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店長日記

2012年も終わりですね。コケ採りでまたも奇跡が…

2012年12月29日





↑ 12月10日、店の屋上から北西方向の市街地の景色。
積雪は40cmを超え、断続的に雪が降り続きました。

ついに積雪です。
予想通り当地富山では12月初旬としては異例の大雪となり一時積雪は43cmに達しました。H18豪雪のようにその後も継続して寒波が襲来することはなかったので平地では根雪になることはなく数日後には溶けましたが山は完全に根雪で利賀のナメコポイントも1mを超える積雪となり入山不可となりました。
今季の天候は自身の予想では寒暖の差が大きく寒波の襲来はあるものの長期にわたって豪雪になることはないと思っています。ただ寒暖の差が大きい冬は一発寒波で大雪になることが多く油断は禁物です。

予想外というか予想通りの早い積雪で今季のコケ採りもほぼ終了となりました。
利賀ではまだ回ってなかった手付かずのポイントもあっただけに残念です。
それでも今月に入って一応早期の積雪を想定してポイントの選別を行ってきたのでこれ以上望むべきではないでしょう。

11月までのペースではないものの12月も最終のコケ採りに勤しみました。
先述のように利賀に有望なポイントを残してあったのですが12月に入って平地にも雪が下りてくるといよいよナメコも里山近辺の標高的に最下方のポイントが旬になってきます。
利賀も気になるのですが山間部は積雪のためにだいぶ入山が厳しくなってきていますのであえてリスクを冒すよりも確実なポイントを選択した方が利口でしょう。
そんなわけで先月末にコケの発生を確認した県東部方面に移行しました。
里山とは言うものの先月下旬に降った雪が根雪状態になっているため車での進入が懸念されます。
今月始めの3日(月)は予報では気温が10℃以上まで上昇する予定だったのでチャンスを逃さず山に行ってきました。



↑ この日のポイント付近。やはり山は根雪になっています。
このポイントは昨年も採っている実績のある場所なのでナメコ、ヒラタケ共に期待が持てます。
地面は雪で覆われていますが山道を歩いていると暑いくらいです。やはりコケ採りは気温5~6℃くらいがベストですね。



↑ 早速、ほど良い大きさのヒラタケを発見。



↑ 雪が積もってからのヒラタケは生長が遅くなるものの肉質も厚く締まっていて色つやも最高です。

幸先の良さを予感しながら早速採取して次を探します。
急斜面の横の尾根線を歩いていると斜面下の立ち枯れの樹幹にコケらしきものが見えます。はっきりとは見えませんが遠くからでも樹皮からボコボコと出っ張っているのが分かるということはヒラタケで間違いないでしょう。↓


デジカメのズームで撮影するとやはりヒラタケです。


↑ 近づいて見ると傘幅20cm超の大物を含め予想以上の群生ですが斜面上から見下ろしているのと異なって足元からは発生部位が高すぎて手が届きません。
こんなときは付近で適当な2~3mの枝を拾い先をカマで削ってヘラ状に加工してコケをこそぎ落とします。
ナメコと違ってヒラタケは石付きががっちりと樹皮に張り付いているため結構大変です。
大物は落下の衝撃で割れたりしましたが拾い集めると届いた範囲のものだけでも5kgくらいになりました。もう少し生長を待って全て採れば10kgオーバーも見込めたでしょう。

早くもデイパックがヒラタケで占められた状態になりましたが、そのままナメコを探します。材割り採集時は小型のデイパックで十分ですが山菜やコケ採り時には現在の容量15リットル程度では小さすぎます。
本格的な山師だと20~30kg近くもの収穫物を担ぐらしいので自身はまだまだ及びません。

元の尾根道に戻り昨年もナメコを採集した木を探します。



↑ 予想通りナメコは出ていましたが昨年ほどの群生ではありませんでした。
気を取り直して別の取り置きの発生木を見に行きます。



↑ こちらは期待通りの大群生。ヒラタケも出ていますがまだ小ぶりです。



↑ 裏側の根際付近。まさに採り頃のナメコとヒラタケが共生しています。




さすがに根雪の山では陽の当たらない木の裏側に生えているナメコの表面はシャーベット状に凍っており雫もツララになっています。
この木に今季再度来れるかどうかわかりませんが幼菌はとりあえず残して状態の良いものだけを採取しましたが、それでもナメコだけで3kgくらいはありました。

