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店長日記

材とキノコと紅葉と。(材&キノコ、10月中旬~下旬編)‘15.12.15記

2015年12月15日



さて、この日記を回想しながら書いているのはタイトルにも明記の通り12月の中旬ですが、今期は現在のところは記録的な暖冬状態でいまだに標高700~1,000mの山に入山できるという異常事態になっていますが残念ながら山に入ってもコケは発生が終わってしまっているためこうやって撮り貯めた画像と共に日記を書いています。

前回の続きからで10月12日、この日は前々回の紅葉編でも書きましたが紅葉の撮影が主な目的で有峰にS氏とともに午前中だけ行ってきました。
朝から曇り空で途中ガスがかかっているような天気で撮影ポイントでも青空は見えない状態でしたが一旦、有峰湖周辺まで行って赤枯れマットを採取した帰途には一瞬の晴れ間に恵まれ先日紹介したいい写真が撮れました。

数年前まではこの時期にはナメコを始めコケ採りが有峰のメインでしたが乱獲のせいか最近ではほとんど採れず採集者自体も減っているようです。




↑ ナメコはほとんど見なくなりましたが、今期は上写真のようにヒメシロタモギタケやブナハリタケは発生が多いようで結構目にします。
初心者が多いのかナメコは根こそぎ採られていますがこれらのコケはほとんど手付かずです。
せっかくなのでヒメシロタモギタケを少しだけ採っていきます。




↑ 持ち帰って煮つけにしたヒメシロタモギタケ。
このコケは天ぷらにすると油を吸いやすく重くなりますが煮物では癖もなく、シャキッとした食感も良く食べやすいです。

有峰はやはり今年もナメコは期待できないので10月16日は定休日なので一日南砺市の恒例のポイントへ行ってきました。
この日も先日の紅葉編で一部写真を紹介しましたが、この辺りも紅葉が最盛期に近くなってきているようです。
ただ気温は高めで推移しているのでナメコの発生が進んでいません。
他の採集者は入ってないようですが目に付くのは一次発生の老菌かまだ幼菌のものばかりです。




↑ なんとか採れそうな大きさのナメコを見つけるも局所的にはまばらにしか見つかりません。
思いがけず自己満足な紅葉の写真が撮れたので気を良くしていつもよりも足を伸ばして尾根線を未知の域へと進んでいくと、




↑ はっきり読めませんが二等三角点と書いてあるようなので山頂にたどり着いたようです。
ずっと尾根が連続している山なので山頂っぽくはありませんが登山道らしきものが反対方向に続いていたのでさらに山頂を越えて進んでいくと、東側斜面にはほとんど立ち枯れがありませんが西側斜面に集中して立ち枯れがある場所があったので藪に突入していくと、




↑ ちょうど採り頃の群生を発見。
藪で見通しが利かないので一本一本立ち枯れを確認していくと同様の群生が複数見つかりました。
同じ地域でも全く出ていないわけではなく斜面や環境の違いで差が生じます。
この時は西側斜面がタイミング的に合っていたのでしょう。
量的には大量と言うわけではありませんでしたが新たなポイントを見つけたということは大きな収穫です。

続いて二日後の10月18日、この日はブリーダーのB氏を同行しての採集です。
ポイントは過去2年では最も多く採集しているポイントですが前々日の成果からしてここでも大漁はあまり期待できません。
いつものコースを歩いて行きますが予想通り採れるべき木でもほとんど発生していないか来週ちょうど採り頃になる幼菌ばかりです。




↑ このポイントでは珍しいヒメシロタモギタケ。




↑ 本来なら期待できる発生木でも一次発生の群生の老菌があるだけでそれ以降は冷え込みが弱くて幼菌も出ていません。
前々日と同様に西側斜面のポイントですが幼菌が多く採り頃のはかなり少ないです。
いつものコースも期待薄なので足早に通過してさらに奥の小高い山頂付近まで足を伸ばします。
藪の中をきつい斜面を汗だくになって登って山頂を越えると立ち枯れが多い平坦な場所を含む逆斜面のポイントが現れました。
パッと見る限り他の採集者が入った形跡はなく立ち枯れの状態も樹皮の剥がれていない良好なものも多くあり一見良さげです。




↑ ツタウルシの紅葉とナメコのコラボ。
しかし、ここもちょこちょこはあるものの木の状態の割には期待できるほどの群生は見つかりません。
元々発生量が少ないのかまだ時期が早いのかは分かりませんが歩いた割には収量が上がりません。




↑ ナメコはイマイチですがクリタケは例年以上に見つかります。




↑ クマの爪跡が残る倒木。
おそらく木が立っている時に付けられたものでしょう。
この辺りは爪跡や糞が所々で見つかるし、前に藪をガサガサと逃げていくクマと思われるものも見ているのでおそらく地のクマのなわばりなのでしょう。
富山では珍しいことではありませんがやはりクマ除けの鈴は必須ですね。
結局この日は新規のポイントも含めて群生は見つからなかったものの少量ずつの株を足で稼いで何とか5kgくらいの収量を上げることができました。

