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店長日記

コケ(キノコ)採りシーズン!ナメコ大繁殖!!その1

2013年11月19日



 さて、前回の更新から約1ヶ月強が経ちました。
日記のネタが貯まり過ぎて一気に書くと長文になってしまうのでいくつかに分けて時系列でUPいたします。

季節の移ろいは早いもので10月は3回も真夏日を観測し記録的な残暑となりましたが11月に入って急激に冷え込み13日には富山で初雪を観測しました。先月の12日に真夏日を観測しているのでわずか1ヶ月で季節が夏から冬になったことになります。
以前から春と秋が短く感じると書いてきましたが感覚的ではなく統計的にもそのことが指摘されているようです。
やはり日本は四季の国ですからその季節の趣を味わいたいですよね。

そんなわけで自身は一年で最も山に行くのが多くなるシーズンです。例年通り週に2~3回のペースでブナ帯へ通います。
主な目的はコケ(キノコ)採りですが、現在商品のカワラマットの在庫が尽きかけているので新ロット生産のためにカワラ材(主にブナ)を採るという目的も忘れられません。

さあ、今年もキノコ日記の始まりです。
興味のない方はスルーして下さい。
前回の日記でもだいぶコケの記事が多くなっていましたが今回はこの時期の大本命、ナメコの旬です。
昨年はシーズン収穫量が70kg(下処理後の計量)に達しましたが今年はどうでしょうか?
前回更新後の翌日の10月18日、早速ナメコを探すために有峰方面に向かいます。




↑ この日、早朝には前回に引き続き再び彩雲を目撃しました。この日のは幻日になりそこなった彩雲でした(画像はそれぞれ太陽の左右に現れた彩雲です)。もう少し雲の氷晶が多ければ幻日になったかもしれません。
今年3回目の目撃というのはかなり多い方でしょう。
良いことがある前触れとなることを期待しつつ有峰へ向かいます。

コケ採りも楽しみですがまずはブナ材採取が先決です。
この日は前回B氏と採りに行った産卵用の材ではなくマットにする粉砕用の材ですので菌さえ廻っていればあまり見た目にはこだわらないのでさほど難しくはないでしょう。
以前から気にかけていた場所を探索します。




↑ カワラタケがビッシリ着生したブナ材です。標高1,000m付近になると平地では普通に見られるカワラタケもあまり見かけなくなります。
レアなブナカワラ材をゲットできました。裁断すると朽ち方が一様ではないので粉砕用に回します。




↑ こちらはハカワラタケが着生したブナ材。一見シハイタケと言う方も多くいますが、より大型で乾燥すると下側に巻き込むことで区別できます。菌の特性はほとんど変わりませんのでどちらでもいいんですけどね…。
この材はやや芯があったものの綺麗に朽ちていたので産卵材として適用します。

首尾よく材を採取できたので残った時間はコケ探しに費やせます。
早速、いつものポイントを訪れてみます。
予想通りナメコの姿は見当たりません。
昨年でさえ発生が遅れたのに今年はさらに残暑の影響があるだろうと推測していましたが的中したようです。
しばらくヤブ漕ぎをしながらウロウロしていると、




↑ 辛うじてナメコの幼菌(左画像)がありました。また、ムキタケ(右画像)も見つかりましたがナメコも出ないうちからムキタケの成菌に会うのは違和感がありました。
ここらではいつもならナメコが出始めてからムキタケのはずなんですが…。




↑ 美味なブナシメジですが量が少ないのでスルーしました。
キノコ鍋等、ごった煮にするのであれば量より種類なんでしょうが個人的にはそのキノコ単品で食したいので少量すぎると調理が出来ないので画像くらいの房なら手をつけません。

散々歩きましたが食べるようなコケは採れません。
仕方なく背水の陣で昨年も唯一外さなかったとっておきのポイントを最後に見ることに。
ポイント付近に着くと明らかに誰かが入った後が…
おまけにブナの倒木にはついさっき採ったと思われるようなナメコの痕が…
去年採っているところを不覚にも何人かに見られてしまったしなぁ、と後悔してもあとのカーニバルです。
やはり山に来ている人間は泥棒か山賊だと思った方がいいかもしれません。
悔やみながらも斜面上部の隠れた倒木を見ると、




