノコ探しに。




周辺で多くはありませんがヒラタケをゲットしました。
↑はハカワラタケと共生しているヒラタケです。
まだないかと執拗に見ていると遠目に何か付いている立ち枯れが。
近づくと、




見た目には腐りかけたナメコかと思ったのですがまだ幼菌でした。
まるで木全体にブドウがなっているようです。
前述したように里ではナメコの発生は少ないのが通例ですが、カシナガによる立ち枯れの増加でナメコだけでなくキノコ自体の発生も増えているようです。
さすがに利賀のポイントほど発生木は多くありませんが、この木だけで成菌になれば2~3kgの収穫にはなるでしょう。
来週の月曜日に先日幼菌で見つけたヒラタケと一緒に採集することにしました。

この後は材割りもせずに再びBポイントに向かいここでも立ち枯れのキノコ探しをするも立ち枯れは多いもののナメコはゼロでヒラタケがわずかに見つかっただけでした。
それでも先ほどのヒラタケとあわせて1.5kgほどにはなりました。
このポイントは食用キノコは少ないもののサルノコシカケは多く見つかりました。
同じような山でもキノコの生態は微妙に違います。




↑Bポイントにて立ち枯れの上部に発生した釣鐘状の大型のコフキサルノコシカケ。立ち枯れて4年目であることがわかります。
まだ枯れてから年の若い木も多いので今後ナメコが発生するかもしれません。

結局、まだまだコケ採りに見切りをつけられない現在です。
雪で山に入れなくなるまでは材割りとコケ採りを並行してがんばります。