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店長日記

コケ(キノコ)採りシーズン!ナメコ大繁殖!!2013年最終章

2013年12月25日



さて、気がつけばもう年の瀬で2013年もわずかとなりました。
今年も色々お世話になりありがとうございました。
毎年のことですがこの時期は季節柄ほとんど開店休業状態ですが来年もご愛顧のほどよろしくお願いいたします。

今年の店長日記も今回が最終となりました。
ここ2ヶ月くらいほぼキノコが占めていますがアウトドアな趣味はライフワークですのでご理解の程お願いします。
さあ、予想外の大量収穫に湧いた今季のナメコ採集もいよいよラストスパートとなりました。
スパートといっても先月までで目標を大きく超える収穫を得ているので今月は収量を伸ばすことよりもポイントの開拓と既存のポイントの様子の確認が目的になります。
よって今までのように睡眠時間を惜しんで徹夜で入山するような必要もなく気持ち的にも余裕があります。
まあ時間がある範囲で行ければいいかな、という感じです。

というわけで前回12月6日は県東部の恒例の里山ポイントに行ったのですがミズナラ帯のポイントとは異なり例年より遅れ気味でしたので3日後の12月9日、この日は先般も書きましたが店を臨時休業してカワラマットの袋詰めと運搬作業の予定でしたが、昼からで十分間に合うと思い午前中だけ山に行くことにしました。
里山は先日の様子から無駄足になるだろうから、山も根雪になっていないので八尾・利賀方面も行くのは可能なのですが、自分の中では前回が最後というつもりであったし収穫だけが目的ではないのでここは一つ新ポイントを開拓しようと思い、さほど遠くない新川・立山方面に行くことにしました。
新規といっても新川地区のポイントはコケ採りだけでなく本業のクワガタ採集で何十回、何百回と行っているところですが、ことコケ採りに関してはあまり芳しくないので今回はやや立山よりで標高も今までより上げてあえて700mを超えるミズナラ帯を調べてみることにしました。

本来、この時季にこの辺りの林道に進入することは除雪が入らないので困難なのですがまだ根雪になっていないため幸いにも通行できます。
ただ先日の雪で500m以上は積雪しており800m付近まで行くのが限界でしょう。
ちなみにこの日向かった場所は初めて行く場所ですがもちろん行き当たりばったりで行くわけではありません。
事前に地形図でミズナラの立ち枯れがありそうな場所を推測しルートを設定しています。
さらにそこが良好なポイントでないことやルートが通行不可の場合を想定して必ず予備のポイントも考慮しておきます。

自賛するわけではありませんがこれだけコケ採りに入れ込んでいるおかげでだいぶスキルアップして最近では事前の下調べで外すことはまずなくなりました。
この日も大丈夫だろうと余裕で出発しました。
現地付近に到着すると想定外に林道が整備されています。
あまり通行しやすいと他の採集者も多く訪問することになり自身が何よりも避けたい競合のリスクが高まります。
自身には収穫の3原則があります。

① 他人と競合するポイントは極力避ける(他人が行かないところまで攻める)。
② ポイントを多く確保する。
③ 適材適所ならぬ適時適所を守る(時期によりポイントを変える)。

まず他人の後を追ったところで採られた後の苦汁をなめるだけなので他人より先んじるかさらに奥まで進まないと気が済みません。
とりあえず林道を上がって行き標高500mを越えた辺りから道路にも積雪してきましたが先日の降雪の割りには数台の車のタイヤ痕が付いています。
一部は工事車両かと思われますが採集者の可能性もあります。
嫌な予感がしつつも車窓から周りの木を見ているとちらほらナメコらしきものが確認できます。
とりあえず適当な場所で様子を見てみるために停車して林に突入しました。




↑ やはり道路から見える位置ということもあり先客が採った跡がありますが、だいぶ以前のもので最近は誰も訪れていないのか残っています。




↑ ナメコの根元を見ると以前に先客によってカットされた跡がありますが今出ている成菌の状態から見てここ1~2週間は誰も来ていないことが分かります。
ということはさほど知られていない可能性が高いでしょう。