一通り取り置きの木を見て回ったので少し足を伸ばして奥の斜面の方も見てみることにしました。
さすがに利賀のような標高の高いポイントではないのでナメコの発生木は多くありませんがカシナガによる立ち枯れが多くある以上、数をこなせば必ず見つかります。あとは時間と体力の問題ですね。
しばらくウロウロして戻ろうかとしたときにやはり見つかりました。
遠目にはたいした群生には見えませんでしたが近くで改めて見ると驚きです。



↑ 画像だけでは伝わりにくいですが、出ている全てのナメコが極上です!一部が極上というのは良くありますが全てです。


↑ 左画像は10cm級の大型で若いナメコの群れ、右画像はマツタケのように柄が10cmほどに伸びた肉厚の株。どれにしても古くなって開いたり徒長したものと違ってまさに肉厚でベストの状態です。
それもこれだけバラバラに発生していれば幼菌や老菌が混生しているものですがほぼ同時期に発生したのか全てが採り頃です。
以前、五箇山方面のポイントで見つけた超大型ナメコと同様にこの木のナメコは周辺で採れるナメコとはまるで異質の菌種のように思えます。
今まで何百本という発生木を見てきましたがこれだけ粒揃いの木は唯一無二です。
この木で2.5kgほど採れ一部をその日に食しましたが、やっぱり他のものとはひと味違いました。


↑ 径10cm級の肉厚のナメコはひと傘で64gもあります。これが2つで市販のナメコの1パック以上の重量があります。どれくらい食べ応えがあるか想像できますか?

ブナ帯で採れる早生のナメコもそれはそれで山の香りがして味わいがありますが、冬期に採れる晩生のナメコは雪や低い気温にさらされるため旨みが凝縮して絶品ですね。
ヒラタケも同様に冬場のものは寒茸と呼ぶ地方もあり早生のものと区別されるくらい見た目も味も異なります。



↑ 極上ナメコに満足して帰路の途中に見つけた別のナメコの群生。やや老菌気味で極上ナメコを採った後では食指が動かずスルーしました。
この日の収穫はナメコ6kg、ヒラタケ7kgでした。

さて、3日後の6日は定休日の前日で天気もイマイチでしたが翌日からさらに天気が荒れそうでしたので前倒ししてコケ採りに県東部のポイントへ。
この時期になると常にこの日が今期最後の採集になるかもしれないという覚悟があるので惨敗するわけにはいきません。
そんな思いもありこの日は確実にナメコが発生している取り置きの立ち枯れを見に行きます。
じつは、この木は昨年オオクワの材割り調査時に偶然発見したナメコの発生木で大群生でしたが発生時期が遅く成菌になりきる前に採取してしまいその後は雪に閉ざされて訪れることができなかった木です。
今期は同じ轍を踏まないように発生が早まっていることを願いながら向かいました。
幸いにも3日前に残っていた雪もだいぶ溶けています。


着いて見ると期待もむなしく発生はしていますがまだまだ幼菌です…。



↑ 左が今年の12月6日、右が昨年の12月7日の様子。このところの冷え込みで残暑の影響による発生の遅れは取り戻しましたがやはり昨年と変わりません。
あきらめて他の木を探しますがこのポイントは広葉樹の面積が少ないためあまり期待できません。



↑ それでも程なく少量のヒラタケをゲット。

さらに急斜面を歩いていると、


↑ 細い立ち枯れの上部にプリプリのナメコを発見。
しかし画像でも分かるようにこの木は急斜面に斜めに突き出した状態で、木に辿り着くのもやっとです。木の下は高さ30mほどの崖に近い急斜面でつかまる低木もなく滑ったら間違いなく下まで転がっていくでしょう。
以前の利賀のパラダイスを見つけたときよりさらに危険です。
あきらめきれずにとりあえずカマと拾った枝で木にしがみつきながらなんとかナメコを落とします。
その後、地面に露出した雑木の根につかまりながら拾い集めました。こんなことなら車から安全帯(命綱)を持ってくるんだったと思いながら手が滑って滑落したら「キノコ採集の男性死亡」という記事で載るんだろうか?せめて職業上、昆虫採集の方がマシかななどと考え、命を懸けてまで採らなければいけないものでもないのでこれからはリスキーな行動は慎もうと心に決めて慎重に採り終えることができました。



