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店長日記

キノコ日記⑦(‘14.11.21 & ‘14.11.28)&more

2014年12月25日





↑ ‘14.11月28日、立山周辺にて撮影。
初冬には珍しい抜けるような青空と立ち枯れのコントラストに飛行機雲が映えています。
日本海側では冬場は極端に晴れの日が少なくなり、まれに降雪時の後に綺麗な青空と新雪の山並みを見ることはできますが山の中から青空を見ることは冬山登山でもしない限りできません。
そういう意味では雪解けの山菜狩りの時期までこの景色はおあずけです。

キノコ日記が続く中でちょっと違う話題を。




↑ 何か分かりますか?

シシャモです。
「見れば分かるよ」って言う方、ホント~にわかりますか?
これは正真正銘ホンモノのシシャモです。
じゃあ偽者のシシャモって何?と言う方、あなたが普段食べているシシャモはほぼ偽者です。
一般的にシシャモとして市場に出回っているものはほとんどが正式名称「カペリン」という全く別の魚で、とどのつまり他人の空似です。
北海道出身もしくは通の方はご存知だと思いますが本物のシシャモは11月前後のわずか1ヶ月だけ北海道の一部でだけ獲れる希少な魚なのです。
そして画像のシシャモは3大産地と言われる一ヶ所の釧路港で獲れた中でも今期最高と言われるもので先日もサンマを紹介した時と同様に自身の後輩であるS.A氏に厚意で贈っていただいた商品です。
食通の間では鵡川(むかわ)のシシャモが有名で「鵡川のシシャモ」は加工を含めて商標登録されているブランドです。
ただ、釧路市民の誇りと名誉にかけて代弁させていただくと鵡川のシシャモの多くは釧路産が使われているということです。
過去はいざ知らず現在では鵡川では釧路の10分の1ほどしか水揚げがありません。
そんな実情の中で釧路産を買い付けて鵡川で加工して鵡川のシシャモができています。
別に釧路が鵡川の後追いをしたのではなく北海道では昔から各地で初冬に軒先でシシャモを干して食する家庭の食材だったのです。
そういう意味では鵡川を批判するつもりは毛頭ありませんがブランド化することなく今でも地元の味として愛している釧路市民の人の良さが分かりますね。




↑ 昭和ながらの簾干しの象徴的な景観を今でも継続している釧路市内の某店の店先。




↑ 送っていただいたシシャモの販売元である釧路市民の台所「和商市場」内にある「柿田商店」。
この店の目の利くプロが選ぶシシャモに外れなし、とS.A氏談。




↑ 軽く炙ったシシャモ。
小ぶりなのがメスで大きいのがオス。
ちなみに味はというと、チェーン店の居酒屋で酔っ払いながら知らずに食べたら通常のいわゆるシシャモと分からないかもしれませんが意識して食したら、あえて両者を食べ比べなくても違いは歴然です。
特にオス!
メスを好むのは素人、通はオスを食べると言われるほどオスの身は絶品です。
普通のシシャモのようにパサパサの食感のイメージでひと口かじったらそのジューシーさに思わず口から身汁がこぼれてしまいました。
その加工の技を含めて素晴らしい食材です。
プラシーボ効果もあるかもしれませんが、こだわりという調味料は素材の味を自分自身の中で何倍にも高めてくれます。


閑話休題、キノコ日記に戻ります。
11月21日(金)、この日は17日と同様に立山周辺のポイントに向かいます。
4日前はいつものポイント周りを中心に探して極上のナメコが多く採れた割りには収量は思ったほどではなかったのでこの日は目を付けていた別のポイントを開拓することに。
例年、初めての積雪を記録した後のこの時期は自身が呼ぶところの今までのものより収量は落ちますが味も色も濃厚な「冬ナメコ」が採れるので今回はそれが狙いです。