↑ 少し奥に足を進めると見事な房が2つ見つかりました(右画像はアップの写真。冷え込みで凍っており鮮度が保たれています)。
とりあえず確認のつもりで踏み入った場所ですが見つけた以上は採らねばなりません。
この時点でもう新しいポイントとして認知したも同然です。




↑ ほんの一区画ではありますが立ち枯れが乱立しています。
上画像のポイントはさほど広くないので一回りして事前にチェックした本命と思われる場所を目指します。
目的地近くに着くと一部伐採されて開けた場所に地図にはない人工物と駐車するスペースが設けてあります。
そこには車を止めた跡があり人の足跡が伐採地に向かって残っています。
採集者だろうか?と思いつつすぐに入らずにさらに標高を上げて車を進めてみます。




↑ 凍った極上ナメコ。
この辺りは所々に立ち枯れが集まっているポイントが林道沿いに散在しておりそれぞれでナメコの発生木が見つかりますが一ヶ所で大量収穫という感じではありません。
こういう場所ではむやみに歩き回ると疲れるだけなので発生木を記憶してそれだけを見て回るようにしないと収量が伸びません。

さあ、いよいよ先ほどの本命の場所を調べます。
先日に先客がいたことを覚悟しながらも足跡を追ってみると意外にも藪の中には進入せずに開けた場所を散歩しただけのようです。
それならと、藪に向かって突入開始です。




↑ 周りは比較的平坦に近く立ち枯れだらけでいやがおうにも期待は高まりますが画像でも分かるとおり周りは背丈を越えるススタケ(ネマガリタケ)の大群生です。
通常のクマ笹と異なり名前の通り笹よりも太く細い竹といった感じです。
よってちからまかせに進もうとしても全く進めません。
足を取られては転び、身体が引っかかっては止まり、跳ね返ってきた茎が顔面をムチのように叩きます。
春にはススタケの優良ポイントになるでしょうが今は単なる障害物です。
イライラが極限に達し「あー!」「クソッ!」「このやろうっ!」と思わず独り言を怒鳴ります。
つい先ほど付いたクマの足跡があったのでクマ除けにはなりますが第三者がいたらきっと危ない人だと思われるでしょう…。

平坦な場所は立ち枯れの数の割りにはナメコは期待に反してほとんど無くまさに徒労に尽きましたが谷沿い近くに行くとススタケも少なくなりナメコも見つかりだしました。




↑ 斜面にも多くの立ち枯れがあり沢を挟んで対岸の立ち枯れにいくつもナメコが見つかりますがススタケに邪魔されて斜面を登るのは想像以上に厳しいです。
さすがにこの状態ではナメコが採れると知っている人間でないと来ようとは思わないでしょう。




↑ 時期的に老菌が多くタイミングとしてはやや遅かった観がありますが、それでも極上のナメコが見つかると苦労が報われます。
気づくと、軽く新規のポイントを探すつもりがドップリと採集に夢中になっていてとっくに昼を過ぎており慌てて車に戻りました。

おかげでナメコは8.91kgの収穫があり新規のポイントとしてはまずまずの成果でしたがマット生産の工場に行くのが遅れて作業がこの日で終わらずに別の日に持ち越しになってしまい何のために臨時休業したのかわからない日でした。

13(金)は定休日で本来なら県東部の里山ポイントで先週確認したナメコが採り頃になっているはずなので行きたかったのですが、この日はさすがにカワラマットの袋詰め作業と運搬にあてたためコケ採りは休みです。
バイト疲れや降雪等天候の具合により翌週の17日(火)の午前中に県東部のポイントへ。
すでに平地まで積雪が下りてきているのでおそらくこれが最後のタイミングになるでしょう。
積雪を覚悟で向かうと、




↑ 「う~ん…。」
すでに車は通行不可に。道路上で積雪は20~30cmあります。
仕方なく車を置いて徒歩でポイントへ向かいます。
山の斜面に入ると膝くらいまで雪に埋まり歩くだけで息が上がります。
果たして前回取り置きしたナメコは中10日経ってどうなっているでしょうか?