↑ ナメコの幼菌が出ています。この木は見つからなかったようです。幼菌なので手は出しませんでしたがおそらく1週間後には残ってないでしょうね。
ちなみにコケの周りに見える灰色の細かい粒が何か分かりますか?
そうです、トビムシの大群です。
この時期のコケには大体付いています。場合によっては傘の裏がトビムシでグレーになっています。
これが一番の厄介者で水に浸けても流しても取り切れません。ちょっとぐらい食べたってどうってことはありませんが細かいことが気になる方は初物のナメコは食べない方がいいでしょう。

さて、さらに沢を渡って対岸の隠れた倒木を見ると、




↑ ありました!
今期初のナメコです。やや開ききっていますが初物なので上等です。
ただ、上記のようにトビムシだらけだったのでこれを嫁に渡すと目を三角にされるので自分で処理して醤油漬けにしました。2kgの収量で山菜ビン4本分になりました。


続いて3日後の21日、この日は店の営業があるため午前中のみの行動です。
やはり材集めが優先なのでついでにコケ採りもできることも考慮してヒメオオのポイントでもある利賀方面に向かうことに。




↑ 遅れていた紅葉もやっとそれらしくなりました。

途中、慢性的に置いてある通行止めの看板を尻目に進んでいくと1台の車が…。
近くにはコケ採りの装備をした2人の男性がいました。
やはり来る人は来るんですね。
それを追い越して行き止まりまで行くと、そこから材の目星はついているので材の採取はとどこおりなく終わりました。
この辺りは標高で1,200mを越えていますが有峰でダメならここでもナメコは期待できないでしょう。
ここではナメコ以外の雑キノコ狙いです。
以前モタセ(ナラタケ)の大きな株を見つけた立ち枯れを見に行くと、
「あれ?木がない…。」
倒れてバラバラになっていました。
今年のブナ帯はどうもモタセ以外のコケはハズレ年のようです。
例年なら嫌でも目に付くブナハリタケもほとんど見かけません。
シーズンが終わってみたら今期はモタセだけだった…なんてことにならないか不安です。




↑ それでも昨年と同じブナの倒木でシロタモギタケの株を見つけました。
このコケは以前、天ぷらにしたところ油を吸ってかなりギトギトで胃にズッシリきたのでそれから採取していません。
美味しい調理方法があればいいんですけどね…。

どうもパッとしないのでブナの純林のこのポイントを早々にあきらめて次期本命ポイントであるミズナラ帯に移動することに。
ブナ帯でダメなのに標高を落としたらなおさらダメなような気がしますが、それで昨年裏をかかれたので今年は同じ轍を踏まぬように念のために確認しに行きます。
まあ、見つかればラッキーかな?くらいの余裕の気持ちで向かいましたが、
自身のポイントの手前の道路際に県外ナンバーの車が止まって横でオヤジが二人で弁当を食べています。
そしてその横には採ったコケを入れてあると思われる籠が数個置いてあります。
その瞬間さっきまでの余裕はどこかにスッ飛びました。
「やられた…。」
にこやかに弁当を食べながらこちらを見ている視線が妙に勝ち誇っているように思えるのは自分だけでしょうか?
ましてや普通なら他人に見られるのを嫌って収穫物は車のトランクに隠すものをあえて見えるようにしているのは何でか?
さらに県外(石川)ナンバーというのが火に油を注ぎます。
ここまで来なくても地元で探せば良かろうに。
急に焦って自身のポイントへと林道へ進入しいつもの場所に車を止めようとすると、
なんと先客の車が。
「いったいどうなってんだ…。」
以前はここは春の山菜以外は独壇場でのびのび採取できたのに、今年は妙に競争率が高そうです。
完全に遅れを取った感に敗北感を味わいながらもあえてその車に横付けして止めて準備にかかります。
読者には
「自分の山でもないのにもうちょっと心を広く持って分け合うくらいの気持ちが持てないのか?」
と批判されそうですが自分の山じゃないからなおさらです。
どんだけ自分が先に見つけようが目を付けていようが取ったモン勝ちです。
先に採りに来た人間の一人勝ちです。
お人好しに後から来る人のために分け前を残しておく採集者など皆無です。
クワガタ採集でも山菜採りでも釣りでも同じでしょう?
仮に自分が必要な分だけ採って後は残しておいてもこれだけ採集者がいれば他の採集者が採るか誰かが採らない限りいずれ腐って落ちるのです。
昆虫や山菜は来シーズン以降の発生に影響するため自身も節度を持って採取しますが、それと違いキノコは採り尽しても菌が廻っている朽ち木を損壊(樹皮や表面を削る等)しない限りまた生えてくるのです。
ただ、次はいつ生えてくるのかそれは分からないので先客に採られたから次を待とうなどと悠長に構えているとシーズンが終わってしまいます。
コケ採りはのんびりしたイメージがあるかもしれませんが、こんな山奥にリスクを覚悟で通ってくる一癖も二癖もある人間たちですから簡単に先んじることは困難です。
山に入れば情け無用の仁義なき戦いが繰り広げられているのです。