↑ 立ち枯れの乱立するポイントの斜面を登ります。
この辺りのポイントは斜度や立ち枯れの量は県南のポイントのそれと変わりありませんが、斜面に繁茂するネマガリタケやササの量が半端じゃありません。
下手をすると四肢が思うように動かせないだけでなく数メートル先に行くのに大回りして行かなくてはいけないことも多々あります。
わかってはいるのですがなかなか前に進まないのと、樹幹上部にはポツポツとあるものの思ったほどナメコが見つからないのにイライラがつのります。
この状態で再びクマに出会ったらこっちからケンカを売るかもしれません。




↑ やっと見つけるも老菌でスルー。




↑ だいぶ上ったら少しは見つかりましたがやはりほとんどが老菌で冬ナメコどころか幼菌すら見つかりません。




↑ だいぶ標高をかせいだおかげで富山市街が見える眺望を拝むことができました。
周りをヤブに囲まれているせいで下を見ても何処から登ってきたのかさっぱりわかりません。
もちろん方角と周辺の地形は頭に入っていますが万一滑落して骨折しようものならこのヤブと林道までの距離を考えたら遭難は必至でしょう。
これ以上登ってもあまり期待はできそうに無いのでトラバースしていつものポイント方面に移動することにしましたが4日前からさほど状況も好転しておらず新たな発生もないのでここはあきらめることに。

どうやら今期は発生が早かったせいで冬ナメコが出てくる以前に発生自体が終了した可能性が高いようです。
また降雪はあったものの依然気温が高い状態が続いているのも要因でしょう。
例年なら今くらいには氷結した冬ナメコがあるものですが雪もなければ乾いて萎びた老菌があるだけです。
それなら日当たりのいい場所を避けて冷暗な場所なら発生しているのではないかと推測してここよりさらに標高を上げて峠を越えた北斜面ならあるのではないかと移動します。
こんなこともあろうかと前日に裏斜面に立ち枯れが群生している一帯があることをグーグルアースと地形図で確認済みです。
いざ、目的地に行ってみると予想通り立ち枯れが一面に見られます。
おまけに直射日光が当たっていないため地面には雪も残っていて冬ナメコには絶好のコンディション。
どこに車を止めようかと思っていると駐車したばかりの車から採集者らしき人間が出てきました。
やはり他にも狙っている人間がいました。
先に進むと再び車が。
さらに先には複数の車が連なって止まっています。
中には県外のナンバーもあります。
ふと横の斜面を見ると採集者がナメコを採っているのが見えました。
さっきまでいた自身のポイントがある場所と異なりここはかなりの競争率です。
自分が狙ったポイントでナメコが出ていなくて採れないのは納得できますが他者に先を越されて採られているのはあきらめがつきませんのでこの場所はあきらめることに。
しかし何で他の採集者がいるところにあえて群れて入って行こうとするのか自身には理解できません。
誰かが採っていれば間違いなく採れると思うのでしょうか?
有峰と同様にこのような場所では少なからずマナーの悪い人間がいるのでナメコは根こそぎ採ってもまた発生しますが発生木の樹皮をめくったりして発生自体しなくなってしまうでしょう。

山に入るまでもなく前述の裏斜面を退散して再び自身のポイントがある南斜面に。
念のためにもう一ヶ所候補地として目を付けていた場所を調べることにしました。
こうなったら採れなくてもいいので来期に繋がるポイントだけでも確保したいものです。




↑ 幸いなことにこちらは道路脇の目立つ場所は人の歩いた跡はあるものの奥に行くと少なくとも最近は他者が入山した形跡はなくやっと上質のナメコに巡り会えました。




↑ 今期初めて見つけたヒラタケ。
この時期までヒラタケを目にしないというのは例年ならあり得ませんが、やはり冷え込みが弱いことの証明でしょう。
あちこちにナメコは確認できるもののやはりここも多くが老菌で冬ナメコは見つからず。
ただ、荒らされていないので来期は有望なポイントになるでしょう。
新たなポイントを発見したということで立山周辺での今期のナメコ狩りはこれにて最終とします。
この段階で幼菌がないということはこの後に来ても期待は薄いでしょうしそろそろ本格的な積雪もあるでしょう。
この日の収量はナメコが3.7kgでした。
収量からもナメコの発生は終盤でしょう。