その後、近くでさらにナメコを発見。


↑ 左は上部画像の木の裏側の群生。やはりシハイタケと共生しています。右はアップの画像。ツヤツヤで非常に状態も良好です。
狙っていた木では採れなかったものの別の木で代わりの収穫がありこのポイントを後にしました。後日、機会があればもう一度訪れるつもりです。

時間があったので3日前に訪れた場所の近くの別のポイントへ行くことに。
ここはちょうど一年前に材割り調査で訪れ結局コケ採りをしたポイントです。
じつはその時に愛着のあった大事な手オノを紛失してしまい春に雪が解けたら探しに来ようと思いながら結局来ずじまいで一年が経過してしまいました。
そのことを忘れていたわけではありませんが現場について改めて思い出しました。
しかし起伏の多い広い斜面の雑木林のどこで落としたとも分からない手オノを探すことは不可能だと探すことはほぼあきらめていました。
そこで着くなり早速コケ探しです。
昨年も何本かでナメコとヒラタケを採っているので多少は採れるでしょう。



↑ 当日のポイントの様子。時折吹雪となる天候でした。そういえば昨年、一昨年の同時期に来たときも同様の天気でした。
これがその年で最後のチャンスという天候が荒れる直前に来るので当たり前といえば当たり前ですが…。



↑ すぐに昨年と同じ発生木でやや開いたナメコをゲット。



↑ 昨年は出ていなかった木にもナメコを発見。高すぎて一部のみの採取。

一通りウロウロしましたが思うような量のコケは見つかりません。
アラレ混じりの吹雪も時折ひどくなるのでもう撤収しようと車に戻っているときに良さげなコナラの朽ち木の落ちた枝を見つけて裁断し持ち帰ろうとして、ふと上を見ると前方の木にヒラタケが。


↑ 今日一番の大きな株が2株あります。大きなものは20cmくらいありこれだけで3kg超はあるでしょう。
高さが3mほどの所なので木が二股になっているところに登って手を伸ばしてカマで切り落とすことにしました。


↑ 二股になっている部分に登りました。
首尾よくヒラタケを落としてこれで良し!と、股の部分から地面に飛び降りると靴のすぐ横に何やら木製の柄が…。



↑ この状態です。なんか見覚えがあるな…。
「あっ!!!俺のオノだ!」
思わず声が出ました。


↑ 他人にはたいして感動的なことではないでしょうが自身にはまさに奇跡でした。
どこで落としたとも分からない手オノがこんな形で見つかったのは偶然ではなく必然としか思えませんでした。
画像を見ても分かるように雪に覆われているところも多くあり、ましてや丸一年も放置されていたのだから雑草や落ち葉に覆われていても不思議ではありません。
残念ながら金のオノではなくサビだらけのオノになっていましたがわざと目立つようなヒラタケで自身を呼び寄せて山の神が見つけさせた粋な計らいだと思わざるを得ません。

昨年も新潟の妙高で落とした携帯電話を3日後に発見(みぞれや雪の中で水の浸入もなくバッテリーも残っていました)できた不思議体験がありましたが、そのときは大体の場所は推測できましたが今回は落とした場所自体記憶にありませんでしたのでまさに奇跡でした。
縁があって一年ぶりに戻ってきた手オノですのでしっかり研いでメンテナンスして来期からまた活躍してもらいます。
最後に思いがけない出会いが会ったことに山の神に手を合わせてこの日は帰途につきました。
この日の収穫はナメコ6kg、ヒラタケ4kgと値千金の手オノでした。

さて、その翌日からは予想通り冬型の気圧配置が強まりこの時期としては異例の寒波となり富山市内でも10日には一時43cmを記録する大雪となりました。
市街地はじきに溶けるからいいのですが里山でも完全に根雪ですので下手をすると今期はこのまま終了になることを覚悟しました。
しかし冒頭でも書いたように今冬は一発寒波の傾向があるためその後は寒波が継続せずに1週間後には平地ではほとんど雪も溶けたので、今度こそおそらく最後の入山になるだろうと17日に再び先日のナメコポイントに行きました。
前回は幼菌だったためにそのまま取り置きしましたが今回採取しなければもう入ることさえできなくなるでしょう。
ポイント近くの林道に入るとやはり相当の残雪というより根雪になっています。



↑ 誰も入っていない崖の横の林道は積雪30~40cmほどでカモシカの足跡が残っているだけです。
これだけ積雪があると、もう1回降れば完全にアウトでしょう。
林道横が急斜面になっているので所々小規模な雪崩も起きています。気温が上がったときは注意が必要です。



