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店長日記

カワラ材の県外採集。

2011年06月23日



梅雨入りしたかと思ったら真夏のように暑い日がやってきました。
猛暑日近くにまで気温が上がったかと思ったらスコールのような大雨!
まるでレインフォレストのような気候です。
個人的には暑い日は嫌いではありませんが野外での活動には厳しい条件です。

今週にかけて材を集中的に採集していたのですが真夏日の中での山中はまるでサバイバルです。暑いからといってTシャツなんかで藪に入った日には擦り傷やかぶれる野草、ヤブ蚊、毛虫で大変な目に遭うので長袖の作業服のために汗だくで脱水寸前になります。
そろそろ材集めも条件的に困難な季節になってきました…。

フィールドに入れなくなる前にと今週は新潟県のT町にブナ材採集に知人のS氏と行ってきました。
以前は自身も材採りとオオクワ採集で年に何回も訪れていたのですが、最近は行ってなく4年ぶりの訪問です。
今回はS氏があらかじめ優良なブナ材を見つけていたのでそれを切り出して持ち帰る計画です。




当地は先日、東日本大震災の翌日震度6強の大地震が起きた震源の近くのためいたるところで道路が欠損しており通行止めの所も多く無事に着けるか不安でしたが多少無理を?したおかげか無事ポイントに着きました。
↑はポイント付近で地割れによって崩落しかかった路肩です。怖い怖い…。




ポイント付近に着くと未だに雪渓が残り、新緑のブナと水芭蕉の花が出迎えてくれました。
富山から250km離れた地ですがこの景色を見たら「ああ、来て良かった~。」と思います。
ただ景色に見とれている余裕もないので早速作業です。

目的の材は径80cm前後長さで5~6mはある大物のブナの倒木です。




もちろん全部を持ち帰るのは不可能なので状態の良い部分を切り出します。
朽ちて水分を多く含んでいるためかなり柔らかいですが、径80cmの材はチェーンソーを使っても切り出すのは容易ではありません。輪切りに切り出してもとてもじゃないですが一人で持ち運ぶことは不可能です。
画像を見て分かると思いますが心材部もなく綺麗に朽ちた優良材です。臭いも自身には心地よいやや甘い香りがします。
当初樹皮にキノコが付いていないため何のキノコ菌で朽ちたのか分からなかったのですが、横に腐って辛うじて残っていたキノコの残骸からヤニタケで朽ちたものと判明しました。
以前の店長日記でも紹介しましたがヤニタケ自体稀にしか見つからないキノコでそのキノコの腐朽材がここまで綺麗だとは正直想定外でした。ヤニタケ…これからも要チェックです。

ある程度切り出して体力的に限界に近づいたところでこの材の回収は終了。
汗だくで息も切れ切れに付近を歩いていると、




見つけました!コシアブラです。
先日山菜シーズンも終了と書きましたがさすがに全国有数の豪雪地帯、雪渓が残るここではまだ採り頃のコシアブラが残ってます。もちろんお持ち帰りです。

さらに付近を車で流しているとブナの立ち枯れが。
ブナの立ち枯れ自体ここではたくさんありますがこの材は昆虫の脱出痕が多くあります。
ためしに材割りを試みると




初齢幼虫が見つかりました。残念ながらこの幼虫は取り出し時に潰してしまいましたが他にアカアシやヒメオオと思われる幼虫も見つかりました。
そう言えば先ほど切り出した倒木の近くでも材割りをした痕跡があったので誰かヒメオオ狙いで来たのでしょう。
ちなみに以前この近くでオオクワの幼虫を割り出しましたがさすがにここは標高が高くオオクワはいないと思われます。




さらに付近を散策していると今度は採り頃のウスヒラタケが生えた立ち枯れを発見。↑
食べられるキノコですが季節柄キノコバエが大量に付いていたため採取は断念しました。

その後、ここに来た時は必ず立ち寄る蕎麦屋で手打ち蕎麦を食べて(この地域では「へぎ蕎麦」が有名)改めて別のポイントへ。
残念ながら向かったポイントは通行止めで行けませんでしたが、以前自身がよく訪れていたポイントへ久しぶりに行きました。




4年前には立ち枯れだったブナが途中から折れて倒木になっていました(↑画像の右上)。
食痕が目立ったので割ってみるとクワガタの幼虫は1頭採れましたがカブトムシの幼虫が多く出てきたのでやめました。

まだ陽は明るかったのですが体力の問題で帰途につきました。
採ったブナは水分が多いので乾燥が必要ですがこの夏のシーズンの在庫は確保できました。

その2日後、今度はさらにエノキ材の採集に再び石川県へ。
今回もS氏があらかじめ下調べをしていてくれたポイントに行きました。








見事な株立ちの立ち枯れや一本物の立ち枯れです。
もちろん画像の全てが使えるわけではありませんが、S氏は自分で見つけたにもかかわらず厚意で使える部分の大半を譲ってくれました。S氏に感謝です。
これで慢性的な在庫不足に悩まされているエノキのカワラ材も少しの間、解消することができます。
しかしこれからが需要も増えるシーズンなので過酷な環境での採集が再び待っています。