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店長日記

寒中?

2012年01月20日





店の屋上から撮った夕焼けに染まる立山連峰。

暦の上では大寒だというのに富山では市街地の雪がほとんど消えて暖冬を思わせる景観です。
先月中旬頃からすっきりしない北陸独特の天気が続いていましたが今月は中旬になって晴れて青空が拝める日も結構あります。
この時期は立山がすっきり見えるのは希少で先日たまたま夕焼けに染まってピンク色になっているのに気づいて撮った写真が↑です。
あいにく市街地の建物や電線が邪魔ですが、河川の堤防等では立山の全景が見れてとても綺麗です。
個人的には4月から5月にかけてふもとが新緑に覆われる頃の雪の立山が一番綺麗に感じます。

さて、そんなわけで今季は雪が少なく感じますが調べて見るとそんなことはなく1月15日までの累計降雪量は2m超で大雪だった昨年と現段階ではさほど変わりません。今季は降っては解けてを繰り返しているので体感的に少なく感じるのでしょう。
ただそれも今のうちだけで来週から来月にかけては強い寒気が南下しそうで再び大雪になりそうな気配です。

この時期に雪の無い日は貴重なのでフィールドに出かけようと思ったのですがさすがにオオクワポイントは1mほどの雪に埋まっていますし利賀方面のポイントは2m超の積雪でどうにもなりません。
結局、平野部しか行けないので10日に雪の少ない石川県にエノキのカワラ材を探しに行ってきました。



この時は富山ではまだ雪が残っていましたが石川のこの付近の雑木林は全く雪もなく林床も確認できますが、逆に雪が少なく下草が完全に倒れていないのでブッシュで歩きにくいところも多くありました。
昨年から何回も足を運んでいるポイントですが昨季は藪がひどくて入れなかった場所を中心に探しました。



↑ヤケイロタケが発生したエノキの立ち枯れ。キノコは付いていますがまだまだ腐朽が若く使えるには2年程度かかるでしょう。それまでこの状態で残っていればいいのですが…。



↑シハイタケに被われたエノキの立ち枯れ。この材は部分的には最高の朽ち具合でした。シハイタケやカワラタケは年中見ることができるため夏のキノコというイメージがありますがこれらのキノコも発生するのは実は冬から春にかけてが多いんです。



↑コフキサルノコシカケで朽ちたエノキ。
このキノコで朽ちた材は他の菌の侵入が少ないので比較的拮抗線等が少なく綺麗に朽ちるのが特徴で、この材も断面は綺麗だったのですが惜しむらくはもう少し柔らかければベストという感じでした。

このようにエノキの立ち枯れは探せば見つかるのですがやはり思ったような材は先ほどのシハイタケの生えた材の一部だけでした。ただ意外にも倒木で状態の良いものが1本見つかったのはラッキーでした。倒木の場合腐朽が進む過程でクワガタやカブト、タマムシの幼虫によって食痕だらけになるものが大半です。




上記のコフキサルノコシカケで朽ちた木の近くの別のエノキの立ち枯れに生えたエノキタケ。エノキに生えるからエノキタケという説もありますがエノキタケが見つかる頻度はそれほど高くありません。もちろん可食で美味ですが今回は一食分にも満たない量だったので採りませんでした。

その6日後の16日は富山でもだいぶ雪が解けて市街地ではほとんど地面が見える状態だったので少し山寄りの斜面に行くことにしました。
目的は一応ヒラタクワガタの幼虫採集ですがエノキ材採取とヒラタケ採りも兼ねています。というのも狙いは昨年見つけたエノキの倒木なのですがヒラタケの発生木で根部からはノコギリやヒラタの幼虫が採れ、材も程よく腐朽していれば産卵材として利用できるというまさにオールマイティに応えてくれる取って置きの材なのです。
さすがに市街地と違って標高は高くありませんが山に近いせいか地面は雪に被われています。誰も通らない農道に進入すると意外と積雪があり危うく田んぼに車を落とすところでした。



↑が、その倒木で2本並んで倒れているうちの1本です。
切断面や切れ目があるのが分かると思いますが昨年自身がチェーンソーで切った跡です。腐朽が浅いのでそのまま取り置きしていました。