↑ どうやら無事のようです。近づいて確認すると、




↑ いい状態に仕上がっています。主観ではもう3日早ければ最高の状態でしたがそこまでわがままは言えません、ありがたく採取します。




↑ 同じ木でヒラタケも採取できました。一本で二度美味しい木です。




↑ 前回幼菌だった別の木のヒラタケも採り頃に。

さて、この日の期待の主は前回初めて見つけた発生木です。
位置があやふやだったので大体の方向で進んでいくと、




↑ 雪と木の濃淡のコントラストにわずかに緑が混じったモノトーンに近い景色に一点だけ暖色系の黄金色が遠目からでもはっきりと確認できます。
もしかしたら花さか爺さんの「枯れ木に花を咲かせましょう。」というのは朽ち木に生えたナメコのことではないのだろうか?などと勝手な推測をしながら近づくと、




↑ 「うわ…。」
声を失うくらい圧巻のナメコです。
全部採れれば10kg超えコースです。
残念ながら上部は届かないので全体の3分の2程度の採取でしたがそれでも7~8kgくらいにはなりました。
また一本御神木の追加です。
積雪で歩くのが難儀で結局ナメコは2本の木で採っただけですがそれでも収量は12.52kg、ヒラタケは5kgと今年の有終を飾る大漁でした。

本来ならこれで今季のコケ採りは終了の予定でしたが、この後目立った降雪がない状態で10日が過ぎた12月27日(金)、今年最後の定休日で天候もこの日から本格的な冬の嵐が襲来する予報となっています。
今度の降雪でいよいよ平地でも積雪となり完全に山はシャットアウトだな…と思うと今日なら先日の雪が解けていてポイントまで行けるかもしれない。
今季不作だったヒラタケを最後に採りたい!という気持ちに負けて雪が降り出した中を前回と同じ県東部の里山へ向かっていました。
あわよくばこの10日間で路面の雪が解けて車で進入できることを願って…。

ポイントに近づくと前回は通れなかった状態の林道に積雪はあるものの1台の車のワダチが残っています。
おそらくジムニーやパジェロミニ等の軽四のSUV系の車だと思いますが、それなら自身の車(デリカ)で進入可能なはずだとデフロックにシフトして突入しました。
新雪ならば問題ない15cmくらいの積雪ですが気温が高かったためシャーベット状になり駆動よりもタイヤがグリップせずに滑って蛇行してしまいます。
いざ突入すると100m進んだだけで一気に積雪も増えて先客の車もそれ以上の走行をあきらめたのかUターンしたようです。
自身もそれ以上の強行は止めて車を降りて前回と同様徒歩で向かうことに。
見ると先客もそこから徒歩で向かったらしく足跡が残っています。
先客は一人ですがこの時期にこんな所に来るということはほぼコケ採りと見て間違いないでしょう。
とりあえず興味本位で足跡を追ってみました。
すると前回はなかったはずの道路横のナラの倒木に立ち寄っています。
この人間がやったのかどうかは分かりませんが枝に裁断された跡があるのでどうやらこの10日間に伐採されたようです。
倒木の周りを歩き回った形跡がありよく見ると樹幹にヒラタケが残っていたのでおそらくヒラタケを採ったのでしょう。
まあ、まさかヒラタケを採るために径50cmほどの大木を倒すとは思えませんが…
道路のすぐ横だったので積雪で倒れて道路を塞がないように前もって処理したのかもしれません。
自身は残っていたヒラタケよりも倒れて折れた樹幹の上部に興味をそそられました。
折れた断面を見るとほぼ心材部がないくらいに朽ちています。
径20cmくらいで芯がほとんどないというのはナラでは極上の朽ち木です。
ただこの日はチェーンソーも手ノコも持っていません…。
折れた部位は長さ1m以上あり重さは水分を吸って20kg以上あります。
とりあえず保留にして先に進むことにしました。

先客の足跡もさらに先へと伸びています。
間違いなくコケ採りでしょう。
しばらく追うと今度は林道横の立ち枯れが複数ある斜面を下りていっています。
足跡はそこを往復して車に戻っていました。
その斜面でコケ採りをしたのでしょうが自身のポイントとは重複することはなく、また他人の後を追ったところで得るものは少ないでしょうからそれ以上は詮索しないことにしました。
自身のポイントとかぶらなかったのが幸いですが、そこから先は処女雪ですから今度は自身の足跡を追われる可能性があります。
まあ、この後はかなりの降雪があるでしょうからまず入山する者はいないでしょうが、用心することに越したことはありません。
直接発生木に向かうのはピンポイントで発生木を教えてしまうことになりかねないので迂回して遠回りするか追えないように工夫する必要があります。

