クワガタ、カブトのオリジナル用品をメインに生体も販売!
since 1998

店長日記

ナメコ!ナメコ!

2011年10月28日





霧に煙るブナ林



霧に濡れる落ち葉

風情がありますね。
錦秋もいいけれど色彩のない霧中のブナ林も秋のはかなさを感じさせます。

というわけで3週連続で有峰に行ってきました。
目的はほぼナメコ採り、あわよくば産卵用のブナ材が見つかればいいかな…という感じです。林道を車で走っていると下界は曇天でしたが標高600mくらいからガスがかかってきました。どうも今年は天候に恵まれません。
まあ、目的のポイントは決まっているし雨が降っていないだけマシか、と妥協しました。

ところが標高1000mを越えた辺りでスーっと霧が晴れて雲上の世界へ。
まさにコケ採り日和!これは運が向いてきたかな?と思いつつ第一のポイントへ。




紅葉もすっかりピークを過ぎ色が付いているのはナナカマドの赤い実と枝に残った茶色の葉だけになりました。

ここはヒメオオの材割りをした場所の近くで先週ナメコの幼菌を見つけてそのままにしておいたポイントです。沢沿いで先週は上から降りてこようとしたのですが滝があって下りれなかったので今日は下側からアタックです。落ちても死ぬような急な斜面ではありませんが足元が滑って危ないです。なんとか目的の倒木に着くと




予想通り採り頃のナメコをゲットです。おまけにブナシメジも一緒に生えていました。
ただ、ここのナメコは傘の裏にかなりトビムシが付着していました。細かくてピョンピョン跳ねるやつです。時期や場所によって付いている時と全くいないときがあります。あまりひどいと持って帰ったときに嫁に文句を言われるので一つ一つ虫を払い比較的綺麗なものだけを採取しました。

せっかく登ったのだからとさらに標高をかせぐと尾根線に出ました。これ以上登ってもいいポイントはなさそうなので車まで下山。
朝一から登山まがいは体力を消耗します。
ただ有峰もこれが今期最後の予定なので体力の限り思う存分探すつもりです。
本命のマイポイントに向かうまでにあっちこっちで車を停めては沢や斜面を登って探しました。




ナメコではなくムキタケの生えていたブナ材。ムキタケは鍋物やおでんにすると美味で最高です。この木以外でもこの日はそこそこ採れました。




↑ブナばかり見ていましたが以外にもウダイカンバの倒木に発生したナメコの群生。道のすぐ近くでしたが意外にも誰にも採られていませんでした。




↑ブナの腐朽菌でおなじみのツリガネタケ。通常は立ち枯れや倒木の樹皮に側生しているのですが画像のツリガネタケは珍しく釣り下がっていてまさに釣鐘のようです。

さて、寄り道をしながらも本命のマイポイントに到着すると先週ナメコの幼菌を見つけて取り置きしていた付近の路上に別の車が止まっています。
「まさかな~すぐどこか行くだろう。」と思いながら自身は少し手前に停車して、まず上方のポイントから見てみることに。
先週S氏と共に見つけたナメコの幼菌を見に行くと、
「ないっ!」
きれいに採られています。切り跡から推測すると2~3日前でしょうか、おそらく週末あたりに採られたのでしょう。そう言えば先週も付近に足跡が付いていたので間違いなく誰か入っているのでしょう。去年くらいまではまず誰か入っているような形跡はなかったのですがここも他人に知られたようです。
元々このポイントはナメコではなくブナの良材を採るためのポイントなので材が持っていかれない限り特に気にしませんが…。

材の様子を見てから今度は別の車が止まっているポイントへ歩いて向かいます。
嫌な予感をしながらも近づいていくと年配と中高年の男性2人が路上で弁当を食べています。
「こんちは。」と声を掛けると
「ご苦労様、(コケは)採れたけ?」と聞いてきました。
「なーん、誰かに採られとっちゃ。なかったわ。」ひょっとして分かっててわざと聞いているのか?と思いながらも
「もしかしてここの下は入ったけ?」と聞き返すと
「入ったよ。」
「ナメコ採ったけ?」
「採ったよ。」
やられた!…わずかに先を越された。
「先週見つけて小さいから採らずに置いといたんだけど。」と悔しさをにじませながら言うと、
「もう、採りました。」と別の一人が勝ち誇ったように言いました。
マジで、はがやしい!ムカつきながらもこのまま引き下がるわけにはいかないと、あえてその場所に斜面を下りていきました。




↑ポイント付近の斜面。道路からは低木のせいで下は見通すことは出来ません。

下りながら思ったのですが先週までここは誰かが入った痕跡はなかったはず(先週は手付かずのナメコが採れている)なので、もしかしたら先週止めていた車の場所をチェックされたかなと考えました。
公共の山でここは自分のポイントだと主張するわけにもいかず先に入ったもん勝ち、情け無用すなわち採ったもん勝ちなのは言うまでもないので他人に採られたくなかったら人より早く採るか人にポイントを知られないことを願うしかないのです。
そう考えたらすぐ近くに車を止めておいたのは安易だったかもしれません。ここがポイントだよ、って教えているようなもんです。
俺が先に見つけたんだ…という思いをこらえながらその倒木に着くと案の定採られたばかりの跡が残っていました。
このまますごすごと引き返すわけにはいきません。

気乗りはしませんがさらに下を目指すしかありません。ここは林道から標高差150m以上ある谷です。下りていったら登って来なくてはいけないし、かなり急な斜面もある上にクマと遭う可能性も高いです。




↑上方から斜面の下方を見て倒木を探す。この画像内だけでも倒木が何本も確認できます。

幸いこのポイントは下りていくとさらに多くの倒木が見つかりました。
さっき採られた倒木からわずか数分で折れたブナの大木の株を発見しました。↓




倒木の横に回ると、




「っ!!!あった。」
よっしゃ~と声をこらしつつ、気配を消すためにクマよけの鈴の音をならないようにしました。ここに留まっているということはコケを見つけたんだ、と上の二人にさとられないためです。
静かに確実に採り終えるとさらに下を目指しました。やがて最下部の沢が確認できるところまで下りたところで引き返しました。




↑引き返す途中で重くなったリュックを背負い息が上がってバテたところで見つけたナメコ。傘にモミジを乗せた姿に癒されました。

林道までやっとの思いで戻ると先の二人の姿はなくなっていました。成果を言いたい反面、言ったり見られたりしたらまたポイントを教えるようなものなのでいなくなってて良かったのでしょう。

その後、周辺の斜面を散策していましたが上方に見えるブナの倒木に向かおうとしたところ上方からクマらしきものが下りて来るのが確認できたのであきらめてその場所を後にしました。
帰り際にも必ず通る林道のすぐ近くで死角のため今まで全く気付かなかったブナの倒木で大量のナメコを採取することができました。
結局、なんだかんだでナメコを始め他のコケを含めこの日は7~8kgの収穫がありました。
1回の収穫量としては自己最高となり今期最後の有峰で有終を飾ることができました。
また来年訪れた時もよろしくお願いします。