まずは周りの雪をどかしてヒラタケを探すと幹の上には生えていた跡はありますがキノコ自体はありません。どうやら他にも採集者がいるようです。たぶん地元の住人でしょうがヒラタケは採られていました。
もう少し早く来ていれば…と思いながらも丹念に横の雪を除いて見てみると、



ありました!先の採集者があまり真剣に採らなかったのか採り残しと、今から生長する幼菌も生えていました。



この倒木には他にもビッシリとミイロアミタケや↑画像のコフキサルノコシカケも生えています。

まだヒラタケがあるんじゃないかと根部の近くの木の裏側に頭を突っ込んで見て見ると、





採り頃の群生とビッシリ生えた幼菌も発見!
泥だらけになりながら木の下に潜って採るとなんとか3kgほど収穫できました。
採られていた後の割りには上出来です。
しばらくしたら幼菌も採り頃に生長するでしょう。次回は先を越されないようにしたいところですがこの先大雪の予報もあるので来れない可能性もあります。

ヒラタケを採ったところで次は幼虫の材割りです。
ヒラタもノコギリも幼虫がいるのは根部なので幹本体は割らずにむき出しになった根っこを割ります。



ほどなく画像の2齢幼虫を始め数頭のコクワっぽい3齢幼虫が出てきましたが、根部の周りにもヒラタケの幼菌が出ていたため現状ではそれを温存するため割るのをやめました。
春になってヒラタケの時期が終わった頃に改めて材割りします。

材の腐朽具合はどうかと見てみるとさすがにこれだけの径があると1年やそこらではさほど状態も変化がなく時期的にも積雪のせいで水分をかなり吸っている状態でしたので、こちらも雪が解けてある程度材が乾燥してから再び確認することにしました。

さて、この倒木を後にして次は別の立ち枯れの様子を見に行きました。



画像のエノキの立ち枯れを目指して林内に入ると結構積雪があります。
近づいて見ると、



この木もヒラタケが生えていましたがほとんどが採られていました。樹皮が剥がれて白くなっているところが採られた跡です。
ヒラタケはさっき採れたのでまあいいかと思い腐朽具合を確認するとやはりまだまだ若いです。あと2年はかかるでしょう。
さらに付近の別の取り置き材を見に行きます。



昨年裁断して寝かしておいた材にビッシリとシハイタケが生えています。径も15cm弱なので今すぐはまだですが今年の秋から来年の春にはちょうどいい朽ち具合になるでしょう。

残すは最も期待している立ち枯れですが、


昨年見つけたときよりも根部のコフキサルノコシカケが生長していて幅で50cm近くになっています。腐朽具合を確認するために地上1mくらいのところに手ノコを入れて見るとやはり大径のせいかまだ若い部分があるようです。
かといって根部付近にはクワガタの食痕も確認できるのであまり放置しておくと雑虫によって材自体が食痕だらけになってしまうので今期には切らないといけないでしょう。

根部にどの程度雑虫が混入しているか確認するため土中の根を割って見ようとしたら、






落ち葉が被って見えなかったのですが重なって生えた大きな天然のマンネンタケ(霊芝)を見つけました。
昨年に生長したもので水分も含んでおり色がくすんでいますが間違いありません。
漢方薬として珍重されるいわゆるレイシですが市場のものはほぼ栽培品で天然物は極めて希少です。
自身も数年ぶりの発見で今まででもトータルで4~5回くらいしか見つけたことがありません。
縁起物でこれは年明けから幸先が良いと遠慮なく採取しました。乾燥後に粉砕してクワガタの添加剤や万病の予防にキノコ茶として飲用に使用します。

この日は材の収穫はありませんでしたが、ヒラタケと予想外のマンネンタケが採れたことで満足しました。
このポイントは自身と波長が合うのかブナ林と同様に訪れると気持ちが落ち着き癒されるだけでなく様々な収穫にも恵まれて感謝しています。
複数のエノキの取り置きも今後数年に渡り様子を見ていく予定なのでしばらくはお世話になるつもりです。

さて、今年もやっぱりコケ採りからの報告になりましたが、この後は天候次第で大雪になればしばらく冬ごもりですがどこかに出かけることが出来ればまた報告します。