↑ 取り置きの立ち枯れに着くと、やや小ぶりながらも成菌に生長したナメコが迎えてくれました。右の画像では凍って解けてを繰り返したために表面がシワになっているのが確認できます。
全て採取した後、もう一ヶ所のポイントへ行くためにすぐに車に戻りました。

もう一ヶ所といっても新規のポイントなのでまだ見たこともありません。地形図でだいたいの様子の見当はついているので行ければ少なからずコケは採れるでしょう。
しかし、この時期の新規開拓はやや無謀だった観があり案の定、林道は積雪で通行不可でした。
仕方なく先日行ったポイントの周辺で新たなポイントを探すことにしましたが、こちらも林道上には積雪が…。
車のギアをスーパーLOWにして行けるところまで行ってスタックしたところで誰も来ないだろうから路上に乗り捨ててあとは徒歩で向かいました。



↑ この日周ったポイント。雪は膝近くまであり歩くことさえ難儀ですが、視界は良好なのでコケ探しにはもってこいです。
細い木が多いですが所々に大径のだいぶ朽ちた木があるポイントです。



歩き始めて間もなく雪の重みで落下したばかりのヒラタケの生えた枝を発見。枝自体も断面を見る限り産卵材として良さげな感じですが裁断しても車まで運べそうにないのでコケだけ採取。

さらに進むと、



↑ ナメコの群生です。左右の画像共に同じ木の裏表です。全部で7~8kgくらいにはなりそうな大群生ですが残念なことにやや老菌気味なので、しょう油漬け用に一部を採取しただけで大半は手をつけませんでした。
前回、ここを探さなかったことを後悔しましたが来年の楽しみにしておきましょう。



↑ 偶然一部が雪の上に出ていたので発見できた雪に埋没した倒木上のナメコ。掘り起こすと出てきた文字通り絶品の雪割りナメコ!



↑ 斜めに倒れかかったコナラの朽ち木の裏面にビッシリ生えたヒラタケの群生。
もう少し生長すれば全部で10kg以上になるでしょう。ヒラタケはこのような採れ方をするので一気に収量が増えます。



↑ 別のヒラタケの群生。さすがにこれだけ冷え込んでくるとヒラタケの発生もピークになってきます。

コケを入れる袋もなくなったので撤収することに。
この日もナメコ6.5kg、ヒラタケ8kgの収穫でした。今年も春の山菜から今まで多くの恵みをありがとうございました。
また、来期もお邪魔させてもらいます。

さて、この後は案の定クリスマス寒波の到来で富山でも12月としては45年ぶりという様な最低気温を記録するなどさらに冷え込みが増したため入山は自粛することにしましたが、先月店長日記にも書きましたがB氏とともに採取してきて倉庫に保管していたケヤキ材を見たところ見事なヒラタケが発生していました。





↑ 裁断した物理的なショックで一斉に発生したのでしょう。見事な株で下画像ではコケの柄がエリンギのように極太なのが分かりますか?
屋内で雨や雪にさらされていないため水分は多く含んでいない状態でも6kgほど収穫できました。コケもさることながら、このケヤキ材がいかに優れたヒラタケ材であるかが分かると思います。
ヒラタケ材は人工培養でもほとんど販売されていないので貴重です。

さて、今期を振り返って結局コケの総収量は
ナメコが69.7kg、ヒラタケ・ムキタケ・ナラタケ等の雑キノコが約50kg
と、大豊作でした。
要因としては、カシナガの食害による立ち枯れの発症が確認されてから7~8年(ピークから3~5年)経過して腐朽が進みコケの発生木が増えたこともありますが、今期はタイミングを外さなかったことが一番でしょう。
残暑の影響で発生自体は遅れたので心配でしたが、そのことを考慮したポイントの選択がまさにベストだった(自画自賛)ので無駄足になることが少なく収量を稼ぐことができました。
キノコに興味のない読者には退屈な日記が続きましたことをお詫び申し上げます。
来年も日記に関しては乱筆雑文となりますが、その辺はご愛嬌にてご承諾いただけると幸いです。

それでは2013年の皆様のご多幸と当店の商売繁盛を願いまして今年の日記の締めとさせていただきます。
今年も一年ご愛顧いただきましてありがとうございました。
また来年もよろしくお願いいたします。