まずは前回も見て全くヒラタケが出ていなかったポイントへ向かいます。
昨年までは複数の木で発生していたのが今季は皆無です。
そこなら後を追われても心配ありません。




↑ 完全に冬の装いでモノトーンの世界へと変貌したポイントの景色。
確認できる多くの立ち枯れにナメコ、ヒラタケの姿はありません。
他の採集者が入った形跡はないのでやはり今季は不作だったのでしょう。
軽く一回りしてあきらめます。
次は前回確認していない発生木ですがこれは道路上面の斜面にあります。
道路からは直接見えませんが下から登るとポイントがばれるのであえて違う場所から尾根線まで登ります。
それから斜面中腹に下りてトラバースしてポイントに近づきます。
斜面は低木に覆われているのでここを横に進むことで足跡が分からなくなります。
本当ならこうやってダミーのルートを作ってから再び尾根まで上りポイントへ向かいます。




↑ 木々の間から見える平地の田んぼには雪はありませんが距離にしてわずかに山に入っただけで積雪量が大きく違います。
結構勾配の急な斜面なので気をつけないとすぐに滑落します。倒木や低木があるところは引っかかるのでいいのですが草しかないところはかなり滑り落ちるので危険です。

後を追われてもこのような斜面を下りたり上ったりすることで疲弊して追う気を失くさせるのです。
まあスキルがある採集者なら足跡を追わなくても入山した場所さえ分かればポイントは探し出してしまうので小細工は通用しませんが、そういう採集者に採られるならまだあきらめもつきます。
その前に自身もかなり疲労するのでこの日はそんな余裕もなく尾根上の発生木と斜面の発生木をそれぞれ一本だけ見るつもりでした。




↑ 前回も見た尾根上の発生木。
前回残しておいたヒラタケの幼菌が生長して採り頃になっていました。

続いては前回見なかった斜面の立ち枯れへ。
昨年も大量発生していた期待の木です。




↑ 雪で分かりづらかったのですが目当ての木に近づくと頭上にヒラタケの大きな株が確認できます。




↑ 発生木の根元付近の回り。全面にヒラタケが出ています。
この木は期待通り昨年同様の発生がありました。
上部のものは届きませんでしたがこの木だけで6kgくらいの収量がありました。
先ほどの収穫と合わせてリュックも一杯になったので撤収することに。

帰り途、行きしなにチェックしたナラの朽ち木があきらめきれず持ち帰ることに。
ヒラタケと朽ち木で合計30kgほどの荷物を持って雪道を歩くのはかなりしんどいです。
まだ道路だったから良かったものの山の藪の中なら持ち出しは不可でした。
なんとか車に辿り着き荷物を降ろすとすごく身軽になった感覚から車近くの雑木林に再び散策に。




↑ 今年の締めとなる冬ナメコを見つけこれをもって今季の全てのコケ採りを終了することを決意しました。
最後の採集でヒラタケとナラの朽ち木までオマケで採れて満足でした。
この日の収穫はナメコ0.5kg、ヒラタケ8kg、ナラ材1mでした。

そして今季の総収量はナメコでなんと、108.74kg

その他の雑キノコで35kgとなりました。

ナメコは突出した収穫を記録しましたがその他の雑キノコはやや不作気味でした。
キノコ界の生態系にもバランスがあってすべてのキノコが豊作ということはないということなのでしょう。
それでも十分満足できる結果となり来シーズンに向けてのモチベーションを維持することが出来るでしょう。
今年も春の山菜に始まりシーズンを通しての材採り、そして秋のキノコと様々な恵みを戴いたことに山の神に感謝いたします。

また、文末になりましたがこの飽き飽きとする店長日記の読者、当店をご愛顧いただきました全てのお客様にお礼申し上げると共に年末年始の挨拶と代えさせていただきます。
2014年も「富山のクワ貧」をよろしくお願いいたします。

               店主; 高橋 敏之