 


さて、前回のナメコ狩りから中一週間の11月28日(金)。
本来なら冬ナメコの採取の追い込みで特別な理由がなく一週間も山に行かないのはこの時期異例ですが、前回の採集で冬ナメコの発生が不良であることを確認して一気にモチベーションが低下しました。
この日も行くにしてもどこのポイントに行くか正直迷いました。
立山周辺がダメなら八尾・利賀方面もダメでしょうから本来なら低標高の里山である県東部の新川方面のポイントに移行するのですが例年ならそれは12月に入ってからです。
今年の発生状況から前倒しして行くべきなのでしょうが、やはり本命の県南のポイントをこの目で確認してからでないと後ろ髪を引かれて踏ん切りがつきませんし山の神様へのお礼の挨拶もしなくてはいけません。
よってダメもとで県南の今期一番の本命ポイントへ。




↑ ポイントに着いてお馴染みの斜面を上がりいつもの発生木を見て行きますがやはり予想通りナメコは老菌以外ほとんど見つかりません。




↑ それでも上っていきますが群生は見つかってもやはり老菌。




↑ クリタケも虫食いはないものの傘が開ききって老菌なので手を付けず。

いつもならこれ以上は斜面がきついので登らないというところも越えて稜線まで登っていくと本来なら山の裏側から行っている別のポイントに出てしまいました。




↑ それでも見つかるのはやはり老菌。
一週間前に来ていればそれなりの収量になったでしょう。
結局ボウズのまま今まで降りたことのない急斜面を降りて行くと、




↑ 老菌に混じってわずかばかりの冬ナメコを見つけました。
足場が悪い中、急斜面の下山中に今まで見ていなかった木で何とかある程度収穫して下山してきました。
これでここも発生が終わったことが分かりあきらめがつきました。
正直冬ナメコを楽しみにしていたので残念ではありますが仕方ありません。
今年の収穫に感謝して手を合わせてまた来期の収穫を祈ります。

早めの撤収で時間が余ったので帰途に八尾にほど近い里山周辺でポイントはないものかと行き当たりばったりで探してみることに。
とは言ってもある程度は今までの経験から周辺の地形や道路は把握しています。
いつもは気になりながらもいつか行ってみようと思ってこれまでなおざりになっている場所が結構あります。
こういう時でないとなかなか行くこともないのでちょうどいい機会です。
何処に抜けるか分からない林道の脇道に進入するとちょこちょこ立ち枯れが目に付く場所があります。
そんな場所で車を降りて歩いて入山していくと、




↑ 図らずもこんな群生に出会うこともあります。
残念ながら大半が老菌でしたが新たなポイントの気配に気持ちが高まります。




↑ さらに奥に進むと今度は採り頃の群生が。
本来なら冬ナメコになるはずの幼菌が成菌になったような感じです。
本命のポイントで思ったほど収穫がなかったのでありがたく持ち帰ります。
この周辺でも老菌ですがいくつか群生を見つけたので来期はここも新たなポイント候補になるでしょう。
やはり行き当たりばったりというのも面白いもんです。
結局この日の収穫は最後に思いがけず八尾で採れたので6.58kgほどになりましたがあきらかに発生は終わりを迎えています。
県南方面も今日で終わりなのであとは標高の低い新川地区のポイントを残すのみとなりました。
この時点での合計収量はナメコが97.25kgと昨年の同時期に比べれば相変わらず過去最高のペースですが、ここに来て一気に発生が終わったので今後の伸びがどの程度あるかは不透明なところでしょう。

いよいよ次回が今期のキノコ日記の採集話になりますが、年内に更新できるかどうか分からないのでここで年末の挨拶とさせていただきます。
今年も様々な方に支えられて無事に店を営業することができました。
来たる新年も皆様の変わらぬご愛顧と皆様の幸せを願って挨拶と代えさせて頂きます。
本年もありがとうございました。