そしてその一週間後の10月25日、日曜日ですが定休日の金曜日は息子の七五参の前撮りだったために山に行けなかったため代わりにこの日の入山です。
目指すポイントは先週B氏と行った恒例のポイント。
先週見つけた幼菌がちょうど採り頃のはずです。
本当なら金曜日がベストだったのですが、これ以上遅れるとまた老菌になって採り逃してしまうため何があってもこの日しかありません。
今日は採れるという自信と確信を持ってポイントに入ると、




↑ 先週は見なかった木ですがポイントに入って最初に見た木でいきなり群生を発見。
個人的にはもう2~3日待ってから採りたいところですが、また採られる可能性が高いため確実に収穫しておきます。




↑ 緑のコケのじゅうたんに覆われた表皮から発生したナメコ。
できるだけコケや樹皮を傷めないようにナイフで丁寧に採ることで今期、または来期も再度の発生が期待できます。
何度も言っていますが樹皮を剥がしてしまうとそれ以降の発生はほとんど無くなってしまいます。
採り跡を見ることで採集者のキャリアや人間性まで推測できるので最低限の山のマナーくらいは身に付けておきたいですね。




↑ 上記の発生木のすぐ横にあった倒木。
こちらは昨年までは立ち枯れとして立っていた木ですが今年倒れてしまったようです。
根際に少しナメコが出ていますがおそらくこれが最後の発生でしょう。
富山県ではカシナガの食害で赤枯れした木の劣化が進み、この木のように樹皮が全部剥がれて根部も腐敗して自重を支えきれなくなって倒れる木が多くなってきました。
また、管理されている林では再生のために人による伐採も進みますます立ち枯れは減ってきています。
時の流ゆえ仕方がありませんがナメコ狩りも思い出になる日が近づいているのかもしれません。




↑ こちらは以前、紹介したこともある木ですが胸高の径が1mを超えるミズナラの巨木で樹幹に20個以上のコフキサルノコシカケが着生している立ち枯れでしたが、これも腐朽によって今年ついに倒れました。
折れ口の材質を見てみるとサクサクに朽ちており色虫の産卵材に最適ですが、大きなブロックで切り出すにはチェーンソーが必要な上、切り出したとしても急斜面を持って降りるのはかなり困難なのであきらめます。




↑ 先週幼菌だったナメコが予想通り成菌になっています。
こちらは2日くらい前がベストのタイミングですが十分です。




↑ こちらはベストの状態で乾燥したため生長が停滞しているもの。
持ち帰って水に浸けるとプルプルの最上級のナメコになります。

先週確認した幼菌を見て回るとそれなりの収量があったので気持ち的にも余裕を持って少し離れたところにある個人的に一番お気に入りの御神木に向かいます。




↑ その途中、これは今期2度目のマイタケか!?
だいぶ劣化が進んで明確にはわかりませんが今回のはトンビマイタケの可能性が高そうです。
いずれにしても垂涎もののこれらのコケを手にするにはもっと早い時期に来ないと駄目なようです。
とはいうものの晩夏のポイントは残暑もさながら猛烈なブッシュやヤブ蚊、オロロ、スズメバチ等のリスクも高くなかなか来る気になれません。
大げさですがそれを克服できた強者のみが得られる栄光なのでしょう。

御神木に近づくと再び以前は立ち枯れだった発生木が倒れていました。
こちらはもうナメコは発生していませんでしたが、地面に散乱した枝を見て回るとその中の一本だけがヤニタケで朽ちていました。
経験則からヤニタケ+ブナ=サクサクの産卵材という方程式があるために期待して裁断してみます。




↑ ブナではなくミズナラですが期待通り均一に朽ちた最高の材です。
ヤニタケはかなり水分が多い状態じゃないと腐朽しないので乾燥させないと使用できません。
水分が多いので重いため半分の1m程度しか持ち運ぶことができません。
リュックはナメコで一杯なので肩に担ぎながら御神木に向かいます。
先週幼菌だった御神木に到着すると、




↑ 昨年に比べると一回での発生量は1/3ほどしかありませんが最高のナメコです。
おまけに粒がデカイ!




↑ 自身の手と比べたらその大きさが分かるでしょう。
10cmを超えるものばかりです。
ナメコは徒長して萎えた老菌ではなく傘が開いて間もない傘裏も白い個人的にベストのタイミングの成菌です。
やはり御神木です。
期待を裏切りません。
合掌してから丁寧に採取しました。

天気も崩れて雨も降り出してきたためにこの日はここで切り上げて車に戻ります。
すると車の近くに他の採集者の車が止まっていて今日最初に見て回った付近に二人の採集者がいました。
ここは昨年までは誰も入っていないポイントでしたが自身の車を止めているのを見られたか他者に知られたようです。
自身には解せないのですが、なんで他者の車の近くに止めて同じ場所に入ろうとするのですかね?
自分の所有ではないので何も言えませんが釣りと同じで他人のポイントのすぐ横に割り込んで竿を出すようなもんです。
人の後を追ったところで採りこぼし程度しか残っていないのですからせめて少し離れた場所を探そうとは思わないんですかね。
まあ、この日はほぼ回収した後なので惜しくはありませんがここも安心して採れるポイントではなくなったようです。
この採集者たちは自身が材を抱えて降りてきた姿を見て不思議そうな顔をしていました。
また余計なことを聞かれるのも面倒なのでそそくさと車に乗り込みポイントを後にしました。
この日は効率良く収穫できたので収量は今期初の10kgオーバーとなりました。