準備もそこそこにクマ除けの鈴を振り回しながら山の斜面に突入します。
この場合はクマ除けではなく採集者除けです。
存在をアピールすることで無用な遭遇を避けるためです。
中にはそれでもこちらの様子を伺いに来たり、自分の縄張りを主張するかのようにあえて近づいてくるクマよりも面の皮の厚い人間も多々います。
反面、むやみに鈴を鳴らすと良いポイントを見つけたときに他者に悟られる(鈴が鳴らなくなったらコケを見つけたとき)可能性もあるので諸刃の剣です。
とりあえず、どの程度やられているのかを確認するためざっと見て回ります。
全滅を覚悟していましたが自身のポイントはほとんど手を付けられた形跡はありませんでした。
だとしたら鈴を鳴らすのは逆効果なので鈴をしまいます(完全に本来の使い方を忘れています)。
少し気持ちが落ち着いたところでじっくり探し始めます。




↑ やっぱり出てました!それでもかなりしなびた老菌があるということはもっと以前に発生しているということです。
この時期はまだ気温が高いのでコケの生長も早いですが仮に10日くらい前に発生したと考えると平地で真夏日を観測していた頃に出始めたと推測できます。
この後で確信を持ちましたがナメコの発生は絶対的な冷え込み(低温)が必要なわけではなく相対的に一時的な気温の低下があればスイッチが入り、むしろその後の降水の方が生長に大きな影響があることが経験的に分かりました。
この時期は秋晴れの好天が続きやすくせっかく発生しても降水が無く生長できずに幼菌のまま乾燥したり腐ってしまったりしたものを結構目にします。
今年は紅葉がイマイチだったように冷え込みも少なく比較的雨の日が多かったことからこの高温傾向の中でも生長出来たのでしょう。




↑ 降水のおかげでツヤツヤの旬なナメコが見つかりました。
ただ気温が高いので採りごろの期間は短いです。
数日遅れたらもう腐り始めるでしょう。
幸い有峰の初物と違ってここのナメコは早生の割にはトビムシがほとんど付いていません。




↑ やはりここでも例年より早くムキタケが出ています。せっかくなので採取します。
ナメコも成菌を中心に500gほど採ったところでタイムアウトです。
他のライバルがいる中、先に撤収しなければいけない事実に後ろ髪を引かれながらもこのポイントはもう捨てるつもりで帰途に着きました。
ここも今期のナメコポイントとして皮算用をしていたので計画を考え直す必要が出てきました。
果たして今期のナメコシーズンは暗雲が立ち込めたスタートとなりました。
21日現在ナメコの総収量は2.5kg。その他、11.5kg

【数日中に続きの日記(その2)を更新します。しばらくお待ちください】